幼少期から絵を描くことが大好きで、漫画家として活動中のアヤさん。現在は看護師・看護学生向けの総合WEBメディア「ナース専科」にて看護師のエピソードを基にした漫画を連載している。今回は、ナース専科にて公開されている中から「不自由は不幸ではない」を紹介するとともに、著者にALSの患者さんが視線入力装置を巧みに使うことに対する心境についても伺った。

【漫画】本編を読む

山奥にある慢性期病院に勤務していた頃、一人のALSの患者さんが入院してくる。Mさんは顔と手指が僅かに動く程度で、ADLは全介助という状態だ。

看護師はどうやってコミュニケーションを取ろうかと悩んでいたが、その考えはすぐに覆されることになる。なんと、Mさんはパソコンを眼で操作する視線入力装置を見事に使いこなし、インターネットでの買い物も難なくこなすのである。

そして、「私は不自由だけど不幸じゃない。むしろ、病気になって感謝すらしている」とパソコンの画面にMさんの思いが表示される。Mさんとの会話で、看護師の価値観や看護観は見事に打ち砕かれていく。

さらに、MさんはALSへの理解を広める活動も行っている。「将来この病気が病気と言われなくなるように、未来の子供たちのために戦っているの」と教えてくれた。

その後、Mさんは退院したが、今もちょっと疲れたと感じたときは、Mさんのことを思い出すと背中を押されているような気分がする看護師であった。

本作以外にもさまざまなナース漫画を投稿しているアヤさん。今回は、ALSの患者さんが視線入力装置を巧みに使うことに対する心境についてインタビューした。

――ALSの患者さんが視線入力装置を巧みに使っていることについて、どのように思われましたか?

そのような装置があることも知りませんでしたし、何よりその装置を使いこなすのは患者さんの想像もできないほどの努力ありきだと思います。ただでさえ機械に弱い私は、足元にも及ばないなと恥ずかしくなりました(苦笑)。

人との出会いは、時には勇気づけられることもある。「ナース専科」にて連載している漫画は、実際に看護師から募集したエピソードばかり。ほかの作品も数多くあるので、ぜひ読んでみて!

取材協力:アヤ(@aokitajimaru)

ALS患者の前向きな思いを知る看護師/画像提供:ナース専科