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カセットコンロは使い方を間違えると引火して爆発する危険も

カセットコンロ使用による事故が続いている。

広島市では9月23日、男性が焼き肉中にカセットコンロが爆発し火災が発生。アパート800平方メートルが全焼し、男性は全身にやけどを負った。

また、東京都内のイタリアンレストランでも9月26日カセットボンベのガス抜きをしている最中に爆発。店員や客らが軽いケガを負ったという。

「便利なカセットコンロですが、使い方を間違うと大事故に。鍋を囲むことが増えるこれからの時季は、とくに注意が必要です」

そう警鐘を鳴らすのは、独立行政法人製品評価技術基盤機構の宮川七重さんだ。

カセットコンロは使い方を間違えると引火して爆発する危険も。楽しい家族団らんや宴会が無残な事故現場に変貌するかもしれないーー。そこで、次の注意点を覚えておこう。

【注意1】カセットボンベの装着方法が間違っている

カセットボンベの口の隙間が空いている部分“切り欠き”を上にして本体に水平にカチッと音がするまで差し込む。切り欠き部分を下にしたり、斜めにずれていたりすると、本来は気体で出るはずのガスが液体のまま出て爆発の恐れが。

【注意2】炭の火おこしに使用する

アウトドアなどで、炭の火おこしにカセットコンロを使用しないこと。炭火の熱線でガスボンベが過熱し、爆発や発火に至る。

【注意3】IH調理器や魚焼きグリルの排気口の上でカセットコンロを使用している

基本的に熱を発するものの近くでカセットコンロを使用しないこと。とくにIH調理器の場合、スイッチを切っていたつもりが誤って作動しボンベが過熱して爆発に至ることも。

【注意4】2台並べて使用する

大人数で鉄板焼きなどをする場合、カセットコンロを2台並べて使用しがちだが絶対NG。鉄板が載っている部分のボンベが過熱して爆発することがある。

【注意5】五徳の設置が間違っている

鍋を設置する受け皿(五徳)を裏返しに設置していたり、外して使用したりすると、ボンベに熱がこもって爆発に至ることも。

【注意6】大きな調理器具を使用している

カセットボンベのカバーを覆うほど大きな調理器具を使用していると、ボンベが過熱して爆発につながることも。とくに土鍋は蓄熱効果が高いので、安全装置が作動して火が消えた後もボンベを熱し続けてしまう。

【注意7】最後まで使い切らずにカセットボンベを廃棄する

カセットボンベは使用中に自然に火が消えるまで使い切ること。残り少なくなったからといって安易に缶に穴を開けると、火花が散って爆発する可能性も。

【注意8】経年劣化したものを使用する

カセットコンロの使用期限は10年が目安。経年劣化により安全装置が作動しなくなったり、カセットボンベの着脱がスムーズにできなくなることで事故につながる可能性も。

■廃棄方法は自治体に確認を

「使用前に確認したいのは、カセットボンベが正しく本体にセットされているかという点。うまくセットできていないと、ガスが漏れて爆発事故につながります」(宮川さん・以下同)

切り欠き部分を上にして、カセットコンロ本体に対して水平にカチッと音がするまで差し込もう。

「切り欠き部分を下にしたり、斜めにずれたまま無理に差し込んだりすると、漏れたガスにコンロの火がついて爆発してしまいます」

使用中に注意したいのは、カセットボンベ部分が過熱していないか、という点だ。

カセットコンロに載せる鍋や鉄板が大きすぎて、カセットボンベの容器カバーの上まで覆ってしまっているケースがあります。こうなるとカセットボンベが熱を持ち、爆発のリスクが高まります」

とくに大きな土鍋は注意が必要。

「通常は、カセットボンベが過熱すると“安全装置”が作動して自然に火が消えるのですが、土鍋の場合は蓄熱効果が高いため、自動消火された後も土鍋の熱でカセットボンベが加熱され続けることがあります。その結果、爆発に至ってしまうのです」

このほか、魚焼きグリルの排気口やIH調理器の上など、カセットコンロが熱を持つような場所には置かないようにしよう。

また、カセットボンベを購入する際には、カセットコンロと同じメーカーを選ぶのが好ましい。

カセットボンベは、カセットコンロの“部品の一部”という位置付けです。同じメーカーなら動作確認も行われているので安心です」

そして、忘れてはいけないのが、カセットボンベは必ず使い切ってから廃棄する、ということ。

「ガスが残っているのに缶に穴を開けると爆発の原因になります」

廃棄方法は自治体によって異なるので確認を。また、使用しているカセットコンロやボンベが、リコール対象となっていないかも定期的にチェックしておこう。