マドンナが、現地時間2023年10月14日に英ロンドンのO2アリーナで【セレブレーション・ツアー】の開幕公演を行った。輝かしいヒット曲満載のスペクタクルは、ほとんどが祝賀的なものだったが、いつも率直なこのポップ・スターは、公演の最中にイスラエルハマスが支配するパレスチナの戦争について言及した。

 その1週間前にハマスによるイスラエル国内でのテロ攻撃がきっかけで勃発した紛争について、当時も彼女はインスタグラムですぐに攻撃を非難する声明を出した。そしてツアーの初日であっても、エスカレートする状況と進行中の暴力が彼女の心に重くのしかかっていることは明白だった。

 公演のMCで彼女は、「イスラエルパレスチナで起きていることを見ていると心が痛みます。苦しんでいる子どもたち、苦しんでいるティーンエイジャー、苦しんでいる高齢者を見ると心が痛みます。その全部に胸が張り裂けそうになります。皆さんもそう思いますよね?たとえ心が傷ついても、私たちの精神が傷つくことはありません。皆さんも同感ですか?」と語りかけた。

 観衆から賛同の拍手が湧き起こると、彼女は、「多くの人が、“私に何ができる?私はたった一人の人間だ”と言います。絶望を感じる。無力だと感じる。私たちに何ができるでしょうか?できることはたくさんあります。何よりもまず、私たちは、“自分は変化をもたらすことができる。なぜなら、自分たち一人一人が自分の行動で、言葉で、毎日毎日世界に光をもたらすことができるからだ”と言うことができます。ごめんなさい、お説教をしたいわけじゃないんです。ただ、私たちは集結するととても強力です。暗く邪悪なやり方で団結することもできますし、光と愛の立場から団結することもできます。そして、私たち全員がその集合意識を持てば、世界を変えることができ、中東だけでなく全世界に平和をもたらすことができます」と続けた。

 歓喜に包まれたこの夜の公演で、シリアスな瞬間はこれだけではなかった。マドンナは、6月に“深刻な細菌感染症”にかかり入院したためツアーの開幕が延期されたが、その際に死と隣り合わせだったことを率直に語った。

 入院当時について彼女は、「もう助からないと思いました。自分の人生の5日間を忘れてしまいました。あるいは“死”と言うべきでしょうか、自分がどこにいるのか本当にわかりませんでした」と明かしつつ、最終的に自身を支えたのは家族だったと語った。「私の子供たちがそこにいてくれました。子供たちはいつも私を救ってくれます」という彼女は、生き残るための“秘訣”として、「子供たちの面倒をみなければ。子供たちのために生き残らなければ」と自分に言い聞かせていると話した。ツアーの開幕公演で、マドンナの5人の子供たちはステージで彼女と一緒にいた。


◎【セレブレーション・ツアー】初日セットリスト
「Nothing Really Matters」
Everybody
「Into the Hollywood Groove」
Burning Up」
「Open Your Heart」
「Holiday」
「Live to Tell」
「Like a Prayer / Unholy / Act of Contrition」(マッシュアップ
「Erotica」
「Justify My Love / Fever」(メドレー
「Hung Up on Tokischa / Hung Up」(メドレー
Bad Girl」
Vogue
「Human Nature」
Crazy for You」
「Die Another Day」
「Don’t Tell Me」
Mother and Father」
Little Star」(アカペラ
「I Will Survive」(カバー)
「La Isla Bonita」
「Don't Cry for Me Argentina
「Bedtime Story」
Ray of Light」
「Rain」
Bitch I’m Madonna / Give Me All Your Luvin'」(メドレー
「Celebration / Music」(メドレー

マドンナ、ツアー初日にイスラエルとパレスチナの衝突や自身の臨死体験を語る