2023年10月14日(土)新国立劇場 小劇場にて『アカシアの雨が降る時』が開幕した。

「家族」という普遍的なテーマを軸に描かれる本作。物語は、桜庭⾹寿美が倒れた所から始まる。孫の陸、息⼦の俊也が見守る中、目覚めた⾹寿美は陸を自分の夫・つまり陸の祖父の名前で呼び、自分は20歳の大学生で、陸は自分の恋人で、俊也を恋人の父親だと思いこみ挨拶した。俊也と陸は医者のアドバイスに従い⾹寿美の思い込みを否定しないよう、演技を続けることを決意する。こうして3人の⾹寿美の青春時代70年代)を共にすごす旅が始まった――。

若者たちの熱気が溢れていた70年代を、青年と中年の世代がリアルな現代の悩みを抱えながら体験することで、徐々に変化し、違いを理解し合おうとする姿を描いた本作は、リアルとファンタジー、笑いと涙を巧みに操る鴻上尚史ならではの世界観で、身近で普遍的な社会を炙り出し、2021年の初演時も好評を博した。

主演の桜庭⾹寿美に竹下景子、孫の木村陸役に鈴木福、桜庭⾹寿美の息⼦で陸の父親の俊也役に松村武。初日を前に行われた会見よりコメントが到着した。

松村武、鈴木福、竹下景⼦、鴻上尚史(作・演出)(撮影:田中亜紀)

松村武、鈴木福、竹下景⼦、鴻上尚史(作・演出)(撮影:田中亜紀)

竹下景子

この話は家族の話ですが、今生きている状況と青春時代のお話しがクロスオーバーして刺激的で魅力的な作品です。 3 人なので慌ただしくもありますが、やりがいのある作品です。鴻上さんご自身のエピソードも織り込まれている、家族が愛おしくなるような心に沁みる芝居ですので、皆さま楽しみにしてください。

鈴木福

僕が演じる陸の目線だったり、陸のお父さん、おばあちゃんそれぞれの視点で見ることで感じ方が違う作品だと思います。僕自身この作品に出逢えたことを嬉しく思います。今、これからどう生きていくか、悩みや不安抱えている方いらっしゃるかと思いますが、そんな皆さんに見ていただいて何か感じていただけたらと思っています。是非劇場に来ていただきたいです。

松村武

初演も出演しておりましたので、余裕を持っていましたが、台本とは違う台詞をしゃべっています(笑)。3 人芝居で、出入りも忙しく台詞も多いので間違えないように頑張ります!3 人芝居で 3 世帯の話は珍しいと思います。全国どこで上演しても心に響く作品になるかと思いますので、お待ちいただけばと思っております。

鴻上尚史(作・演出)

どのお客様にご覧いただいても、感情移入できる、笑って泣ける芝居になっていると思います。3 人の大変なセリフの量と舞台上に出たり入ったりを楽しんで頂けたら嬉しいです。 福さんはこの役のために生まれて初めて髪の毛を染めました!染めた割にはあんまり分からなくて…(笑)。国民の息⼦が大学生になり、二十歳の設定で山ほどセリフをしゃべりますので、お楽しみください!

 

舞台『アカシアの雨が降る時』は、10月22日(日)まで新国立劇場 小劇場にて上演。その後、兵庫・石川・盛岡・久慈・愛媛・大阪と地方へ巡演する。

撮影:田中亜紀