中田は守備の名手としても知られる(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 パ・リーグCSファーストステージ第3戦(ZOZOマリンスタジアム)が10月16日に行われ、リーグ3位のソフトバンクが延長戦の末、2位のロッテに3-4とサヨナラ負けを喫した。

 ソフトバンクが壮絶に散った。両軍ともに0-0-で迎えた延長10回表。5番手の沢村拓一を捉え、周東佑京が適時打をマーク。さらにソフトバンク打線はこの回、一挙3点を奪う。

 しかしロッテ打線もあきらめない。3点を追う10回裏、先頭の角中勝也が粘って中前打で出塁、続く荻野貴司もしぶとく内野安打で出塁し、無死一、二塁の形を作ると藤岡裕大が同点3ランを放つ。さらに10回二死一塁で打席に入ったのは、この日途中出場だった安田尚憲ソフトバンク8番手、大津亮介の直球を捉えて右中間に運ぶと、一走の岡大海が激走、俊足を生かしサヨナラのホームに生還すると、ベンチはお祭り騒ぎとなった。

【動画】ソフトバンクは10回表に周東が沢村から適時打を放つなど勝ち越したが、最後にひっくり返された

 一方、衝撃の敗戦となったソフトバンクは試合終了後に激震が走った。今季までの2年契約だった藤本博史監督の退任を発表、後任は小久保裕紀二軍監督が昇格することが濃厚となった。

 また2020年以来、優勝から遠ざかっているチームでは今オフの補強も本腰を入れて取り組むことになりそうだ。22年オフも「異次元補強」といわれる大規模補強を展開。FAで日本ハムから近藤健介、同じくFAでDeNA嶺井博希メジャー帰りの有原航平ロッテからロベルト・オスナなど他球団垂涎のラインアップをそろえたが、結果として目指すV奪回には届かなかった。

 補強候補としてはサイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアーFA権取得見込みの西武・山川穂高内野手などが浮上しそうだ。

 先発投手陣においてチームは10勝をマークした有原が勝ち頭、42歳の和田毅が8勝と続くなど駒不足が深刻となっている。安定してローテーションを任せられるピッチャー補強は急務となっており、中4日も辞さないタフネス右腕はまさに最適ともいえる。

 また自身の不祥事から謹慎処分を受け、10月のフェニックスリーグから本格的な実戦復帰となった山川の存在も注目を集めそうだ。チームにとって右の長距離砲は大事な補強ポイントとなっている。本人の状態含め、獲得には様々な項目をクリアする必要もありそうだが、過去3度の本塁打王に輝いた長打力はチーム再建には求められるポイントともなりそうだ。

 一方、意外な〝大物〟を指摘する声も球界内からあがっている。

 現役時代は大洋(現DeNA)で活躍、引退後は日本代表コーチも務めた高木豊氏は16日に更新した自身のYouTubeチャンネルで巨人・中田翔内野手の去就について触れている。

 中田は今季から球団と3年契約を結ぶも、自身で契約を判断できるオプトアウトの権利も組み込まれており、FA権行使について熟考する構えを見せている。

 背景にはポジション問題もあるとされる。今年9月から坂本勇人サードコンバートされたことに伴い、正三塁手岡本和真が一塁を守ることが増えた。後輩の秋広優人を含め、一塁ポジションは激戦区となっており、出場機会を求めて中田がFA宣言しても不思議ではない。

 高木氏は中田のFA権行使に関して「必要とされてフルで出たいと。そういう思いはあるだろうな。キャリアということを考えたときに」と来季が35歳シーズンとなる中田のプロ人生に理解を示した上で、「手をあげたら獲りたい球団はあると思う」と宣言した場合は獲得に乗り出す球団もあると予想。

 具体的には山川の残留が不透明となっている西武、また2年連続最下位と勝負強いバッターが求められている中日。さらに「ソフトバンクの可能性もある」とした。

 一塁は中村晃が守るが、コンバートも可能とした上で、仮に中田が加入すれば「(打線の)層も厚くなる」とチームにとってはプラスに働くと見る。右の強打者はチームにとって補強ポイントでもある。

 今季はコンディション不良などもあり、ベンチを温める時期も長かった中田だが「ずっと安定的に使われているほうが故障は少ない」と一塁手としてスタメンで出場できるチームがあれば、パフォーマンスの上昇にもつながると見る。

 今季は92試合に出場し、打率・255、15本塁打、37打点。ただ9月に再昇格した際には、広いバンテリンドームで2打席連続弾を放つなど、衰えぬパワーを示したシーンもあった。

 今や巨人の「大将」として後輩からも人望を集める強打者が来季はどのユニホームを着ているのか。今後も注目の存在となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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