Blackmagic Designによると、FilmQuest、Screamfest Horror Film Festival、Telluride Horror Showなどの映画祭に出品されることが決まった短編ホラー映画「The Reclaimers」のグレーディングに、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用されたという。

同作は、祖父母を殺し、小さな町を奪った生物の群れを狩る女性の姿を追っており、この邪悪な侵入者は女性の愛犬のみが見ることができるというコンセプトの作品だ。

Blackmagic Design導入事例:短編ホラー映画「The Reclaimers」の場合

監督兼カラリストのジェイソン・シーディ氏は、次のようにコメントしている。

シーディ氏:本作は、喪失、復讐、友情をテーマとしており、スリルに溢れつつ、感動的な物語でそれを描けていると思います。

シーディ氏は、本作のインスピレーションを自身の愛犬ブーンから受けたという。

シーディ氏:嵐の後、ブーンを散歩に連れて行ったのですが、誰もいない道に曲がった時、ブーンが立ち止まって何もない空間を凝視し始めたのです。私には何も見えない空間をじっと見つめていました。ブーンにとっては、そこに何かあることは確かなようで、低い唸り声を上げて、最後には全身の毛を逆立てていました。それが私を引き裂こうとする巨大な生物ではなかったとは思いますが、想像力が掻き立てられたのは確かです。

制作当初からシーディ氏と撮影監督のマシュー・ヌーナン氏はわざとらしくない様式化されたルックを求めていた。

シーディ氏:冷たい色相よりの彩度の低い映像にし、不安感を与え、不快ささえ覚えるようなルックにしたいと考えていました。

同時にあまり洗練されすぎないようにしたかったので、きめの荒さやグレインを用いました。本作にはほとんど会話がないので、カラーグレーディングで視聴者の潜在意識に訴えることを目標に作業を行いました。例えば、心地よく感じられるべきシーンでは暖かい色調を使用し、対照的に危険な瞬間はより多くの緑と青を使用しました。全体的に、暖かい雰囲気で始まり、物語が進み、登場人物の状況が悪化するにつれて、彩度を下げ、冷たい色を用いるようにしました。

Blackmagic Design導入事例:短編ホラー映画「The Reclaimers」の場合

撮影中、シーディ氏とヌーナン氏は、事前に話し合ったルックのアイデアの一部を維持するようにした。これは、グレーディングの段階でシーンの感情面をより上手く表現できる他のアプローチを模索できることを把握していたからだという。

シーディ氏:カラーグレーディングを行う際は、通常、各シーンからスチルを作成していろいろと試します。最初のアイデアから始めて、最初に思いついたものに落ち着かないように、その後、少しずつ冒険し始めます。

いくつか間違いをすると、適切なルックを見つけやすくなると思います。

独自の方法で同作をホラージャンルの型にはまるようにしたいと考えた両氏は、DaVinci Resolve Studioのカラーマッチツールを使用して、スタイルを構築していった。

シーディ氏:求めているルックの映画からリファレンスとなるスチルフレームを見つけることを撮影監督と共に行います。その後、「このクリップにショットマッチ」機能を適用して、どのような結果になるか試します。最終的なルックを作成できる訳ではありませんが、作品に適したルックが何かを見つけ出す手掛かりとなり、正しい方向に導いてくれます。

抑えた色調のホラースタイルを取った同氏だったが、同時に鮮やかさも求めていた。これを実現するには、様々なカラー処理を試して、妥協点を見つける必要があった。

シーディ氏:自然なリッチさを感じさせながらも、映画の暗いトーンに合わせた様式化されたルックにしたいと思っていました。しかし、考えすぎてしまうこともあります。適切なカラーグレーディングは、映画がどのように受け取られるかに大きな影響を与えるからです。もう少し冷たい方が良いか?グレインを追加しすぎたか?など、小さなディテールにこだわり過ぎてしまいます。映像作家なら誰でもこういったことは経験することだと思いますが、Resolveのように様々な方法でイメージを調整できるソフトウェアでは特に迷うことが多いと思います。圧倒されることもありますが、大きな自信と力を与えてくれます。

Blackmagic Design導入事例:短編ホラー映画「The Reclaimers」の場合
Blackmagic Design導入事例:短編ホラー映画「The Reclaimers」の場合