オフィスから歓楽街まで、幅広い側面を持つ新宿区。今回はそんな新宿区の住みやすさをデータとともにご紹介します。都心で交通の便が良い場所だからこそ気になる治安や住まいの情報について詳しく見ていきましょう。
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新宿区の基本データ
新宿区は東京23区のほぼ中央に位置し、千代田区・港区・文京区・豊島区・中野区・渋谷区に隣接しています。東京を代表する繁華街・歌舞伎町があり賑やかなイメージですが、区内には落ち着いた住宅街も広がっています。有名なデパートや大型家電量販店、飲食店などの施設も多く、国内はもちろんのこと外国人からも人気が高いエリアです。
新宿区の特徴
世界一のターミナル駅である新宿駅を保有する新宿区。そんな新宿区のまず押さえておきたい特徴をご紹介します。
新宿駅は、「山手線」「中央線」「小田急線」「大江戸線」などの多くの鉄道路線が乗り入れています。新幹線の停車駅こそないものの、都内や周辺の県へのアクセスは抜群。1日の利用者は約360万人いるとされ、2018年には世界一の乗降者数としてギネスに認定されました。近年では駅周辺の整備が進み、2016年には南口に日本最大規模のバスターミナル「バスタ新宿」が開業。日本全国へ向かう高速バスや成田・羽田空港への直行バスなどが発着しています。これまで分散していた高速バス乗り場を集約し、ますます各方面へのアクセスが抜群になりました
新宿駅周辺には、「ルミネ」「高島屋」「京王百貨店」「小田急百貨店」「伊勢丹」「マルイ」「新宿ミロード」などの有名百貨店や商業施設があり、常に多くの人で賑わっています。また「ヤマダ電機」「ヨドバシカメラ」「ビックカメラ」など大型家電量販店もひしめき合っており、販売激戦区としても有名です。新宿に行けば全てが揃うと言えるほど充実したショッピングエリアは、区民や都民、近隣の県民だけでなく、国内外の人々を惹きつけています。生活に欠かせないスーパーマーケットやドラッグストアなども多数あるので、住んでいて買い物に困るということはないでしょう。
新宿区を6つの視点でガチ評価
新宿区の治安(★5/1.5)
新宿駅北側の歌舞伎町周辺は日本最大級の歓楽街のため、比較的、犯罪件数も多く治安が良いとは言えないエリアです。新宿区ではパトロール隊による見回りや客引き防止に関する条例を制定し、治安の改善に努めています。一方で、四谷や下落合などは落ち着いた環境で犯罪も少なく、比較的、治安が良いと言えるでしょう。
新宿区の子育て環境(★5/4.5)
23区初の女性元区長(在任期間2002年~2014年)の牽引もあり、新宿区では「安心して子育てできるまち」の実現を目標としてさまざまな試みを行っています。待機児童の問題にも積極的に取り組み、2021年には待機児童ゼロを達成しました。また、就学前児童の保育サービス利用比率も14区内上位です。地域の先輩ママやパパがボランティアとして初めての育児を行っている家庭を訪問・サポートする「ホームスタート」などの取り組みも実施しています。
新宿区の医療(★5/4)
新宿区は14区内でも医療施設の数や医師数が高い水準にある区です。また、自治体を挙げて予防医療にも力を入れており、2020年にはシニアに向けたオリジナル筋力トレーニング「しんじゅく100トレ」を考案。10種類のスロートレーニングは体力に自信のない方でも無理なくできるものばかりで、効果的に筋力を鍛えられると好評を得ています。
区内には総合病院からクリニックまで数多く点在しているので、診察に困ることはないでしょう。
新宿区の自然環境(★5/3)
繁華街のイメージが強い街ですが、新宿御苑などの巨大緑地もあり、緑被率は低くありません。2020年には新宿中央公園内に交流拠点施設「SHUKNOVA(シュクノバ)」が開業し、人々の憩いの場となっています。区の外周を囲む神田川を活かした「神田川親水テラス」で自然や生き物・歴史について学べるイベントを開催するなど、自然と触れ合う機会も数多く用意されているといえるでしょう。
新宿区の買い物・娯楽(★5/4.5)
映画館から能楽堂、寄席まで娯楽施設が豊富です。夏になると世界的なアーティストの作品などで新宿駅周辺が彩られる「新宿クリエイターズ・フェスタ」が開催され、多くの人で賑わいます。また秋には新宿通りを巨大なランウェイとするファッションショーや大道芸が繰り広げられる「新宿芸術天国」などのイベントも開催されます。多くの飲食店や商業施設が立ち並ぶ新宿駅周辺はもちろん、新大久保や神楽坂など独特の雰囲気を持つ街も多くあり、買い物や娯楽に困ることはないでしょう。
新宿区の住まい(★5/3)
持ち家率や一戸建て率はそこまで高くありません。単身世帯の割合が比較的多いため、単身者向けの物件が多く用意されており、賃貸居住の割合が高いのが特徴です。また外国人登録人口が他の区と比べ圧倒的に多く、特に中国・韓国・タイなどの出身者が多く在住しています。外国人を受け入れる環境が整っているといえるでしょう。
新宿区の資産価値ランキング2023
※用途区分:住宅地
かつては大規模な再開発などが比較的少なく、地価上昇率は都心エリアでは低いレベルでした。しかし2010年頃から西新宿などで再開発が活発化し、いまでは今後も人口増や地価上昇が期待されるエリアのひとつです。新築マンションの供給は年間1000戸前後と限られる一方で、中古流通は1万戸を超える年もあり、売買が活発な点がリセールバリューの高さの理由でしょう。商業性の高いエリアのため、賃貸ニーズも高く収益性も良好です。
新宿区の住みやすい街5選
交通利便性が非常に高く、豊富な緑に囲まれた人気のエリア。そんな新宿区の中でも住みやすい街を厳選して5つ、ご紹介していきます。
【南元町】豊富な緑のスポットと安心の医療施設が身近に
中央線を挟んで南北に広がるエリアで、南端は広大な敷地の赤坂御用地や明治記念館と隣接しています。また西には緑豊かな新宿御苑も広がっており、散歩やジョギングのコースとして人気です。町内はアップダウンに富んだ地形が特徴的で、千日坂や新助坂など、複数の坂があり街に表情を与えています。周辺の最寄り駅は信濃町駅です。駅前には慶應大学病院と同大学医学部キャンパスがあり、医学生が勉学に励んでいます。31もの診療科を擁しているので、もしもの時も安心でしょう。
【地名の由来】
1943年(昭和18年)4月1日、それまでの四谷区南町と同・元町を廃止・統合することによって新たに創設され、地名は「南町」と「元町」からそれぞれ一字ずつ取って名付けられました。
【下落合】歴史ある公園も広がる旧伯爵家の分譲地
北西部の2丁目界隈は、かつて近衛町と呼ばれ大正時代に近衛伯爵家が庭園の一部を宅地として分譲した街です。重厚な低層マンションが多い点が特徴。江戸時代に将軍家の狩猟場だった「おとめ山公園」は2014年10月に拡張工事が完了し、子どもから高齢者まで伸び伸びと楽しめる施設となりました。高台のエリアは「御留山」と称され、マンション名に「御留山」が付く物件も多いことから、歴史と人気の高さがうかがえます。
【地名の由来】
川と川(神田上水と井草川)が落ち合った所をいう。この川の上流が上落合、下流が下落合となります。
【四谷】各方面へ快適にアクセス抜群な人気エリア
丸ノ内線四谷三丁目駅からJR四ツ谷駅にかけて、新宿通りを中心に東西に広がるエリア。中央線、丸ノ内線で新宿駅・東京駅方面、南北線で駒込駅や目黒駅方面と、東西南北へ快適にアクセス可能です。都心のど真ん中にありながら、南には赤坂迎賓から新宿御苑につながる緑地がある緑豊かな住環境。新宿通りや外苑東通りなどの幹線道路沿いにはオフィスビルやホテル、スーパー、飲食店などの商業施設も並び、日常的な買い物や食事にも便利でしょう。
【地名の由来】
説1は、昔、四カ所の谷(千日谷、茗荷谷、千駄ヶ谷、大上谷)があったことから。説2は、甲州街道に四軒の茶屋(梅屋、保久屋、茶屋、布屋)があったことから。
【市谷佐内町】生活利便性の高さが魅力的な高台の街
町名に「市谷」が含まれる15ヶ所の街のうち、外堀通りや市ヶ谷駅の近くに位置しているエリア。駅からの上り坂は急ですが、一戸建てや低層マンションが中心で視界が開けて気持ちが良いでしょう。人口密度と世帯における平均所得がともに高いエリアでもあります。市谷見附交差点付近には24時間営業のスーパーがあり、生活利便性が高いといえるでしょう。市ヶ谷駅からは、東京メトロ有楽町線、南北線、都営地下鉄新宿線を利用でき、交通の便も抜群です。
【地名の由来】
この地を開いた名主・島田左内に由来する。
【原町】仏教寺院も多数ある落ち着いた住宅街
新宿区中東部に位置する、落ち着いた住宅地。大龍寺をはじめとした仏教寺院が多く点在しています。近くに中高一貫教育校である私立成城男子中学・高等学校があります。町内東部の大久保通りの下にある都営地下鉄大江戸線の牛込柳町駅は新宿や六本木、飯田橋などへ1本でアクセスでき、この地域に住む人々に多く利用されています。駅周辺にはスーパーやコンビニもあり、生活利便性は高いでしょう。
【地名の由来】
1947(昭和22)年まで牛込区原町と呼ばれていた場所。原町という地名からは、かつてその地に原野が広がっていたことが想像されます。
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