民間の建設請負業者や設備を使ってウクライナ軍の目標選定を難しくすることを企んでいるそう。

兵站線の輸送を鉄道に依存するロシア軍

イギリス国防省は2023年10月15日(日)、ウクライナ紛争の戦況分析を更新。ロシア軍ウクライナ南部ザポリージャ戦線で物資の移動時間を短縮するため、占領下に置いたウクライナ東部の港湾都市・マリウポリへの鉄道新線を建設していると発表しました。

ロシア軍は、兵站線(戦場で物資の供給などを行う物流連絡路)の輸送を鉄道に頼っており、弾薬や装甲車両、燃料、兵員などを本国からウクライナに運び込んでいます。

また、ロシア軍は、鉄道建設や保守、警備までを担う鉄道部隊も保有しています。イギリス国防省は、ロシアが侵略を維持する上で、鉄道による輸送が重要な役割を担っているとしています。

イギリス国防省は、これまでの紛争で鉄道輸送を断つためには、空軍や地上軍による集中的・持続的な攻撃が必要だったと指摘。ロシア軍の占領下にあるウクライナ国内の鉄道網は依然として機能しているものの、ウクライナ軍の砲撃やミサイル攻撃、妨害行為などに脆弱な状態になっていると分析しています。

ロシアウクライナ国内の鉄道連絡線の維持・改善を継続しており、マリウポリへの鉄道建設では、民間の建設請負業者や設備を用いているそう。これによってウクライナ軍の攻撃目標の選定を難しくさせ、軍用鉄道部隊の能力を温存することを狙っているとしています。この鉄道新線は、ウクライナ軍の長距離精密攻撃システムの射程圏内となっているそうです。

貨車に積載されたロシア軍の車両。画像:ロシア国防省)。