主に貝殻を家にするヤドカリは、しかるべき時にジャストフィットな貝殻に移り住む。そのイベントがときに集団で一斉に行われることをご存じだろうか?
ヤドカリに扮したスパイカメラロボットが、大きさ順にきっちり並び、家移りを一挙に済まそうとするヤドカリたちの興味深いシーンを撮影することに成功したようだ。
その一方で、はからずも快適な我が家をめぐる争奪戦に巻き込まれてしまうヤドカリロボにも注目だ。
【画像】 引っ越しするヤドカリ集団にスパイカメラロボットが潜入
How do crabs swap shells? | Spy in the Ocean - BBC
場所は中南米グアテマラの西、カリブ海に面するベリーズのパラダイスビーチ。今日のターゲットは、砂浜に集結したヤドカリたちだ。
そこに例によってヤドカリのロボットに扮したスパイカメラロボットが潜入する。ちなみに肝心のカメラは貝殻に仕込んだもよう。
貝殻を家にするヤドカリは、住み心地がいまいちだったり壊れてきたり、成長につれ窮屈になった貝殻などから、より快適で大きな貝殻へと引っ越しする。
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ただそれは無防備な生身を外部にさらすリスキーな行為でもあり、命にかかわるイベントともいえる。そのイベントがこれから始まるところなのだ。
大きさ順に並んで一斉に引っ越しを行うヤドカリ
砂浜では引っ越しを控えたヤドカリたちが大きさ順に並び始めた。
各個体で必要な家(貝殻)のサイズは異なるが、大きいほうから順番に間をつめて並んでおけば、全員がすみやかに次に大きい家に移れるというわけだ。
そこで一番重要なのが、サイズに見合った正確な立ち位置である。
間違えば引っ越し先は体に合わない家となり、文字通りのホームレスになる恐れもあるからだ。
大きいものから順番にどんどん引っ越し
さて全員がサイズ順に並び終えたところで、さっそく引っ越しの始まりだ。
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まず一番大きなヤドカリが今までの家からするりと抜け出し、あらかじめ用意していた新居に移る。
するとすかさず、次に大きなヤドカリが空いたばかりの家におさまり、その次に大きなヤドカリが…という要領で、どんどん引っ越しが進む。なんとタイパが良いのだろう。
しかし引っ越しというより一連の流れというか、そこに好みとかはないのだろうか?サイズさえ合ってればとりあえず身を納めて保護するほうが先なのか?
古い家をキープされ引っ越しできないヤドカリも
と思いきやその過程ではときどき揉め事も起きるようだ。こちらはどうやら片方が、慣れ親しんだ家に未練があるもよう。
すでに次の家に納まったにもかかわらず、別のヤドカリが近づくと古い家もがっちりキープ。ひょっとして今の家が合わないのか?
というか、なにより気の毒なのが、いざ移ろうとしてたヤドカリだ。よくみると、その家は穴が開いててボロボロでほんとに切羽詰まってるようなのだ。
実際、彼らの引っ越しは貝殻の争奪戦でもあるため、家にあぶれた場合、容器のキャップで代用するヤドカリもいるそうだ。
まさかのロックオン。ヤドカリロボの家を強奪するヤドカリ現る
一方で掟破りというべきか、どさくさにまぎれてまだ家主が住んでる家にロックオンするヤドカリも。そのターゲットは例によってヤドカリロボの家である。
え、こっち?ってな感じだが、相手のほうは有無を言わさずどんどん迫り、結局は家を強奪されて帰ることに。なんだかんだでヤドカリの引っ越しって強制参加の奪い合いなの?
見てるだけでも家をはぎとられるとは予想外の展開だけど、ヤドカリ界の引っ越しは人間界の引っ越しよりも命がけってことだけはよくわかったよ。
References:laughingsquid / youtube / youtubeなど /written by D/ edited by parumo
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