米・カーネギーメロン大学、東北大学発の「視触覚」技術の実用化を通じて、ロボットや機械の適用範囲を広げ、様々な社会課題を解決することを目指す株式会社FingerVision(代表取締役:濃野友紀、以下FingerVision)は、会社設立2年でシリーズAラウンド、総額4.1億円の資金調達を実施しました。今後も社会構造の変革を使命に、「非・連続」な成長を進めて参ります。

第三者割当増資に至った背景と今後の展望

既存投資家である株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)に加えて、東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社、株式会社ケイエスピー、株式会社Monozukuri Venturesを新たな同志に迎え、第三者割当増資を実施しました。FingerVisionは、大学発シーズを起点にした「研究開発フェーズ」から、製品化・普及へと繋げる本格的な「社会実装フェーズ」に移ります。

FingerVisionは、

 1.コンポーネント事業:視触覚センサ、ロボットハンド

 2.アプリケーション事業:ロボットシステム、インテグレーション

という2つの事業領域に技術的な強みを持ちます。

会社設立~シードファイナンス以降は、とりわけ人手不足・供給能力不足といった業界課題が極めて深刻、かつ、従来のロボット技術を活用した自動化の難易度が非常に高い「食品加工業界(惣菜製造約60万人)」に焦点を絞り、「2.アプリケーション」の事業開発・研究開発に経営資源のほぼ全てを投入して参りました。結果、食品加工の生産ライン(惣菜・弁当の盛付工程)にて、触覚センサ付きロボットシステムを導入・実稼働させ、さらには、2023年6月にFOOMA(国際食品工業展)にて「食材盛付完全自動化ライン(高稼働率)」を提案、2023年9月に経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に日本総菜協会とともに参画するなど、食品加工業界に新しい付加価値を提供する土台を構築するに至りました。
大学発の先進的・革新的なロボット技術を社会実装する過程で、いわゆる「死の谷」を乗り越えるチャレンジに向き合う中で、NEDO(研究開発型スタートアップ支援事業)や東京都中小企業振興公社(TOKYO戦略的イノベーション促進事業:8000万円助成)からのご支援、2023年J-Startup選定など、多くの皆様に支えられながら事業化を進めることができました。

これまでの成果をもとに、シリーズAからは、引き続き、食品加工業界におけるロボットシステムの実装・普及にコミットするとともに、これまで開発してきた技術・製品を自動車、産業素材、三品産業、農業、物流、外食などの幅広い業界に展開していきます。特に、直近では、これまで形式値化が難しく属人的な経験や感覚によって評価・判断されてきた「ハリ」や「ツヤ」などの触覚にまつわるデータを定量化する用途など「1.コンポーネント事業」の製品化・事業化を加速しています。

◆代表取締役 濃野友紀からのコメント

この度、ご出資頂いた投資家様をはじめ、日頃より本当に多くの方々のご支援き、素晴らしい仲間達とともに事業を進められていること、皆様に心より感謝申し上げます。

大学発の研究成果であり、「画像(カメラ)をベースに触覚を再現する」コア技術を持つ当社は、会社設立当初より、その技術アプローチのユニークさから、「視触覚センサ」を見せると「おもしろいね」と多くの関心を集めました。しかしそれらはあくまで、好奇心の域を出ず、「でも、これはいったい何の役に立つのか?」という質問で突き返された経験は、数えればきりがありません。大学発の研究シーズであり、世の中にこれまで存在していない、実績のない技術を産業用途として提案している以上、これは当たり前のことだと思います。また、コンポーネント屋の永遠の課題でもある「用途開発」の壁とも言え、ひとたびスペックインできれば量産販売に繋がるものの、その1歩を踏み出せないジレンマであったとも捉えられます。こういった中、当社の戦略は、非常にシンプルでした。それは、まさに「やってみせ」の精神で、実際にロボットシステムを使うユーザ様をお客様として、アプリケーション構築を自らの手で先陣を切って作り上げてしまう(=視触覚センサという革新的な技術を使いこなしてしまう)、ということでした。食品工場を例にとると、バラエティに富み、不定形・個体差のある食材のハンドリングや、衛生面や安全面などの要件を受け止め、泥臭く現場に張り付き、継続的かつ高速に製品の改善ループを回し続ける、ということを愚直に実践してきました。最新の画像認識や機械学習の技術を使いこなすだけでなく、こういった現地・現物での取り組みこそが当社の技術を支えており、その中で得られた経験値と磨かれた技術力は今後本格的にグローバルで戦っていく際の競争優位性にも繋がる自信があります。さらには、アプリケーション(=顧客ニーズ)を起点に、コンポーネントに必要な製品要件へと落とし込み、「視触覚センサ・ハンド」としての製品アップグレードに繋げた上で、このコア技術を再度ロボットシステムにフィードバックできるサイクルは、当社の強みであり、2つの事業領域が両輪となり、相乗効果を生み出す典型的な例だと思います。ここでいう「アプリケーション起点のコンポーネント要件」というのは、必ずしも高機能化に向かわせる取り組みだけはでなく、むしろ逆に「ロボットシステムでやりたいことを実現するには、触覚センサとして、そこそこの情報量・精度で十分」という、過剰スペックを回避する要件定義を行うことも含みます。こういった最適化を図ることで、低コスト化に繋げ、お客様に付加価値を還元するアプローチを意識しています。「多品種生産の極み」、ともとれる食品加工の盛付現場で磨きをかけてきた当社製品・技術は、様々な業界にも転用可能であり、既に多くのお客様と難解な技術課題の解決に取り組んでいます。

「最先端技術を生み出し、大衆化する」ビジョンのもと、FingerVisionだからこそ生み出せる付加価値を大切にし、触覚センシングやロボットハンド、マニュピレーション(物体操作)、コンピュータビジョン、機械学習・強化学習領域におけるトップ・オブ・トップのメンバが集結する世界トップのロボット技術者集団を本気で目指しています。今後も当社の動向にご注目下さい!是非一緒に、変革を仕掛けましょう!!

◆会社概要
・社名: 株式会社FingerVision
・代表取締役: 濃野友紀
・開発拠点:
 ・東京都文京区本郷3丁目39-17 KOGAビル3階
 ・京都府京都市下京区朱雀宝蔵町73-1 ライトワンビル1F
・設立: 2021年10月
・URL: https://www.fingervision.jp/
・YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCRgZuTJvDxjD_7ta03BRQFA
・LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/fingervision/
・X/Twitter: https://twitter.com/Yuki_Nono_fv
・メール:contact@fingervision.jp

◆技術概要
「画像(カメラ)をベースに触覚を再現する」というコンセプトをコア技術としています。ロボットハンド等の指先に搭載することで、触覚(力や滑りの分布等)を知覚できるようになり、あたかも人が「手のひら」の感覚を使って物体を扱うような制御をロボットで実現できます。高機能(高分解能・マルチモダリティ)でありながら、経済性に優れる実用性の高さが特徴です。「触覚」センサとは言いつつも、把持対象物を見る(視覚)モダリティも備えた、まったく新しいコンセプトの「視触覚センサ」であり、ロボットと組み合わせたプロセス自動化だけでなく、無限の応用可能性を持ちます。

配信元企業:株式会社FingerVision

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