産業機械メーカーの株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、水を高圧で噴射し、自動車などの金属部品の洗浄を行う精密部品洗浄機「JCC(ジェットクリーンセンタ)」シリーズの新機種、「JCC-MULTI」を開発しました。
本商品は、10月18日(水)から10月21日(土)まで愛知県名古屋市ポートメッセなごやで開催される、工作機械の見本市「メカトロテックジャパン2023 ※2」に出品しています。

JCC-MULTI外観



1.装置概要
水を高圧で噴射してあらゆる部品の洗浄を行う、高圧水部品洗浄機のベストセラー「JCC」シリーズの新商品です。ターンテーブルを搭載し、EV部品の洗浄・乾燥をこれ1台で行うことができます。
EV(電気自動車)部品の洗浄に最適な機能・スペックと、脱炭素社会の実現に向けた省エネ機能を多数詰め込みました。従来の高圧水部品洗浄機と比較して、CO2排出量を洗浄では約75%、乾燥では約52%削減することに成功しており、EV時代の自動車部品製造に最適な洗浄機です。

2.開発背景
近年、自動車のEV化が進み、自動車製造の現場では大幅な部品転換が起きています。従来のガソリン車の主要部品であったシリンダヘッドやシリンダブロック、トランスミッションなどはEVには存在せず、これらに替わって、モータやインバータに関わる部品がEVの主要要素となっています。中でも、モータ等の駆動要素を一体化したユニット、「eアクスル」がEVの主要部品です。
また、脱炭素に向けた社会全体の取り組みも加速しています。自動車業界においても、サプライチェーン全体でCO2排出量の削減に向けた取り組みが求められており、使用される工作機械は、従来よりも消費電力量が少ないことが当然とされる時代になっています。
これらの背景を受けて、EV部品の洗浄に最適な機能・サイズを持ち合わせながら、従来と比べてCO2排出量も削減できる、時代のニーズに応える部品洗浄機を目指して本商品を開発しました。

3.特長
(1)スイング狙い撃ち洗浄により高清浄度と省エネを両立

洗浄は、ワークの回転軸とノズルの駆動軸が同期して動くことにより高精度に洗浄できる「スイング狙い撃ち洗浄(特許第7013520号)」を採用。高速で位置決めする新型ノズル駆動ユニットによる狙い撃ち洗浄は、使用する圧力と流量を最小化することに繋がり、消費電力を抑えながら高清浄度を達成します。高圧水部品洗浄機の従来機と比較して、CO2排出量を75.1%削減することに成功しました。
さらに、従来の機構に加えて洗浄ノズルにY軸(前後軸)を搭載したことで、洗浄範囲を拡大しています。これによりモータケースの内面といった筒状ワークの内部も洗浄可能となっています。

(2)遠心乾燥機能による省エネ乾燥(特許出願済)
乾燥室では、新開発の遠心乾燥機能を搭載。ワークを上下に旋回させ水抜けのよい姿勢にて高速回転させることで、洗浄後に付着した水分を遠心力で飛ばして乾燥を行います。
乾燥工程で一般的に使われている工場エアによるエアブローは、消費電力が非常に大きく、CO2排出量が多いというデメリットがあります。JCC-MULTIは回転機構と、内蔵ブロワによるアシストエアのみでワークを乾燥できるため、従来のエアブローを使った装置と比べて、乾燥時に発生する消費電力とCO2を大幅に削減します。(当社従来機比-52.2%)

(3)ターンテーブルを標準搭載し、工程集約とタクト短縮を実現
ターンテーブルを標準搭載しており、2室で洗浄・乾燥を同時に可能。工程集約とタクト短縮を実現します。また、ターンテーブルは装置の正面に対して斜めになるように配置しました。これにより広い加工エリアを持ちながら設置スペースを抑えることができ、装置のフットプリント削減を実現しています。


(4)大型EV部品の洗浄が可能な広い洗浄エリアと、省スペースなフットプリントを両立 

洗浄室への設置イメージ

対応ワークサイズは400×500×600と、EVの主要部品であるeアクスルを十分に洗浄できる広いエリアを確保。 同時に洗浄タンクを装置と一体化させることで、省スペース化を実現。同程度の洗浄エリアを持つ従来機と比べて、設置スペースを約20%削減しました。



(5)装置の前からも上からもワークを搬入可能

自動搬送に対応するため、装置のテーブルはワークの全面と上面が開放されるL型2面ドアを採用。ロボットによる装置前面からの搬送、ガントリーローダによる装置上面からの搬送のいずれにも対応し、お客様の工程自動化に貢献します。







(6)メンテナンスエリアを1か所に集約し、作業者の負担を軽減

高圧水発生ポンプ、エア機器、タンクといった日常的にメンテナンスが必要な箇所を、装置の背面1か所にまとめて配置。作業者がメンテナンスをまとめて行うことができ、生産性を向上します。
加えて、装置の両側面には機器や扉を配置していないため、装置の隣接設置が可能となり、工場レイアウトの省スペース化にも寄与します。





4.仕様等


5.用語・補足
※1 CO2排出量を60%削減
高圧水部品洗浄機の従来機と比較して、洗浄と乾燥を合わせた装置全体での1サイクルあたりのCO2排出量削減率。サイクル全体のうち、洗浄55%、乾燥35%、非稼働10%として計算。

※2 メカトロテックジャパン2023
西暦奇数年に愛知県名古屋市で開催される、国内最大級の工作機械見本市です。
■会期:2023年10月18日(水)~10月21日(土)
■会場:ポートメッセなごや
■主催:(株)ニュースダイジェスト社
■URL :https://mect-japan.com/2023/

<本件に関する報道関係者からのお問合せ先>

株式会社スギノマシン

精密機器事業本部 技術統括部 応用開発課 

TEL:(076)475-5112

<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン  
■代表者:代表取締役社長 杉野 良暁、代表取締役副社長 杉野 岳
■本社所在地:〒936-8577 富山県滑川市栗山2880番地 
■TEL:(076) 477-2555(代)
■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
■URL:https://www.sugino.com/

配信元企業:株式会社スギノマシン

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