ギャレス・エドワーズ監督の最新作にして、映画「TENET テネット」(2020年)でも主演を務めたジョン・デヴィッドワシントンハリウッド作品への出演が続く渡辺謙が共演を果たすSFアクション「ザ・クリエイター/創造者」が10月20日(金)に公開される。日本での公開を目前に控える中、10月17日に本作のジャパンプレミアが行われ、イベントの様子が届いた。

【写真】ギャレス・エドワーズ監督&堀越麗禾、ロケバスツアーで思い出のロケ地巡り

■近未来の世界で紡ぐAIと人間の壮大な“愛”の物語

本作の舞台となるのは、近未来の世界“ニューアジア”。元特殊部隊ジョシュアは、人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう。しかし、そこにいたのは純粋無垢(むく)な超進化型AIの少女・アルフィーだった。

そして、彼は“ある理由”から、少女を守りぬくと誓う。AIと人間の関係を超えた、壮大な“愛”の物語の幕が開く。

一足早く公開を迎えたアメリカでは、「今年最高の映画であり、過去最高のSF映画」「オスカーに値する」との絶賛レビューが。また、「単なるSF映画ではなく、現代の大きな課題であるAIと人間との関係をエモーショナルに描き出す唯一無二のストーリー」「AIロボットと共存する日本含む“ニューアジア”の在りようは近未来の世界を預言してるかのようだ」との声も挙がっている。

■大の親日家・ギャレス・エドワーズ監督、“7年ぶりの”PR来日を果たす

ジャパンプレミアには、ギャレス監督、アルフィー役の吹き替え声優を務めた堀越麗禾(市川ぼたん)、さらに、渡辺演じるAIシミュラント(模造人間)・ハルンそっくりのスタチュー、通称“謙ドロイド”が登場し、日本のファンと共に映画の公開を祝福した。

全米俳優組合ストライキにより参加がかなわなかったキャストたちの名前を入れたオリジナルTシャツを自ら着用し、「コンニチハ!」と元気な日本語のあいさつで登場したギャレス監督。大の親日家としても知られており、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」以来、7年ぶりのPR来日となった。

ギャレス監督は「撮影の最後に行ったのが日本。今日ここへ来る道中、奇妙なことにロケ地を通ると、街中の広告ビジョンに『ザ・クリエイター/創造者』のトレーラーがかかっていた。特別な縁を感じたような不思議な気持ちになりました」と、撮影地への凱旋に感慨深げな様子を見せた。

舞台となる近未来の世界をリアル且つ壮大に描き出すため、監督含む製作陣は8カ国80カ所を訪れ、日本でも渋谷・新宿などで撮影を行った。ギャレス監督は「日本の文化やデザインに非常に影響を受けています」と話し、「僕が子どもの頃、日本が描く未来像に憧れたのですが、今回の作品はそれを投影したような映画になっているよ!日本は心から大好きだし、この作品は日本へのラブレターなんだ」と、日本のファンには特に注目してほしいとアピール。

また、日本愛溢れるギャレス監督ならではのオリジナルな世界観にさらに彩りを添えたのが、アルフィー役の吹き替え声優を務めた堀越。着物姿でステージに登場した堀越は、吹き替えの収録日に父親の市川團十郎から「頑張ってね」とたくさんの激励をもらったと言い、力を注いだ吹き替え版について「アルフィーを演じるのは大変でしたが、この子がどういう風に考えてせりふを言っているのか、たくさん想像しながら頑張って声を入れさせていただきました」と自信たっぷりに話した。

一足早くそのシーンを鑑賞したギャレス監督からも「素晴らしい!麗禾さんの声は日本のアニメーションを思い出させるような声をしているので、本当にピッタリだったよ」と絶賛され、喜びの笑顔を浮かべた。

ギャレス・エドワーズ監督作の「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」は、ディズニープラスで配信中。

渡辺謙は「目線だけで思考のプロセスを表現できるすばらしい方」

その後、参加がかなわなかった渡辺の代わりに“謙ドロイド”が登場。ギャレス監督は「GODZILLA ゴジラ」ぶりのタッグとなった渡辺そっくりの“謙ドロイド”に「コンニチハ~!」とあいさつし、「なぜ彼が20年前と同じイケメンなのか、それは彼がロボットだからです!」と話し、続けて「(“謙ドロイド”の表情は)現場で監督としてさえない演出をした時の彼の表情に似ているね(笑)」と得意のジョークで会場を盛り上げた。

また、ギャレス監督は2度目となった渡辺との撮影を振り返り、「これまで僕が撮った作品で、2度出演しているのはケン・ワタナベだけなんだ。だけど現場に来てくださってレンズ越しに見たときに、なんてバカだったんだと思った。カメラを覗くだけで、クラシックな名作のような重みのある作品に見える」と絶賛。続けて、「せりふが無くても目線だけで思考のプロセスを表現できるすばらしい方」とコメントを残した。

ギャレス監督の熱いトークが繰り広げられた後、堀越が「なぜこのようなすごい映画を発想することができるのか」と質問する場面も。ギャレス監督はすぐさま「日本から全部盗んでいるだけです!」とユーモアたっぷりに回答。「ジョークではありませんよ!」とも付け加え、会場を沸かせた。

そんなギャレス監督へ、堀越からスペシャルなサプライズが。得意の日本舞踊の所作で、オリジナルの扇をプレゼントした。その粋な演出に「FAN(素晴らしい)!ありがとうございます。今日で僕は麗禾さんの1番のFUN(ファン)になりました!」とダジャレ交じりに喜ぶ姿を見せた。

最後に、公開を待ち望むファンに向けて、堀越が「『ザ・クリエイター/創造者』は近い未来のAIと人類の戦いが描かれたとてもすてきな作品です。感動するシーンがあったりとか、さまざまな感情が引き出される作品なので、ぜひ劇場で観てください!」とアピール。

ギャレス監督は「実は今回がこの作品の最後のプレミアなんです。4年かかった作品の最終地として相応しい場に立っているなと思います」と感慨深げに話し、「日本映画からたくさんインスピレーションをもらった作品です。インスピレーションをありがとう!」と日本のファンに向けてメッセージを届け、イベントは終了。会場中から温かい拍手が巻き起こった。

■渋谷&新宿をロケバスツアーするギャレス監督と堀越麗禾

ジャパンプレミアが開催された17日、ギャレス監督と堀越は日本の観光名所としておなじみの東京タワー、映画のロケ地ともなった渋谷のセンター街、新宿の大型ビジョン前を訪問した。

堀越は「映画の中で出ていた新宿や渋谷に監督とバスツアー出来て、本当に楽しかったです」とその感想を語る。

また、ギャレス監督は「映画を終わらせたのは1年3カ月前なのですが、今回も(新宿や渋谷を)訪れることが出来て不思議な気分。今回のバスツアーですてきなロケーションをいくつも見つけたので、ぜひ次回は麗禾さんに出演していただいて、映画を一緒に撮ろうと話していたんだ」と、バスツアーを通じて仲を深めた堀越へ熱烈なオファーも行った。

「ザ・クリエイター/創造者」ジャパンプレミアに参加したギャレス・エドワーズ監督と堀越麗禾/(C)2023 20th Century Studios