秋になり、全国各地で出没が報告されているクマ。北海道では、ヒグマによる農作物や人への被害が深刻化している。止むなくヒグマを捕獲・駆除することも少なくない。

ネット上では、そうしたヒグマを駆除するハンターへ理解を求める「ある投稿」が話題を呼んでいて…。

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■ハンターに理解を呼びかける投稿

北海道斜里町ヒグマ

ことの発端は、9月26日に投稿された北海道庁公式X(旧ツイッター)のポスト。「ヒグマ有害捕獲へのご理解とお願い」と題し、「人や農業などの被害防止のため、やむを得ず捕獲する場合があります。この捕獲は地域の安全に欠かせないもの。捕獲への非難は、その担い手確保の支障になりかねません」と、ヒグマを捕獲するハンターへの理解や協力を呼びかけたのだ。

ポストには、ヒグマ2頭が斜里町の道路を歩く写真も添えられている。

北海道首里町ヒグマ

日本では、ヒグマ北海道のみ生息。8~10月にかけて食べるものが減り、畑の農作物を食い荒らしてしまう。そうした被害を防ぐため、ヒグマを捕獲・駆除する必要があるのだ。

 

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■ネット上では怒りの声

ただ、北海道庁のXによれば、ヒグマを駆除するハンターを誹謗中傷する者がいるようだ。件のポストはネット上でも話題に。

「すぐに可哀想と言うが、そこに暮らしている人達にとっては恐怖しかない」「動物愛護は分かるけど、その動物で被害に遭われた人より動物の方が可哀想なのか?」「畑が荒らされたり、飼育してる動物に被害があるし、人が生活する上で重要なことだと思う」「批判的な意見があったとしても、 個人を攻撃するのは如何なものか」など、ハンターを批判する人に対する厳しい意見があがっている。

ハンターへの批判の実態を聞くため、実際に苦情が寄せられた釧路町役場に取材した。

 

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■釧路町役場に取材すると…

釧路町役場の担当者によれば、取材した10月5日時点で30件の苦情が寄せられているという。担当者は、「『クマがかわいそう』『他に方法はなかったんですか?』といったご意見が多いです。クマの駆除は10年ぶりくらいで、過去にあまりやったことがありませんでした」と話す。

今年8月下旬、釧路町では60頭以上の牛を襲ったヒグマOSO18(オソジュウハチ)」を駆除したニュースが大々的に報じられた。この件でクマを駆除したハンターに注目が集まり、ハンターに対する心無い言葉につながったのだろうか…。

 

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■呼びかけ後に変化も…

ただ、北海道庁の呼びかけ以降、変化もあったようだ。担当者からは、「9月26日以降、激励するメールが10件届きました。もともと、苦情より激励する声が多かったのですが、(北海道庁の投稿以降)そうした声が増えた印象です」というコメントが寄せられている。

北海道は、10月16日ヒグマの保護と個体数管理に関する専門家らの検討会を開催。生息数の増加により農作物や人への被害が深刻化しているとし、暫定的に捕獲頭数の目標値を設定することを決めた。現在も、ヒグマによる被害が後を絶たないことが窺える。

ハンターは、人間への被害を減らすため、捕獲・駆除していることを覚えておきたい。

※記事中で紹介したヒグマの写真は、北海道斜里町のヒグマで、OSO18や道東で捕獲された他のヒグマとは異なります。

 

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■執筆者プロフィール

斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。

某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。

チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。

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