「逆に僕だけ見えない」の主人公はブラック企業に勤める若手社員。ブラックと認識しながらも、就職したときに浮かれて買った新車のローンのせいで、辞めるわけにはいかない。ある日、社長が「ビジネスはエネルギーだ。そして霊感もエネルギーだ」とイカれた発言をし始めた。そして「1カ月以内に霊が見えるようにならない社員はクビだ」と宣告…!!

【漫画】本編を読む/全24ページ公開!

「上等だ!こんな“あたおか企業”こっちから願い下げだ」と心の中で毒づくものの、辞めるわけにはいかない主人公。会社では霊が見えるようになるための謎の研修まで始まり、2週間後には見える社員も現れ始めた!

見えなければいけないのは、この会社に棲みついている地縛霊。みんなが見えるようになっていく中、主人公だけどうしても見えずに悩んでいると、机の上に「ガンバレ」と“死骸の毛”で書いた文字が!!どうやら地縛霊が応援してくれているらしいが、毛で書かれた文字はとにかく気色悪い。最初は怖がっていた主人公だが、誠実に謝罪してくる霊に対して、次第に心を打ちとけていく。

霊の正体は、このブラック企業で経理部に勤めていた元社員。数年前に過労死してしまい、死後も会社から離れられない地縛霊となったらしい。本作を描いたのは、会社員として勤める傍ら、漫画家としても活動している新田せん(@nittasen)さん。会社勤めをしていることを武器にネタを作り、創作活動に取り組んでいる漫画家だ。本作について話を聞いてみた。

――本作品で、こだわった点や見どころなど教えてください。

人間が日々“怖い”とか“嫌い”と思っているものも、よく知ってみるとかわいいところがあるのかな?と思いながら幽霊のヒロインを描きました。ですので、ヒロインをかわいく見せる点にはこだわったといえるかもしれません。

――霊感のない主人公と幽霊の女の子は「気色悪い毛」を使って意思疎通を取っていましたね。

はい。あの毛を所持できるのは幽霊だけで、あれは彼女の必須アイテムです。気色悪いですが…(笑)。

――終盤になるにつれ存在感を出してきた「メガネの藤田」の存在が気になります。読者からもひそかに人気を集めていたようでしたが…?

藤田くんはただのモブだったんですけど、「絶対この職場(学校)おかしい」と思いながらも、言えずに流されてしまってる感じが、多くの人の“あるある”を想起して共感を呼んだのかもしれません。

過労死した元経理部の彼女は、一体どうして地縛霊とならなければいけなかったのか。主人公が「お前、悪いこと何もしてないだろ!?」と霊に問いかけるシーンがある。そのとき、彼女が“気色の悪い毛”で書いた文字は「フンしョクケっサン」の文字。ヘビーなワードも飛び交う作品だが、実は作者の得意とする分野は「ラブコメです。それしか描けないとも言えます(笑)」。そう言うだけあり、終始ユーモアあふれる作品となっているので、ぜひ読んでみて!

取材協力:新田せん(@nittasen)

「霊が見えないとクビ!」という“あたおか企業”、こっちから願い下げたいが、主人公には辞められない理由があった