チェルシーベルギー代表などで活躍し、無所属となった今夏に現役引退を発表したエデン・アザールが引退決断の背景を語った。18日、ベルギー紙『L’Avenir』が伝えている。

 今月10日、自身の公式Instagramにて「自分自身の声に耳を傾け、適切なタイミングで止めるという決断を心得なければいけない」と綴り、16年間のプロキャリアに終止符を打ったアザール。リール、チェルシーレアル・マドリードの3クラブを旅した稀代のドリブラーは、クラブタイトルとしてプレミアリーグチャンピオンズリーグなどを、個人タイトルとしてはリーグ・アン年間最優秀選手賞やプレミアリーグ最優秀選手賞などを総なめ。ベルギー代表としても通算126試合に出場し33得点36アシストを記録している。

 プロキャリアにおける最後のクラブとなったレアル・マドリードでは度重なるケガに悩まされ、本来の実力を発揮できなかったアザール。そのような背景を踏まえつつ、同氏は「(昨年12月に)代表を引退したときに、すでに現役引退についても考えていた。マドリーで複雑な時期を過ごしていたからね」と告白。続けて「ピッチで楽しめなくなったら、すぐにやめるといつも言い続けてきた。お金のためにどこかに行ってプレーしたくなかった。だからこれがベストなんだ。もうトレーニングは楽しくなかったし…もうプレーもしていなかった。シンプルな決断だったよ」と自身の信念に基づいた決断だったようだ。

 またアザールは、今夏の移籍市場にも言及。レアル・マドリードとの契約を1年残しながら、契約解除という形でクラブ退団を選んだわけだが、同氏は「マドリーでの日々は悪いことばかりではなかった。信じられないような人たちにも出会えたんだ。世界最高のクラブでプレーできたことは、僕が味わうことのできた壮大な夢」と追憶。さらに「この夏は何も起こらなかった。ナンセンスな話もたくさん聞いたけど、それも移籍市場の一部。自分の名前が多くのクラブに紐づいているのを見るのはクールだったね」と新天地を探すつもりはなかったことを語った。

 最後に、アザールは「人生を楽しむことにするさ。自転車に乗ったり、ゴルフをしたり、旅行をしたり。普通の人がするように」と見据えつつ、「フットボールは僕の人生の大部分を占めている。今は自分のために時間を取っているから、フットボールを恋しいとは思っていないよ。でもきっと、恋しくなる日が訪れる。僕はテレビで試合を見るし、息子たちもプレーしているんだ。遠く離れることはないだろう」と思いを巡らせている。

 32歳でプロキャリアに区切りをつけたアザールは今後、どのような人生を歩んでいくのだろうか。

引退決断の背景を明かしたエデン・アザール [写真]=Getty Images