千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長/CEO:中田孝明)は、本日「さっぽろ連携中枢都市圏内の12自治体と連携する行政オープンイノベーションプロジェクト『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』の第2期第3弾として、2023年8月25日、同社が開発した救急医療情報システム『Smart119』(特許第6875734号)の実証実験を、石狩市(市長:加藤龍幸)、当別町(町長:後藤正洋)、新篠津村(村長:石塚隆)の3市町村を管轄する石狩北部地区消防事務組合消防本部にて実施したことを発表します。

『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』は、「さっぽろ連携中枢都市」の12市町村(*)とスタートアップの協働で、地域・行政課題の解決を目指す国内最大級の行政オープンイノベーションプロジェクトです。

救急医療情報システム『Smart119』は同プロジェクトに採択され、第1期として昨年10月1日より札幌市にて「救急搬送の効率化」を目的にした実証実験を実施。2023年(令和5年)度の第2期は、11市町村を対象に実証実験が行われており、第1弾は6月に小樽市で実施したほか、第2弾は江別市にて8月より来年3月末まで実施中です。

その第3弾として8月25日(金)、石狩市、当別町、新篠津村の3市町村を管轄する石狩北部地区消防事務組合消防本部にて実証実験を実施しました。

札幌市小樽市岩見沢市江別市千歳市恵庭市北広島市石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町

◆実証実験内容と評価

全国的に急増し救急需要においての課題となっている「救急隊の現場滞在時間(*1)の短縮」等の解決を目的に、以下の2項目を行いました。

1.過去4年間分の救急出動データの解析

石狩北部地区の救急出動データ18,968件(2018年1月1日~2022年12月31日)から、「年・月・曜日別」「日別」「時間別」の覚知(*2)件数、「消防署・救急隊・救急車両別」の出動件数、出動地区別件数、事故種別、活動種類、搬送先病院、搬送患者のプロフィール、消防署別・救急隊別の現場到着所要時間や現場滞在時間といった各所要時間などを解析しました。

▲ 日時から「覚知」を分析する。覚知時間別では午前10時(6.8%)に大きなピークがあり、一旦減少したのち、17時(5.6%)に小さなピークがあることがわかる。

救急出動データは、出動地区住所から1km四方、5km四方のメッシュに分割、さらに国勢調査の当該地域人口データより1kmメッシュ別の人口情報(2015年、2020年)も加えて分析し、コロプレス図を作成。解析結果から、救急出動救急隊の移動配置シミュレーション(簡易版)、将来の救急需要予測簡易版(月別)を作成しました。

▲ 過去5年間の救急発生箇所を1kmメッシュのコロプレス図で表す。その多くが、石狩市花川北、花川南地区に集中していることが視覚化される。

その結果、既存の移動配置パターンよりも所要時間を短縮できる可能性がある移動配置パターンを導き出したほか、救急需要が65歳以上の高齢者人口の増減に連動していると仮定した場合の予測モデルを作成してみると、高齢者人口が今後も微増していくことに伴い石狩北部地区消防事務組合消防本部における救急要請件数はやや増加傾向であることがわかりました。

またデータ解析によって、より精度の高い救急需要予測を行い現場滞在時間の短縮を図るためには、気候変動や人口総数の増減などさまざまな要素の解析を含めた機械学習・AIによる救急需要予測分析、救急医療情報システム『Smart119』やオンラインダッシュボードの導入が必要である、といった今後の方向性も導き出されました。

2.『Smart119』を使用した検証(消防本部のみ)

『Smart119』は、救急隊が出動現場で行う傷病者情報の入力、事故状況等の共有、複数の医療機関への一括受入要請などを、タブレット端末等を使って迅速に行える救急医療情報システムです。一刻を争う救急現場の業務効率化、救急隊員の負担軽減、医療機関とのスムーズな連携をサポートします。

今回の実証実験では、石狩北部地区消防事務組合消防本部にて『Smart119』のタブレット端末等を使用して、情報伝達のしやすさ、医療機関選定・交渉時間の短縮及び効率化、救急隊の業務負担やストレス軽減効果を通常の電話連絡と比較、検証しました。

その結果、傷病者に接触してから搬送先決定までの計測時間は通常の電話連絡の場合における「21分46秒(*3)」に対し『Smart119』を使用した場合は「7分33秒」で「14分16秒」の時間短縮が示されました。『Smart119』の活用で、1事案あたりの平均病院交渉時間を「約66%短縮できる」ことが見込まれます。

実証実験後、成果指標として実施した救急隊員へのアンケート調査では、「実証実験は今後の救急活動に有効な実験である」との評価を全隊員から得られたほか、入力内容が引き継ぎ書や報告書に反映される機能については「救急隊の業務負担軽減につながる良い機能である」との評価も得られました。

              ▲ 石狩北部地区消防本部がある石狩消防署庁舎。

『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』第2期の実証実験は引き続き、さっぽろ中枢都市圏で実施予定です。

株式会社Smart119は、今後もICTの力や柔軟で独創的なアイデアをもとに救急医療現場の効率化を目指し、地方自治体と連携して一人でも多くの市民の命を守る取り組み、市民が安心して暮らせるまちづくりに貢献していきます。

(*1)救急現場に到着後、患者を医療機関へ搬送するまでの時間

(*2)消防機関や警察が火災や事件を認知すること

(*3)石狩北部地区消防事務組合消防本部の1回あたりの病院交渉・照会の参考値(令和4年)より

    以下のように算出。
    ・平均交渉時間9分04秒(544秒)、平均照会回数2.4回
    ・544×2.4≒1306秒(21分46秒)

▼救急医療情報システム『Smart119』の主な機能

https://smart119.biz/smart119/

◆関連プレスリリース
・2022年2月1日
【救急医療DX化】救急医療情報サービス「Smart119」が、行政オープンイノベーションプロジェクト『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』に採択
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000056624.html

・2022年9月30日
「Smart119」が実証実験を10月1日より札幌市内で開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000056624.html

・2023年3月23日
【救急医療DX化】「Smart119」が、札幌市に続いて、江別市小樽市など12の市町村で構成されるさっぽろ連携中枢都市圏にて実証実験を実施予定
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000056624.html

・2023年7月3日

【救急医療DX化】Smart119が、小樽市にて救急医療情報システムの実証実験を実施

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000056624.html

・2023年8月14日

【DX化で救急活動時間の短縮を】江別市にて救急医療情報システムを活用した実証実験を開始

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000056624.html

■実証実験へのお問い合わせ

smart119toiawase@smart119.biz

※この実証実験についてのご質問やお問い合わせは株式会社Smart119にご連絡ください。

この内容について消防局へ直接ご連絡することはご遠慮ください。

株式会社Smart119について>

株式会社Smart119は「現役救急医が設立した、千葉大学発スタートアップ」です。

『今の「119」を変える』ため、音声認識とAIを活用した救急医療情報システム「Smart119」を開発・運用。

千葉市において、日本医療研究開発機構 (AMED) の救急医療に関する研究開発事業を実施。

緊急時医師集合要請システム「ACES」、災害時をはじめ、医療事業継続支援システム「レスポンサム(respon:sum)」の開発・運用を行っています。Smart119は「安心できる未来医療を創造する」を目指します。

株式会社Smart119概要】

会社名: 株式会社Smart119

住所: 千葉県千葉市中央区中央2丁目5-1千葉中央ツインビル2号館 7階

設立: 2018年5月

代表者: 中田 孝明

事業内容:

音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」の開発・運用

救急患者受入体制強化サービス「ACES」の開発・運用

医療事業継続支援システム「レスポンサム(respon:sum)」の開発・運用

URL: https://smart119.biz

Twitter: https://twitter.com/Smart119_jp

メールアドレス: press@smart119.biz

配信元企業:株式会社Smart119

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