話題の映画やドラマ、舞台などで活躍している俳優・松坂桃李。2016年放送のドラマ「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系Huluで配信中)では、コミカルな演技で“ゆとり世代”の小学校教師役を演じ注目を集めた。そしてドラマの続編となる、10月13日より公開中の映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」にもメインキャストとして出演。幅広い演技力でファンを魅了する松坂を深掘りする。

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■戦隊モノで俳優デビュー後、日本アカデミー賞の常連に

松坂は19歳の時、友人の勧めで「チャレンジFBモデル2008オーディション」に応募。その結果グランプリを獲得し、男子大学生向けファッション雑誌「FINEBOYS」(日之出出版)の専属モデルとして芸能界入りを果たした。

とあるメディアのインタビューでは、「ノリで受けた」「雑誌の撮影も月に2回程度で、アルバイト感覚だった」と語っており、当時は友達との話題作りのために活動していたそう。しかし2009年、事務所に言われるがまま受けたスーパー戦隊モノのオーディションに合格し、「侍戦隊シンケンジャー」(テレビ朝日系)のシンケンレッド・志葉丈瑠として俳優デビュー。演技初体験ながら、テレビドラマ初出演、初主演作品となり、それ機に役者に興味を抱き始めたようだ。

その後、2013年には「第36回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞し、以降も数々の話題作に出演。「第42回日本アカデミー賞」では最優秀助演男優賞を、「第43回日本アカデミー賞」では最優秀主演男優賞を連続で獲得した。

中でも「第42回日本アカデミー賞」で最優秀助演男優賞を受賞した2018年公開の「孤狼の血」(Huluで配信中)と、2021年公開の「孤狼の血 LEVEL2」では、暴力団組織と対峙する刑事役を熱演。優等生キャラからワイルドに変貌を遂げていく役柄を見事にこなし、話題を呼んだ。

同作について松坂は、以前「日曜日の初耳学」(TBS系)に出演した際に、「『なんでも、どんな役でもやるので、20代後半はいろんな役に挑戦させてください』と言って、やらせてもらったんです」と語っている。

また2018年に主演を務めた映画「娼年」では“半分以上がラブシーン”というオトナチックな作品に体当たりで挑戦。新境地を開拓し、演技の幅を広げていった。

■松坂の発言がきっかけで映画化された「ゆとりですがなにか」

若手の登竜門とも言われているスーパー戦隊モノの主演を経て、さまざまな作品に出演し、数々の受賞歴を持つ松坂は、テレビドラマにも多数出演している。

その中でも話題となった作品が、“ゆとり世代”を題材にした「ゆとりですがなにか」だ。松坂、岡田将生柳楽優弥の3人がメインキャストを務め、3人とも実際の“ゆとり世代”であることでも注目を集めた。

本作は、「ゆとり世代」のアラサー男子3人が、仕事、恋、友情に迷いあがきながらも懸命に立ち向かう、笑いあり、涙ありの人間ドラマ。脚本を宮藤官九郎が担当したこともあり、当時若年層の男女から熱狂的な支持を受けた。

その中で松坂は、優しくまじめだが、女性経験ゼロの小学校教師・山路一豊をコミカルに演じた。当時のネット上では、松坂について「まさにハマり役!桃李くんのファンになった作品」「コメディ要素満載の中で、新しい一面を見られた気がする」「優しいけど頼りがいがないという役柄を、違和感なく上手く演じてた」など、演技を高く評価しているコメントが寄せられている。

視聴者の満足度が高い作品として、第4回コンフィデンスアワード・ドラマ賞「脚本賞」なども受賞している本作。その人気ぶりから、2017年には2週連続でスペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」が放送された。動画配信サービスHulu」では、本作とスペシャルドラマに加え、スピンオフドラマ「山岸ですがなにか」も全話配信中だ。

そんな人気連続ドラマの続編となる映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」が、10月13日より劇場で公開中。30代半ばに差し掛かったゆとり世代3人組が、働き方改革、テレワーク、コンプライアンス、グローバル化など、想像を超える新時代の波が押し寄せる中で懸命に生きる姿が描かれる。いまだに女性経験ゼロの山路役を続投する松坂の演技は要注目だ。

ちなみに8月23日に都内で行われた完成報告会見では、映画製作の経緯が明かされている。実は松坂がたまたま見ていたアメリカのコメディ映画「ハングオーバー」シリーズで、登場人物たちが様々なピンチに直面し、ドタバタ劇を展開する様子が「“ゆとり”の3人にしか見えなくなった」と、宮藤に話したことが映画化のきっかけになったそう。松坂の一言によって、ファン待望の映画化が実現したのかもしれない。

ドラマ「ゆとりですがなにか」より/(C)NTV