ドラマ「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系Huluで配信中)の続編となる映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」が、10月13日より上映中。柳楽優弥岡田将生松坂桃李の共演で話題を呼んだ本シリーズは、柳楽が新境地を見せた作品としても知られている。今回は、道上まりぶ役でメインキャストの1人を務める柳楽のキャリアと魅力にフォーカスする。

【写真】作業服姿もカッコいい柳楽優弥“道上まりぶ”

■映画「誰も知らない」でカンヌ受賞、鮮烈なデビュー

柳楽が初めて演技に挑んだのは、初オーディションで合格を勝ち取った是枝裕和監督の映画「誰も知らない」(2004年公開)。1988年に発生した「巣鴨子供置き去り事件」をもとにした作品で、柳楽は母親に家に置き去りにされる4人兄弟の長男役を演じた。

ネグレクトに遭いながらも、弟妹と共に必死で生活を守ろうとする子供の役を自然体そのままの演技で表現する柳楽の姿は、観る者すべてに鮮烈な印象を与え、「第57回カンヌ国際映画祭」で男優賞を獲得。当時14歳での受賞は史上最年少、また日本人としては初の受賞となった。

映画公開前に放送されていたHONDAのCMやドラマ「クニミツの政」とは異なった、繊細で素朴な演技力が光り、一躍売れっ子役者の仲間入りを果たした。

■子役から大人の役者への脱皮

その後も、映画「シュガースパイス 風味絶佳」や「包帯クラブ」といった話題作への出演が続くが、「誰も知らない」で“天才子役”のイメージが強すぎたが故に、子役から俳優へと成長する柳楽の姿がそのイメージを上書きすることがなかったのだ。

その後、一時的に体調不良で俳優業から離れ、社会勉強のために約1年間、アルバイトに勤しんでいた柳楽。プライベートでは、2010年に女優の豊田エリーと結婚し、3児の父親としての顔も持つ。

そういった人生経験が経験が功を奏したのか、芸能界復帰後は映画「クローズEXPLODE」「ディストラクション・ベイビーズ」「銀魂」シリーズや、NHK朝の連続テレビ小説「まれ」、大河ドラマ「おんな城主 直虎」などに出演。シリアスな役からコミカルなキャラクターまで、あらゆる人物を強烈な存在感で演じ切り、“「誰も知らない」の男の子”のイメージを払拭した。

■「ゆとりですがなにか」でこれまでの役者のイメージを一変

ドラマ「ゆとりですがなにか」(2016年)は、ゆとり第一世代にあたるアラサー世代の青年たちが、社会問題や恋愛に直面し、葛藤する姿を描くコメディードラマ。

柳楽演じる道上まりぶは、かつて“神童”と呼ばれる秀才だったが、受験に対する過剰なプレッシャーで挫折。大学受験に失敗して11浪中で、今は風俗店の呼び込みの仕事をやっており、「おっぱい」を連呼する陽気なキャラとなっている。

転落の一途を辿りながらも何処か憎めない道上役を好演した柳楽は、本作を通してそれまでの俳優のイメージを塗り替えることに成功。“どんな役柄でも違和感なくこなせる俳優”として仕事の幅を広げるきっかけとなった。

そして公開中となる映画「ゆとりですがなにか インターナショナル」では、ドラマ版に引き続き道上役で出演。11浪目にしてようやく大学に合格するも、卒業後に中国での事業に失敗し、出戻りでフリーターとなる破天荒な男を演じる。

そんな道上たちが、働き方改革、テレワーク、多様性、グローバル化など新しい時代の波が押し寄せる中で、ゆとりのない日々を過ごしながらも懸命に生きる姿が描かれる本作。ドラマ版とは異なり、Z世代の躍進、多様性の広がりなど、新たな局面を迎える道上を、現在の柳楽はどう演じるのか要注目だ。

ドラマ「ゆとりですがなにか」より/(C)NTV