歌手の浜崎あゆみさんが、自身のインスタグラムのストーリーズで、自身のライブチケットが高額転売されていることに対し「ダメだって。マジで」とコメントした。

現在開催中のツアー「ayumi hamasaki 25th Anniversary Live Tour」の公演チケット(公式サイトでは1万1000円)を、1枚73,000円、4枚98,000円などの高額で販売するサイトのスクショを投稿。これらはファンクラブ「TA」の先行販売で当選したチケットだったとし、「あのさー、こんな高額転売をする為にTAの抽選に参加しないで欲しい」と苦言を呈した。

コンサートやスポーツのチケットの高額転売はかねてより問題になっているが、横行してしまっている現実がある。対抗策はないのだろうか。音楽コンサートのチケット転売問題に取り組んできた太田純弁護士に聞いた。

●法的にどんな問題があるのか?

——高額転売はどのような法的問題があるのでしょうか?

チケット不正転売禁止法によって、明確に禁止されています。

ごく簡単に言えば、チケットの券面や電子チケット上で、(1)特定の人だけが入場できること、(2)転売を禁止していることが表示されているものについて、他人に対して、定価よりも高い値段で転売する行為が禁止されています。また、不正転売を目的とした仕入れ行為も禁止されています。

——これまでも高額チケット転売への対抗策は練られてきたはずですが、なくなりません。有効な対策はないのでしょうか。

不正転売を防止する手段として、「ダイナミックプライシング」という手法が注目されています。これは、需要と供給に基づく変動価格制でチケットを販売する仕組みです。

主催者側でAI(人工知能)などが日々、変動価格を提示して販売していれば、仮に不正転売者が高額な価格を設定して別のサイトで出品しても無駄、あるいは高額設定をしにくくなるため防止策になる、と言われています。

他の手段としては、正規にチケットを購入した人が、急に用事ができて行けなくなってしまったときの救済策として、主催者側が用意するオフィシャル(公式)な「リセール」(払い戻しと再販売)のサイトの活用も有効でしょう。行けなくなった人がチケットを払い戻し、別の人が適正価格で買える仕組みです。

しかし、即日完売やファンクラブ限定の先行販売となれば、ダイナミックプライシングの出番はなくなります。さらにファンクラブ先行の抽選権を悪用して不正転売を企むような者がいたならば、公式リセールサイトがあっても意味がありません。

他にもファンクラブでの優先権や抽選権を悪用する事例として、会員情報を偽り、架空人や第三者名義で成りすましてファンクラブに入会し、優先権や抽選権を獲得したうえで、不正転売する例もあります。これらは文書偽造罪や同行使罪にも抵触する違法行為に該当します。

主催者側が対策しても、こうした違反行為があれば事前の防止策が有効に機能しませんので、不正な高額転売が後を絶たない状況にあるのでしょう。

——高額転売チケットを購入してしまう人が知っておくべき注意点はありますか?

浜崎さんご本人の投稿にもあるように、主催者側は不正転売に目を光らせており、開催前に発覚している場合も多いです。当日、入場の際の本人確認で、マークされた人の本人確認は当然厳しくされますし、入場を制限される場合もあるでしょう。

不正転売で購入した人は、「騙された、お金を払ったのに入場できなかった」となることもあるでしょう。こうした被害に遭わないためにも、違法な不正転売では購入しないことが大切です。

【取材協力弁護士】
太田 純(おおた・じゅん)弁護士
訴訟事件多数(エンタメ、知的財産権名誉毀損等)。その他、数々のアーティストの全国ツアーに同行し、法的支援や反社会的勢力の排除に関与している。
事務所名:太田純法律事務所
事務所URL:https://www.jota-law.jp/

浜崎あゆみさん、チケット高額転売に「ダメだって。マジで」 横行する違反行為、購入する人にリスクも