サルゴリラ

キングオブコント2023』(TBS系)で、サルゴリラが歴代最高得点964点で優勝。いかにして、サルゴリラが優勝できたのかを分析する。

 

■『キングオブコント』の進化

2021年の空気階段の優勝以来、『キングオブコント』は進化を遂げているように思われる。昨年の同大会は空気階段の優勝を踏まえてさらに多種多様な深化を成し遂げただろう。

今年の同大会はニッポンの社長・や団・蛙亭という優勝候補の実力派人気芸人が4組目までに集合しており、序盤の濃厚さが窺えた。

またカゲヤマがトップバッターとしては異例の高得点を叩き出し、そのままファイナルステージにも進出。冒頭の怒涛の勢いのまま駆け抜けた、異例の年となった。

 

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■トップバッターのカゲヤマ

トップバッターが不利であることはもはや常識と言っていい。しかし、カゲヤマは常識を覆した。トップバッターとしては異例のクオリティのネタによって、異様に高い得点からのスタートとなった。

ただし得点のばらつきやSNSの反応からしても、評価の分かれる面もあったようだ。何よりカゲヤマの1本目のネタは、裸芸の部分もある為、評価の分かれる面を生んだだろう。

とはいえ、取引先に裸芸的に謝罪し、許してもらう構成や、「まゆゆの写真集」などの、裸芸的な部分以外のおもしろポイントが確かな強みとなったに違いない。

 

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■ニッポンの社長の不条理コント

続くニッポンの社長も大変に尖ったネタで、不条理さとバカらしさを、勢いで包み込んだようなネタだろう。そのような中に、また「青春らしさ」も付帯しているネタであった。

同ネタも評価の分かれる要素もあるかもしれないが、審査員の点数としては、1人低い点数を付けたかまいたちの山内健司の点数次第であったとも言える。

結果的に開始の2組であるカゲヤマとニッポンの社長がファイナルステージに進出した異例の大会となった。

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■や団・蛙亭・ジグザグジギー

続く、や団の演出家コントも、大きなガラスの灰皿の回転の仕方が面白いというギミックもあり、これ以上なく今大会は攻めた展開となる。

続けて蛙亭らしい実力派コントが展開され、この後面白い芸人が続くのか不安になってもおかしくない程。

しかし、続くジグザグジギーは、元お笑い芸人の市長の大喜利回答という、アイディアに非常に富んだネタで、怒涛の流れを維持する。審査員には、松本人志のものまね要素がやはり引っかかる部分もあったようだが、同コントはSNS上の評判も非常に高いものであった。

 

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■サルゴリラのベテラン力

審査員次第で簡単に結果も変わるであろう程に、レベルが高い芸人が多い年となった今大会。攻めたハイクオリティなネタだらけの中で、後半に登場した今回の優勝者サルゴリラは、最年長らしい芸の巧みさを見せつけた。

怪しいマジシャンで笑いをとるネタの内容の面白さもさることながら、それ以上にキャラの乗せ方が洗練されていたと言える。

サルゴリラのコントは、ネタをきっちり披露していくというよりは、キャラの愉快な展開による笑いという要素が強い。よってネタの緊張感というよりも、キャラによる間や余計な台詞も挿入可能な余裕のあるコントであった。

 

■最年長が勝利した理由

今大会は優れたネタが目白押しだった分、よりサルゴリラの演者としての力が際立つことになったと言える。

ファイナルステージでは一層顕著となり、魚というフレーズを使いまくる野球監督は、コント番組でもずっと使えそうなキャラ。

つまりは、志村けんさんや内村光良をもイメージさせるような、レジェンド・コント芸人の系譜と言ってもいいかもしれない。まさしく今大会はベテランが報われるに相応しい完成度の高い年となったのだ。

『キングオブコント2023』でサルゴリラが優勝した理由 キャラの力