THE MUSICAL LOVERS】ミュージカルアニー』第52回
ミュージカルアニー』2024 オーディション合格発表レポート


2024年の丸美屋食品ミュージカルアニー が、4月~5月、東京・新国立劇場 中劇場で上演される。演出は山田和也、音楽監督は小澤時史、振付・ステージングは広崎うらんが2023年に引き続き担当する。そして同公演の子役(アニー役、孤児役)オーディションの最終合格者が、2023年10月22日(日)に日本テレビの施設内で発表された。

ミュージカルアニー』は、1924年からアメリカで新聞連載がスタートした漫画「ザ・リトル・オーファン・アニー(小さい孤児アニー)」をもとに、1977年にブロードウェイのアルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)で初演。「アニー」というキャラクターが誕生してちょうど100年となる2024年のアニー役(Wキャスト)にこのほど選ばれたのは岡田 悠李(オカダ ユリ/10歳・小学4年生・東京都出身)、絢田 祐生(アヤタ ユウキ/10歳・小学校5年生・神奈川県出身)の2名だった。

丸美屋食品ミュージカル『アニー』2024 新アニー役(左から)岡田 悠李 ・ 絢田 祐生

丸美屋食品ミュージカルアニー』2024 新アニー役(左から)岡田 悠李 ・ 絢田 祐生


日本テレビ主催によるミュージカルアニー』は1986年にスタート。2023年までの38年間で全国で、のべ約191万人もの観客を動員。また、72名ものアニーを誕生させてきた(うち、1986年-87年の1名、1987年-88年の1名、2020年中止のため2021年に繰り越した2名の、計4名が2年連続主演)。

そして39年目を迎える2024年の公演に向けた今回のオーディションでは、書類審査および学年に沿った課題曲の歌唱動画審査を突破した約250名(アニー・孤児役のみ)が、10月の実技審査(ダンスおよび表現、歌、演技)に進んだ。この審査を勝ち抜いてきた三十数名が、22日、主役のアニー役2名(Wキャスト)、孤児役12名(Wキャスト)計14名の最終合格者発表の場に臨んだのだった。

合格者の発表は、夕方5時。祈りをささげて待つファイナリストたちと、後ろで見守る保護者たちの前に、関係者たちが入場する。

最初に、主催の日本テレビ放送網株式会社 取締役 執行役員 澤桂一氏が挨拶。「(先週・今週の)2週間のオーディションではありがとうございました。合格した人には厳しい稽古があります。今日残念だった人も、このオーディションを通じて皆頑張った。成長した。今回ダメでも、スタッフ、家族、先生方への感謝の気持ちがあれば、また頑張れると思います。『アニー』はずっと続いていきます。ぜひ応援してください」とエールを送ると、少女たちは「ハイ!」「お疲れさまでした!」と元気に答えた。

日本テレビ放送網株式会社 取締役 執行役員 澤桂一氏(左端)の話を聞くファイナリストたち

日本テレビ放送網株式会社 取締役 執行役員 澤桂一氏(左端)の話を聞くファイナリストたち

次に、22年間という長きにわたる協賛企業である丸美屋食品工業株式会社 取締役 マーケティング本部本部長の杉山典由氏が、ファイナリストたちと保護者たちに向けて、「(10月21日・22日)2日間の最終オーディション、お疲れ様でした」と労った。ファイナリストたちも、皆「ありがとうございました!」と元気良く返事する。「丸美屋は、2024年も引き続き『アニー』を応援させていただきます。よろしくお願いします。これから名前を呼ばれて夢が叶う人と届かない人が出ますが、オーディションの仕組み上、仕方がないことです。ここに残れたことを誇りにして、長い人生、夢や目標に向かってチャレンジしてください。この経験を自信にして、アニーのようにずっと笑顔を忘れないでください」とあたたかく述べた。「合格された方は、この後さらに努力されると思いますし、厳しい稽古がありますが、全国に『アニー』のファンがいて、私もその一人です。来年4月の東京公演初日を非常に楽しみにしているので、舞台で元気な笑顔、踊り、芝居、歌声を披露してください」と、『アニー』ファンとして来年の舞台へ期待を込めた。

(左)丸美屋食品工業株式会社 取締役 マーケティング本部本部長 杉山典由氏

(左)丸美屋食品工業株式会社 取締役 マーケティング本部本部長 杉山典由氏

続いて、演出の山田和也が、「オーディションへの参加、ありがとうございます。保護者の皆様にも感謝申し上げます。先週の土・日に第二次審査がありましたが、対面で行うのは4年ぶりでした。映像での審査は繰り返し見られる利点がありますが、対面で伝わってくる情報量や豊かさ、対面だからこそ見えてくる、聞こえてくるものがあります。何が言いたいかというと、私たちが劇場でやっていることって、多分こういうことなんです。(新型コロナウイルス感染症流行以降)劇場作品を配信などで観られるのは、劇場にお越しいただけないお客様のためにもすごくありがたいことだと思っていますが、やはり劇場でライブパフォーマンスを生で観ることができる素晴らしさを、対面で審査したとき、そして今日もこうやって皆さんと直接お目にかかって、改めて感じました。来年、お客様に劇場で皆さんのパフォーマンスを生で観ていただけることが、やはり私たちにとって一番大事だと再認識させてもらったオーディションでした。なので、皆さんに会えて本当に嬉しかったです。ありがとうございました」と、ライブならではの魅力をまじえて伝えると、ファイナリストたちも「ありがとうございました」と返す。山田は、「どういたしまして。でも、あんまり引き伸ばしてもしょうがないので……」と空気を変え、5時7分、ついに合格者発表がスタート。

山田和也(演出)

山田和也(演出)

まずは各孤児役に選ばれた少女たちの名が告げられる。

<合格者> ※名前右横は受験番号

モリー
橋本 杏菜(ハシモト アンナ)A10
石川 愛梨(イシカワ アイリ)A7

橋本 杏菜(ハシモト アンナ)A10、最初に名を呼ばれ「はい!」と手を挙げた。

橋本 杏菜(ハシモト アンナ)A10、最初に名を呼ばれ「はい!」と手を挙げた。

石川 愛梨(イシカワ アイリ)A7

石川 愛梨(イシカワ アイリ)A7

ケイト
辻 乃之花(ツジ ノノカ)C2
大谷 茉奈(オオタニ マナ)C10

辻 乃之花(ツジ ノノカ)C2

辻 乃之花(ツジ ノノカ)C2

大谷 茉奈(オオタニ マナ)C10

大谷 茉奈(オオタニ マナ)C10

◆テシー役
岩永 桜イワナサクラ)D32
寺島 愛梨(テラジマ アイリ)D24

岩永 桜(イワナガ サクラ)D32

岩永 桜(イワナサクラ)D32

寺島 愛梨(テラジマ アイリ)D24、名を呼ばれた瞬間から感極まり両手で顔を覆う

寺島 愛梨(テラジマ アイリ)D24、名を呼ばれた瞬間から感極まり両手で顔を覆う

ペパー
設楽 乃愛(シダラ ノア)F6
長尾 咲南(ナガオ サナ)E36

設楽 乃愛(シダラ ノア)F6

設楽 乃愛(シダラ ノア)F6

長尾 咲南(ナガオ サナ)E36

長尾 咲南(ナガオ サナ)E36

◆ジュライ役
菅原 悠衣(スガワラ ユイ)G8
今関 望叶(イマゼキ モカ)G30

菅原 悠衣(スガワラ ユイ)G8

菅原 悠衣(スガワラ ユイ)G8

今関 望叶(イマゼキ モカ)G30は、望みが叶って思わず拍手

今関 望叶(イマゼキ モカ)G30は、望みが叶って思わず拍手

◆ダフィ役
小林 さくらコバヤシ サクラ)G17
朝日 美琴(アサヒ ミコト)G4

朝日 美琴(アサヒ ミコト)G4

朝日 美琴(アサヒ ミコト)G4

そして最後は、2024年のタイトルロールを務める2名が発表された!

アニー
岡田 悠李(オカダ ユリ)D35
絢田 祐生(アヤタ ユウキ)E34

岡田 悠李(オカダ ユリ)D35は、アニー役に選ばれた瞬間、溢れる涙を両手で受けた

岡田 悠李(オカダ ユリ)D35は、アニー役に選ばれた瞬間、溢れる涙を両手で受けた

絢田 祐生(アヤタ ユウキ)E34は、アニー役に選ばれた瞬間、飛び跳ねて喜んだ

絢田 祐生(アヤタ ユウキ)E34は、アニー役に選ばれた瞬間、飛び跳ねて喜んだ

【新アニー役プロフィール】

岡田 悠李(オカダ ユリ)
・出身 東京都
・年齢 10歳(小学校4年生/2013年生まれ)
・主な過去出演作品 ミュージカルジェーン・エア』ヤングジェーン/アデール役(2023年)

絢田 祐生(アヤタ ユウキ
・出身 神奈川県
・年齢 10歳(小学校5年生/2012年生まれ)
・主な過去出演作品 ミュージカルレ・ミゼラブルリトル・コゼットリトルエポニーヌ役(2021年)

ミュージカル『アニー』2024 アニー役(Wキャスト)岡田 悠李(右)、絢田 祐生(左)

ミュージカルアニー』2024 アニー役(Wキャスト)岡田 悠李(右)、絢田 祐生(左)


続いて、オーディションの最後を飾る恒例行事として、全員で立ち上がり「Tomorrow」を合唱。皆の合唱を見渡し、振付・ステージングの広崎うらんが優しくうなづく。残念だった子も、合格した仲間に「良かったね」と声をかけ、合格者は「頑張ろう」とお互いを鼓舞していた。

「Tomorrow」を全員で合唱

「Tomorrow」を全員で合唱


<チーム・バケツ ※チーム分けは変更する場合あり
アニー役:岡田 悠李(オカダ ユリ)D35
モリー役:橋本 杏菜(ハシモト アンナ)A10
ケイト役:辻 乃之花(ツジ ノノカ)C2
◆テシー役:岩永 桜(イワナサクラ)D32
ペパー役:設楽 乃愛(シダラ ノア)F6
◆ジュライ役:菅原 悠衣(スガワラ ユイ)G8
◆ダフィ役:小林 さくらコバヤシ サクラ)G17
<チーム・バケツ>

<チーム・バケツ

 

<チーム・モップ ※チーム分けは変更する場合あり
アニー役:絢田 祐生(アヤタ ユウキ)E34
モリー役:石川 愛梨(イシカワ アイリ)A7
ケイト役:大谷 茉奈(オオタニ マナ)C10
◆テシー役:寺島 愛梨(テラジマ アイリ)D24
ペパー役:長尾 咲南(ナガオ サナ)E36
◆ジュライ役:今関 望叶(イマゼキ モカ)G30
◆ダフィ役:朝日 美琴(アサヒ ミコト)G4
 
<チーム・モップ>

<チーム・モップ

その後、合格者たちのフォトセッションが行われた。チームごとに撮影するのだが、関係者が「新聞に載るよ~」「WEBメディアに載るよ~」と言うたびに、「おお~ッ!」と大興奮の子どもたち。

丸美屋食品の杉山氏との撮影の際には、公演スタッフから「差し入れいっぱいもらえるよ~」と言われた子どもたちが、「ふりかけイェーイ!」「私●●(商品名)が好き~」「●●のキャラクターのがいい」と自由に大騒ぎ。

丸美屋食品工業株式会社 杉山典由氏を囲み、「ふりかけイェーイ!」と大はしゃぎ

丸美屋食品工業株式会社 杉山典由氏を囲み、「ふりかけイェーイ!」と大はしゃぎ

丸美屋食品工業株式会社 取締役 マーケティング本部本部長 杉山典由氏と記念撮影

丸美屋食品工業株式会社 取締役 マーケティング本部本部長 杉山典由氏と記念撮影

極めつけは、「テレビに出るよ~」と言われた時だ。「何テレビですかぁ~??!!」の大声が、公演を主催する日本テレビのスタジオ中に響き渡った。

日本テレビ放送網株式会社の取締役 執行役員 澤桂一氏と。

日本テレビ放送網株式会社の取締役 執行役員 澤桂一氏と。

大盛り上がりの撮影会が終わると、新アニー2名と演出・山田和也による囲み取材が行われた。

ミュージカルアニー』オーディションは2回目(4年前/モリー役)の挑戦で、見事アニー役を射止めた岡田 悠李(チーム・バケツ)は、「心臓がすごいドクドクして、今にも爆発しそうです」と興奮をあらわにする。オーディションは3回目で、一昨年にアニーケイトで受けたのが最初で、昨年はアニー役を受けたという絢田 祐生(チーム・モップ)は、「友達が受かって、次は私かもしれないけれど受からないかもしれない、って、ずっとぐるぐる気持ちが回っていたのですが、受かって良かったです。めっちゃ嬉しいです」と喜びいっぱいだ。

どんなアニーになりたいか問われた2人。岡田は「元気ですごく明るくて、いくら寂しくても泣き顔を見せない。何事もポジティブに捉える子」、絢田は「何でも良いことに変えちゃうポジティブさ、その気持ちで周りの人も笑顔にさせちゃうようなアニーになりたいです」とそれぞれ抱負を語った。

演出の山田は、2人を選んだ理由について、「選ぶ、というよりも、アニーが向こうからやって来る。毎年同じようなことを言ってるんですが、選ぶというよりも、アニーが向こうからやってきてくれる。アニーが作品の中でお父さんとお母さんを探しに出かけていくように、アニーを選ぶ側の大人(審査員)も探しに行く。でも、アニーがお父さんお母さんに会えないように、私たちもなかなか会えません。今年も、先週やっていた第二次審査の時に『この中に果たしてアニーはいるのか?』ってちょっと不安になっていた。だけど昨日・今日の最終審査をやっていく中で、『いたいた!』と感じました。2人とも自分で言っていましたが、とてもポジティブ。それが決め手でした」と講評を述べた。

山田和也(演出)とガッツポーズを決める新アニー2名

山田和也(演出)とガッツポーズを決める新アニー2名

お互いの印象を問われたアニー役の2人。2人は初対面だが、岡田は絢田を「明るくて元気。アニーはアメリカ人ですけど、アニーを日本人に変えたそのままの子」、絢田は岡田を「近くで話しかけたら答えてくれて、すごく嬉しくて。私がボケちゃった時も普通にツッコんでくれて、めっちゃ面白いなって思った。共演できたら、すごい楽しいだろうなって思って想像しちゃって。今もめっちゃ嬉しい」と、お互いを「まさにアニー」と称え合う。

アニーに似ているところを問われると、岡田は「悲しい時はあるけれど、周りを心配させたくないから、心の中で受け止めて表には出さないところ」、絢田は「いろんなことを良いことに変えちゃうところ。周りの子から愚痴を聞いても、『でもそれってこうじゃない?』って変換すると、『祐生ちゃん、その発想すごいね』って言われるんです」と自己分析。

ミュージカルの世界で憧れている役者を問われると、岡田は「上白石萌音さんと屋比久知奈さん。ミュージカルジェーン・エア』で共演して、まだ何も知らない(名前だけ知っている)時に会った瞬間、ニコッと優しく笑ってくれて。しかも歌もダンスも上手だし、すごく綺麗な方だったので、見習いたいと思いました」、絢田は「熊谷彩春さん。ミュージカルレ・ミゼラブル』で共演したとき、すごく歌が上手くて、可愛くて素敵な人で、私もこんな女優さんになれて、将来有名になれたらなって思いました」と、それぞれ共演した際のエピソードも披露した。

得意なことは、岡田「高いところに登ること」、絢田「私は何でもご飯に想像しちゃうことと、ドヤ顔です。ご飯、大好き!『アニー』のセリフにデューセンバーグ(車の名前)があるんですよ。あれをハンバーグって思ってた。『今思っていることをぶちまけて』ってオーディションで言われたときにも、『親子丼、食べたーーーーい!!!』って叫びました」。アニーを演じるうえでのアピールポイントは、岡田「毎回少しづつ、顔の表現を1ミリづつ変えていくので、そこを見つけていただけたらすごく嬉しいです」、絢田「私はところどころドヤ顔をしたいと思います。ドヤ顔が得意です。そして(物事を)ポンポンポンって良いことに変えちゃうところを、今までの中のアニーで一番良く演じたいと思います」と、それぞれユニークな見どころを語った。

山田和也(演出)と全員で記念撮影

山田和也(演出)と全員で記念撮影

丸美屋食品ミュージカルアニー』は、新国立劇場 中劇場にて2024年4月~5月、東京・新国立劇場中劇場で上演される(東京公演ほか、夏には各地公演を予定)。ダンスキッズのオーディションおよび大人キャストなどの詳細情報は、続報を待ちたい。

なお、2023年末には、2023年アニーアニーズ(孤児役)&ダンスキッズ、さらに2022年アニー&スペシャルダンサーズも加わった「丸美屋食品ミュージカルアニー』クリスマスコンサート2023」が開催される。前年度の子どもたちが出演するのは4年ぶりとなり、アニー4名(2023年・2022年)、孤児役12名(2023年)、ダンスキッズ22名(2023年・2022年)が参加する。さらにウォーバックス役の藤本隆宏、ハニガン役のマルシアの出演も決定した。ミュージカルアニー』の楽曲と、誰もが知っているクリスマスソングが、オーケストラの生演奏で楽しめる。選ばれたばかりの2024年アニー役2人のお披露目も行われるであろう。今までとこれからのアニーを一緒に堪能できる、スペシャルなコンサートに期待したい。

文=ヨコウチ会長
写真撮影=安藤光夫(SPICE編集部)

丸美屋食品ミュージカル 『アニー』のアニー役・孤児役に合格した14名の子役たち