家庭料理に欠かせない野菜の一つ「タマネギ」。通年スーパーで手に入る上、和洋中問わずさまざまな料理に大活躍する野菜です。そんなタマネギの“あるある”といえば、切ったときに「ツーン」と目にしみて痛くなったり、涙が出たりすること。しかし、実はあの「ツーン」を引き起こす成分が、積極的に摂取したい「体にいい栄養素」であることを知っていますか。

 タマネギに含まれる特徴的な栄養素と、効率的な摂取のポイントについて、管理栄養士の桜井このさんに聞きました。

目にしみるのは「硫化アリル」

Q.タマネギには、どんな栄養素が含まれているのですか。

桜井さん「タマネギを切ったときに『ツーンと目にしみる』のは、『硫化アリル』という成分が含まれているためです。硫化アリルは『アリシン』という、血液をサラサラにしてくれる効果が期待できる成分に変化します。

また、疲労回復の効果が高いビタミンB1と結合して働きを高めてくれる効果もあるため、ビタミンB1が多く含まれる豚肉と一緒に食べると、相乗効果が期待できます。さらに『ケルセチン』という抗酸化作用のある栄養素も含まれます」

Q.タマネギを調理するときの注意点とは。

桜井さん「硫化アリルには、熱と水分に弱いという特性があります。『生のタマネギサラダに入れて食べるとき、少し水にさらすと食べやすくなる』と思っている人も多いかもしれませんが、これは辛み成分のもとである硫化アリルが流れ出てしまっているからなのです。

タマネギの辛みが苦手という人もいらっしゃいますし、調理する上で『水分や熱を加えずに…』というのはどうしても難しいのですが、効率的に栄養素を摂取するなら、水にさらさずに、生で食べることをお勧めします」

Q.生食以外で、効率的に栄養素を摂取できる方法はないのでしょうか。

桜井さん「スープポトフなどの煮込み料理に入れると、流れ出てしまった栄養素も汁と一緒に摂取できるのでお勧めです。また、新タマネギは、一般的なタマネギよりも甘みが強いため、生で食べるのに向いていると思います。

ちなみに、タマネギの皮は捨ててしまう人が多いと思うのですが、実は皮にも栄養素がたっぷり詰まっています。皮をきれいに洗って煮出し汁を作り、みそ汁などに入れるとおいしいですし、タマネギの食感が苦手という人でも栄養素を摂取しやすくなります。ぜひ試してみてくださいね」

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 タマネギ特有の、あの「ツーン」と目にしみる成分は、実は体にとてもいい栄養素だったのですね。「熱と水分に弱い」という性質も上手に利用して、効果的な調理法でタマネギ栄養素を摂取してみましょう。

オトナンサー編集部

タマネギの栄養素、意外と知らないかも…?