「ヤングマガジン」で現在大人気連載中の漫画『マイホームヒーロー』が、 佐々木蔵之介、高橋恭平(なにわ男子)、齋藤飛鳥、木村多江ら豪華キャストが集結し、連続ドラマと映画の同時製作で実写化される。娘を守るために娘の彼氏を殺して殺人犯になり、命を懸けた闘いに挑む平凡なサラリーマン・鳥栖哲雄役の佐々木と、哲雄を追い詰めていく冷徹で残忍な“闇社会の犯罪組織”のリーダー格・間島恭一役の高橋。初共演となる2人に話を聞くと、お互いの印象や自身にとってのヒーローを明かしてくれた。

【写真】犯罪組織のリーダー格・間島恭一を演じるなにわ男子・高橋恭平

◆初共演の2人 初対面時に高橋恭平が言った印象的な言葉とは?

――本作は、平凡なサラリーマン VS 犯罪組織という、日常ではありえない常軌を逸した展開が次々に巻き起こる怒涛のノンストップファミリーサスペンス。原作漫画や脚本を読んだ時の感想を教えてください。

佐々木:哲雄は一見平凡なサラリーマンですが、スーパーマンぶりを発揮し、仕掛けやトリックを淡々とこなしていく。漫画ではそのバックボーンとして推理小説好きという詳細が丁寧に描かれていて、すごく面白かったです。ただ映像になった場合、彼がピンチを切り抜けていく様をどこまで詳細に表現できるのか。制限があるのではと思いました。

高橋:僕は漫画もアニメも拝見しましたが、ただのサラリーマンと犯罪組織の掛け合いがすごく面白くて。演じる恭一の鋭い視線や底知れない怖さをどう表現していくのか、演じる前に楽しみで仕方なかったです。

――ご自身が演じられる役柄を聞いた時はどういう心境でしたか? またそのキャラクターにはどういう魅力がありますか?

佐々木:哲雄は犯罪者であり、ヒーローでもある平凡なサラリーマンという、いろんな要素があるんです。非常に多面的な役なので、役者としてこういう役に挑戦できることはありがたいなと思いました。

何が正義で何が悪なのか、非常にグレーで。哲雄自身も揺れ動きますが、彼は一つ家族愛というものを軸に持っていて、物語が進むにつれていつしか彼がヒーローに見えてきます。一秒先どうなるか分からないという主人公を見続けて、応援してほしいです。

高橋:僕は恭一のような役柄をいつか演じてみたかったので、めちゃめちゃ嬉しかったです。恭一は知れば知るほど面白くて。悪いこともしているけど、優しさや夢を持っていて、すごく芯がある。試行錯誤しましたが、演じていてすごく楽しい役でした。

――初共演になりますが、初めて会った時の印象は?

佐々木:高橋くんが「すみません、僕人見知りなんで」って最初に言ってきたのが印象的でした(笑)。

高橋:そこは大事じゃないですか(笑)。ファーストタッチ大事やと思って。とりあえず人見知りなのを知ってほしかったんです(笑)。

佐々木:それで理解できました(笑)。演じたことのない役柄ということで、役を自分ですごく作ってきて、現場で悩み、向き合ってる姿をずっと見ていました。基本優しいから、首を絞めたり、殴ったりする暴力シーンはすごくソフトタッチでしたね(笑)。

高橋:こういう役、初めてなんですよ(苦笑)。

佐々木:先輩にやるとなったら、そりゃそうだよね。彼は気遣いの人なので、そういうのは感じてました。

高橋:撮影が進むにつれて、だんだんハードになってました?

佐々木:いや、終始ソフトやったで(笑)。でも見え方は大丈夫。

高橋:終始ソフトでした(笑)。蔵之介さんは同じ関西出身。カメラが回ってない時にポロッと話すことが面白くて、いつも現場を和ませてくださって。また僕が芝居で悩んでたら、すっと話しかけてきてくれるんです。最初は蔵之介さんから話しかけられるとビクッとなるくらい緊張していましたが、今では僕の中では“優しいお父さん”っていう感じで、共演で学ぶことが本当にいっぱいありました。

◆高橋恭平の“ヒーロー的存在”に佐々木蔵之介驚き&同意


――本作では様々な恐怖や嫌な体験が次々と出てきますが、ご自身が撮影中、嫌だったことは?

佐々木:毎日メイクの最後に血のりを付けられることですね。血のりがない日の方が少なくて(笑)。血のりを付けていると、いろんなことが制限されるので、お弁当が食べづらいとか、あんまり休憩にならないんです。

高橋:たしかに。ずっと顔の半分、赤でしたよね(笑)。

佐々木:そう(笑)。あれは嫌でしたね。でも不思議なもんで、なかったらなかったで物足りなくなって、「本当に今日なくていいの?」ってことはありました(笑)。

高橋:僕は恭一が初めて挑戦する役柄だったので、メイクや芝居など初めてなことが多く、すべてがいい経験で。作品中に嫌なことは何もなかったです!  めっちゃ楽しくて、芝居の幅が広くなったのではないかと思います。

――タイトルにかけて、ご自身にとってのヒーロー的な存在は?

高橋:僕のヒーローは自分ですね。

佐々木:思いもしない回答がきたな(笑)。

高橋:蔵之介さんにはまだ言えてなかったんですけど、僕、自分がめっちゃ大好きなんです。それは常にポジティブでいて、何事も肯定する生き方をしたいから。マイナスになった時は「自分すげえやん」「これできてるのかっこいいじゃん」って、いつでもプラス思考に変えているので、そういう意味では自分がヒーローです。

佐々木:なるほど。僕も自分ですね(笑)。

高橋:ほんまですか!? さっき予想外の答えって言ってましたけど(笑)。

佐々木:うん(笑)。今の理由を聞いたら自分もかなと。こめまに凹むけど、それでも「頑張った」って自分を褒めて、夜はお酒を飲んで「明日も頑張ろう」と自分を上げてるからね。『マイホームヒーロー』というタイトル通り、僕はヒーローです!(笑)

高橋:まさかの被りでしたね(笑)。

――現場の中でお互いのヒーローっぽい部分は?

高橋:蔵之介さんはカメラが回ってない時に、スタッフさんやキャストさんに話しかけて笑かしてから、撮影に入る。そういうのは本当にすごいですよね。また撮影が始まると、すごいオーラですっと役に入ってらっしゃって。ずっと圧倒されてました。

あと僕は蔵之介さんの声が大好きなので、声を聞いてるだけで見惚れてしまって。「見惚れたらあかん!」と思いながら、芝居してましたね(笑)。蔵之介さんとの共演は、緊張しながら楽しみながら、いろいろ学ばせていただきました。

佐々木:高橋くんは、撮影の合間、集中している時にダンスの練習をしているわけでもないのに自然に体でリズムをとっていて。彼の本質のようなものを見た気がしました。そうやって自分を調整しながら本番に挑んでいるんだなと。あれは面白かったですね。

高橋:まさかそれを見られてるとは思ってなかったので、恥ずかしいです(笑)。

佐々木:いやいや、俺は絶対それはないからさ。あれはよかったよ。

高橋:ありがとうございます!

(取材・文:高山美穂)

 ドラマイズム『マイホームヒーロー』は、MBSにて10月24日より毎週火曜24時59分、TBSにて同日より毎週火曜25時28分ほか、全国29局で放送。映画は2024年3月8日公開。

佐々木蔵之介 (C)山川直輝・朝基まさし/講談社/ドラマ『マイホームヒーロー』製作委員会・MBS