今は亡き上岡龍太郎が「鶴瓶上岡パペポTV」で「芸人ちゅうんはなんや言うたら、落ちこぼれ人間ですよ。社会のはみ出しもん、アウトロー、いわば暴力団と一緒ですから。我々とヤクザは一緒」と話し、「だから芸人に良識なんてものを求めるのはお門違いだ」という持論を展開していたのを覚えている。私は昔から上岡信奉者だから、彼のこの発言も全くその通りだと思っている。

 なのに昨今の芸人の不祥事に、世論は厳しい。横山やすしなどは不祥事を起こしては漫才のネタにして、笑いを取っていたのに。もっとも、あの頃も一部の「良識派」から「不謹慎」だの「反省の色がない」だの言われていたが…。

 そんな良識派から批判を受けそうな場面が展開された番組がある。10月21日の「お笑いの日2023」(TBS系)だ。

 そのオープニング。総合MCのダウンタウンが漫才を披露したのち、本編に入るにあたりで改めて挨拶をする中、浜田雅功がまず番組主旨を説明する。

「『お笑いの日2023』。今年も人気芸人が大集合。総勢126人!」

 すると松本人志がすかさず、

「ホンマは127人やったんですけどね。フジモンが来なくなっちゃったんで」

 ここで浜田が松本の頭をどつく。当て逃げ事故を起こした藤本敏史(FUJIWARA)をイジッたわけだが、観客席からは歓声と拍手が沸いていた。

 さらに、普段のコンビやトリオなどに芸人をもう1人プラスしてコラボネタをやる企画「お笑いプラスワンFES」でのこと。トップバッターで登場したのは、さらば青春の光だ。

 ギャンブルをする金が欲しくて事務所に「お願いしますよぉ。買ってくださいよぉ」と腎臓を売りに来た東ブクロと、それを「臓器売買ってそんな感じでやるんちゃう」とたしなめるヤクザの森田、というコントを披露。そのやりとりの最中に「すいません。僕の腎臓を買って下さい」と舞台に現れたのが、木本武宏(TKO)だったのだ。木本はさらに、

「投資でやられちゃいました。最初はちょっと増えたんです。でも、どんどんやっていくうちにハマッてしまって、気が付いたら雪だるま式にマイナス叩き出してしもて。でも、絶対大丈夫な株、見つけたんですよ。その株に1千万、バチコーンいきたいんですよ。今度こそ大丈夫なんで、腎臓買ってください」

 自身の投資トラブルをネタにしたセリフを吐きながら、頭を下げる。そこに森田が、

「全然凝りてなかった。クソ野郎がよぉ、クソ野郎が! クソ野郎やな、お前は!」

 とまくしたてて笑いを取った。

 さらば青春の光は、昨年は木本の相方・木下隆行とコラボし、ネタ中にペットボトルを投げつけさせていた。これも後輩芸人にイジられたことに腹を立てた木下が、その後輩芸人にペットボトルを投げつけたことを「パワハラだ」と批判され、事務所退社に至った事件が元ネタだ。

 どちらも先輩芸人の不祥事を、ご本人さん登場で笑いに昇華させるものだが、はたして今回の不祥事イジりは世間にどう捉えられるか。個人的には、親を殺したり、後輩を自殺に追い込んだり、少年を犯しまくったりしたわけじゃないのだから、問題なしだとは思うが…。

 フジモンも番組を見ながら、来年はさらば青春の光にネタにしてもらえますように、と祈っているのでは!?

(堀江南)

アサ芸プラス