侍ジャパンでの実績を持つ森(左)と上林(右)。この両雄の動向は注目を集めている。(C)Getty Images

 新体制発足に伴う“血の入れ替え”が断行された。10月22日ソフトバンク森唯斗嘉弥真新也、古川侑利、髙橋純平九鬼隆平上林誠知、佐藤直樹ら7選手との来季契約を結ばないと発表した。

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 来季に向けた強い意気込みの表れとも言える判断だ。昨オフに、FAで近藤健介(←日本ハム)、レンジャーズを自由契約となっていた有原航平ロベルト・オスナ(←ロッテ)を獲得するなど総額80億円を投資した「異次元」の大型補強を敢行したソフトバンクだったが、レギュラーシーズンは3位に。3年連続でリーグ優勝を逃していた。

 レギュラーシーズンの“失敗”を振り払うべくソフトバンクは、ロッテに劇的な形で敗れたクライマックスシリーズショックが残る21日に小久保裕紀二軍監督の内部昇格を決定。新体制を早々に発表していた。先述の7人は、大規模な刷新のなかで、チームからあぶれる形となった。

 もっとも、彼らに対する球界内での評価は高い。とりわけ森と上林は「まだ戦力になる」と見られている。

 現在31歳の森は、2018年に37セーブを挙げ、最多セーブのタイトルを獲得した剛腕だ。先発に転向して臨んだ4年契約最終年の今季は一軍で2勝3敗、防御率4.60と精彩を欠いた。しかし、二軍では12試合(64.1イニング)で5勝5敗ながら、防御率1.54、WHIP0.82と“無双状態”。過去の実績を考えても興味を示す球団はあるだろう。

 上林も新天地で再び花開く可能性は十分に秘めている。2013年にドラフト4位で仙台育英から入団した28歳は、2017年にライトのレギュラーに定着。134試合出場して打率.260、13本塁打OPS.703の好成績を残してリーグ優勝に貢献した。

 2018年には22本塁打OPS.803を記録するなど長打力も魅力の上林だが、19年以降は故障の影響もあり低迷。節目の10年目となった今季は、前年5月に負っていた右アキレス腱断裂の影響もあって56試合に出場して打率.185、0本塁打と結果を残せなかった。

 ただ、28歳と老け込む年ではない。さらに昨季も規定打席には到達しなかったが、打率.301と一定の数字は残している。内野も守った実績を有するなどマルチな能力を考えても、獲得に手を上げるチームはあるだろう。

 今季の現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎や、人的補償日本ハムに移籍した田中正義など、ソフトバンクから他球団に移籍して飛躍した選手はいる。森と上林は「元侍ジャパン」というネームバリューも持っているだけに、争奪戦は必至と見られているが、はたして――。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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