去就が注目される中田。FA行使となれば欲しい球団はいくつもありそうだ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 熟考の答えは――。巨人中田翔が国内フリーエージェント(FA)の権利について、行使するのか否か、真剣に検討していると報じられている。

 日本ハム時代の2021年にチームメートに暴行を振るい謹慎処分を受け、無償トレードで巨人へ移籍。拾われた形で新天地で復活した通算303本塁打のスラッガーが移籍する可能性はいかほどなのか。

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 恩義もあるだろう巨人に別れを告げるFA移籍。そこまで悩ませる最大の理由は、出場機会の問題にある。

 今季は9月以降にドラフト4位新人の門脇誠が、坂本勇人に代わって遊撃のレギュラーに定着。その坂本は三塁へコンバートされた。三塁を守る岡本和真は、一塁でのプレーが続いた。DH制のないセ・リーグの巨人において、一塁しか守る場所のない中田は出場機会が激減。来季も現状の構想では代打要員という形になりかねない。実際に阿部慎之助新監督は10月21日夜に放送された「Going!Sports&News」(日本テレビ系列)の中で注目を集めていたポジション問題に関して、一塁は岡本和、遊撃に門脇、三塁は坂本を起用する方針を明言した。

 来年4月に35歳を迎える中田だが、まだまだベンチウォーマーに成り下がるつもりはないだろう。実際に一昨年は打率・269、24本塁打、68打点と復調の兆しをのぞかせた。今季は故障なども影響し、92試合と出場が限られながら、打率・255、15本塁打、37打点と長打力は健在であることを示した。

 右の長距離砲がマッチしそうな布陣のチームもいくつかある。中日は今季、12球団で断トツワーストのチーム本塁打71本で長打力不足が深刻。山川穂高が謹慎処分となった西武は、一塁先発はマキノンの80試合が最多で、日本人では渡部健人の43試合にとどまった。ロッテ外野手登録の山口航輝の61試合が最多と固定できなかったポジション。またパ・リーグ球団ならばDHと2つに選択肢が広がることも大きい。

 そうなると有力な補強候補の一人に推す声が次々と挙がるのもうなずける話だが、最大のネックが条件面だ。中田は昨年、巨人と3年契約を結んだ。この複数年契約は1年ごとに中田の意思で破棄できるオプトアウトの条項を含むというが、それにしても移籍するにはFA宣言しなければならない。今季の中田は年俸3億円と推定され、移籍の際に補償が必要なBランクとされている。Bランクの選手獲得の際には、旧年俸の60%の金銭(1億8000万円)、もしくは旧年俸の40%の金銭(1億2000万円)と人的補償が必要となってくる。中田が移籍先で大減俸を飲んだとしても、それ以外にかかる部分が莫大なものとなり、獲得を検討した球団が二の足を踏む恐れは大いにある。

 他に残される移籍のわずかな可能性としては、巨人が中田を自由契約にするという道もある。そうなれば、移籍の際の補償は一切必要なくなり、中田は余計な足かせに縛られることなく他球団と自由に契約交渉ができる。もっともその場合は、巨人は大きな見返りを失うこととなり、旨味はない。そこまで中田を特別扱いして譲歩するかといえば、可能性の大きな道ではなさそうだ。

 過去に巨人時代の村田修一や、日本ハム西川遥輝大田泰示秋吉亮の3人を「ノンテンダーFA」として放出した際は、自由契約という選択肢をとった。ただ、当時は構想外という色合いが強く、現在の中田はチームにしてみれば「戦力」としてベンチに置いておきたい存在だろう。

 中田が来季、進むべき道とはどのようなものになるのだろうか。FA権を行使する場合は日本シリーズ終了の翌日から、土日祝日を除く7日以内に申請する必要がある。今後も注目の存在となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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