元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が、日本保守党を結成した作家・百田尚樹氏の著書「日本国紀」をコキ下ろしている。

 コトの発端は、経産省出身で評論家の八幡和郎氏が「日本国紀」について「長州を馬鹿にした『日本国紀』に山口県民は怒るべきだ」との論考を言論プラットフォーム「アゴラ」に出したことにある。八幡氏は百田氏が「安倍(晋三)元首相の精神を継承しているようなことをいうが、『日本国紀』(初版)を読むと徹底した長州嫌いであることがわかる」として、同書は幕末から明治にかけて活躍した長州出身の歴史上の人物の扱いが少ないと指摘した。その上で、

「明治維新をどう評価しているかもよく分からない。小栗忠順など幕臣たちを非常に持ち上げているので、読んでいるとどうして幕府がダメだったのかさっぱり分からなくなる」

 と疑問を呈したのである。

 これに呼応したのが橋下氏だった。〈百田氏のこの本は売れたらしいが、何の思想性もなく軸もない。知的好奇心は満たされない。そりゃそうだ。ウケそうな面白エピソードをかき集めただけのものだから。これが国家観だとは百田氏得意のギャグだろう〉とXに投稿したのだ。

 当然ながら、怒った百田氏は猛反発。

〈ほんま、こいつはとことん卑怯者やね。私をブロックしておいて、見えないところで悪口三昧。おい橋下、キンタマついてるなら、堂々と言えよ〉

 百田氏は橋下氏の大阪府知事、市長時代の改革姿勢は評価したが、靖国神社へのA級戦犯合祀問題などをめぐって対立。百田氏は「橋下徹の研究」という批判本まで出した。

 百田氏の盟友である有本香氏は、Xで次のように橋下氏を激しく挑発している。

日本国紀の宣伝ありがとう。お蔭様で、売上ランクTOP10に復帰しました。ところで橋下さん、百田さんの悪口言うなら、ブロック解除して本人に向けて堂々とやりなさいよ。「江戸時代暗黒史観」の八幡氏に乗っからずご自分の見識でガツンと。最近急に百田口撃を再開したのは #日本保守党と関係あるの?〉

 百田、橋下両氏はこれまでも大論争を繰り広げてきたが、今までと違うのは、百田氏が日本保守党という新党を立ち上げたこと。橋下氏がこの新党にどのような見解を示し、百田氏がそれにどう反論するかを注視したい。

(喜多長夫/政治ジャーナリスト)

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