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はじめに

グローバル化により、シボレー・コルベットは巧妙なチャレンジをしてきた。C8こと8代目コルベットは2021年に欧州ローンチを果たし、2022年には初の右ハンドル車を英国へ投入。オートカー・アワードでは、これをベスト・ドリームカーに選出した。

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欧州のシボレー代理店は、全面新設計のミドシップ・スティングレイに、これ以上ないほどの歓迎を受けた。しかし、C8への需要が高まるいっぽうで、英国を含む欧州へのGMの関与は揺らぎはじめている。関係者によれば、EV市場への興味を高めている反面、内燃エンジン車の販売には消極的になっているというのだ。

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テスト車:シボレー・コルベットZ06 3LZクーペ    JACK HARRISON

いまや完全電動化を視野に入れているコルベットを、欧州シボレーはどう売るべきか検討中だ。英国や欧州のディーラーはキュ級契約を終了し、2年前に熱意を持って語られていた欧州でのコルベット拡販計画もペンディング状態だ。

こうした背景とは裏腹に、今回取り上げるのはスペシャルなコルベット、Z06だ。2021年末、22年モデルとして北米で発売され、英国への導入は新たな販売体制が整い次第行われるとされている。ただし、現時点では価格や販売時期は未定。今回は欧州本土に持ち込まれた左ハンドル車でのテストを実施した。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

シボレーのデザイナーやエンジニアによれば、アメリカを代表するスポーツカーをミドシップ化するという賛否両論噴出した決定は、このZ06を想定してのことだったとしている。

彼らは、もしコルベットが伝統的なFRレイアウトにこだわるならば、600psオーバーであっても、フェラーリランボルギーニアストンマーティンのホットモデルやポルシェのGTモデルに対抗するのは難しいことがわかっていた。トラクションや運動性の安定感が、とにかく足りないからだ。

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スタンダードなLT2は6.2LのOHVだが、Z06のLT6は5.5LのDOHC。英国向けも含む欧州仕様は、排気系の改修により本国仕様よりややデチューンされている。    JACK HARRISON

その点、C8のZ06は、欧州のベストなドライバーズカーに対抗しうる要素を身につけた。基本的な構造やメカニズムは、スタンダードなC8がベース。目を引くのは、世界最強の自然吸気V8を搭載している点だろうか。

アルミカーボンFRPで構成されるバックボーン・スペースフレームはZ06にも用いられるが、トレッドや軽量なコンポジット材のフェンダーはワイド化。コイルスプリングとスタビライザーのレートは高められ、ホイールとブレーキはアップグレードされ、標準仕様はサイズアップしたディスクと、6ポットのフロントキャリパーを装備する。

オプションのZ07パッケージを追加すると、スプリングはさらにハードになり、大径カーボンセラミックディスクとワイドなホイール、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rが装備される。テスト車はさらに、軽量なカーボンホイールも装着している。

欧州向けの標準モデルは、クロスプレークランクを備える6.2L・482psのLT2型V8OHVを積むが、Z06のエンジンは5.5Lの新型V8であるLT6型。明らかなオーバースクエアで、軽量な鍛造フラットプレークランクの自然吸気DOHCとなるLT6は8600rpmまで回り、最高出力は670ps/8400rpm、最大トルクは63.6kg−m/6300rpmを発生する。

ただし、これはアメリカ本国仕様のスペック。欧州向けはエミッション関連の改修が必要となることから、最高出力は637ps/8550rpm、最大トルクは60.7kg-m/6400rpmへダウンしている。

パフォーマンスを高めたZ06だが、Z07パッケージを追加しても、決して軽量なクルマではない。燃料を3分の2まで入れた状態での車両重量は1670kgで、これは2022年に計測したC8のベース車に対して9kg軽いのみ。ちなみに、2019年にテストしたフェラーリ488ピスタは1465kg、ポルシェの現行911GT3 PDKは1430kgだった。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

シボレー・コルベットは、最新スポーツカーの中にあって、特異な存在だ。クーペとコンバーティブルをラインナップするが、どちらを選んでもロードスターなのだ。今回のテスト車もクーペだが、ルーフパネルは脱着式。外したパネルはラゲッジスペースに収納でき、一連の作業はひとりでも2分程度で済んでしまう。

ルーフを装着していても外していても、C8の乗降性は悪くない。キャビンは完全2シーターで、シートの背後に十分な積載スペースはない。ただし、リアの荷室はゴルフクラブが収まるほど幅広く、フロントトランクもまずまず広いので、Z06でも多くのライバルが敵わない積載性とツーリングでの実用性を備えている。

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乗降に支障はないが、乗り込むと頭上が狭い。もう少し低く座れるシートがほしい。操作系は、ドライバーが非常に扱いやすい配置だ。    JACK HARRISON

Z06は、標準モデルのとことんドライバーフォーカスダッシュボードレイアウトを受け継いでいる。少なくともドライバーにとっては、ディスプレイもスイッチや操作系も扱いやすいレイアウトだ。インフォテインメントのタッチ式画面は、手首を伸ばせばすぐ届く範囲内で、トランスミッションのポジションや走行モードを選択するトグルも楽に手が届く。

テスト車は上位機種の3LZなので、カーボンのトリムが数多く備わる。しかし、そのうちのいくつか、とくにステアリングホイールのリムのそれは、ないほうがいいように思った。しかし、アルカンターラも多用したことで、キャビンの雰囲気はリッチで高価そうに仕上がっている。

テスト車のシートはGT2タイプで、かなり快適で調整が効くのだが、背の高いドライバーにはややバックレストの上下幅が足りない。

C8の標準モデルでも感じたが、着座位置は操作系に対しやや高い。ステアリングコラムはやや低い位置から生えていて、ヘッドルームは背の高い乗員にはかなりつらい狭さで、サーキット走行に必須のヘルメット着用は難しい。あと5cm前後低く座れて、サイドサポートのしっかりしたフルバケットシートがほしいところだ。

走り ★★★★★★★★★☆

コルベットとくれば、おなじみスモーブロックV8の甘美な唸りを期待せずにはいられないだろう。ところが、Z06の新型エンジンは異なる作法で迎えてくれる。

アイドリングは典型的なアメリカンV8の情熱的なサウンドではなく、キビキビとしたスムースな、しかし音色的にはフラットプレークランクのV8に当てはまるようなもの。そこからスロットルペダルを軽く踏み込むと、鞭のように鋭いレスポンスで、歯切れよく、熱心に回りたがるのがわかる。それだけで、LT6の存在が正当化される。

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速さは911GT3を凌ぐ。V8エンジンの魅力は心を捉えて放さない。走行モードはもう少し細かく調整したいが、そんな不満は些細なものだ。    JACK HARRISON

中間ギアに固定して低回転から引っ張ると、4000rpm以下では劇的なことはほぼ起こらない。しかし、そこを超えると、Z06のノイズと力強さが盛り上がりはじめる。

パワーデリバリーは、じつにリニアプログレッシブ。思い切り飛ばせるコースで、6000rpm以上回せるのであれば、このV8は突如として違った一面を見せる。ホンダVTECほどではないが、かなり独特の変貌ぶりで勢いを増す。これは、中間加速データを見れば想像できるだろう。

切り替わるまでは、巨大な宇宙規模のトロンボーンかなにかをイメージさせるエンジン音だが、レッドラインの8600rpmに至る残り2500rpmほどは、マラネロやヴァイザッハも顔負けの、金属的で沸き立つような叫びを解き放つ。それに伴い、猛烈な速さもだ。

速さだけでZ06の成否を判断するなら、確かな進歩を果たしたと言える。ローンチコントロールはタイヤの温まり具合と、路面のグリップ具合にやや依存する。だが、それらを考慮しても、0−97km/hが3.1秒、0-161km/hが6.8秒、ゼロヨンが11.2秒というのはかなりのパフォーマンス。PDKを積む911GT3でも及ばない加速性能なのだ。

ただし、過給機やハイブリッドアシスト、もしくはその両方を備えるライバルは、残念ながら負かせなかった。911ターボSやマクラーレン720S、フェラーリ296GTBには多少ながら敵わない。

普通に走らせると、走行モードの幅広さが問題の種となる。個別設定できるカスタムモードもあるが、サスペンションやステアリング、パワートレイン細かく調整して走りをを本当に好みどおりにすることができない。そこで、セッティングを頻繁に変えることを余儀なくされる。もっとも、集中は妨げられるのだが、うんざりするほどではない。

カーボンブレーキは、ハードに使えばスキール音が出るが、食いつきも効き具合も扱いやすい。DCTのシフトはたいてい、期待どおりに速くポジティブ。しかしやはり最後の決め手はV8だ。力強く、よく回り、カミソリのようにシャープで、機会的な魅力に満ち、心を捉えて放さない。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

コルベットに装備されるシボレーのインフォテインメントシステムは8.0インチ画面で、必要十分なサイズ。場所は見るにも触れるにも容易なステアリングホイールのそばで、身体をシートから浮かせなくても操作できる。

操作の多くはディスプレイに統合されているが、音量調整とホームボタンは実体式で、使い勝手を高めている。エアコンの操作も実体式で、見やすい場所にある。

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インフォテインメントシステムはタッチ画面式だが、画面は手が届きやすくて見やすい上に、実体コントロールも少なくないので使いやすい。    JACK HARRISON

メニューのレイアウトと全体的な操作性はどちらも良好。Apple/Androidともにワイヤレスでミラーリングでき、ワイヤレス充電器はもっとも装備内容がシンプルな1LZを除く全車に備わる。

純正ナビゲーションシステムは表示がクリアで、アジャストもルートを追うのも楽。2LZ以上のオーディオは14スピーカーのボーズ製パフォーマンスシリーズhi-fi。そのシステム出力は悪くないが、目覚ましくいいというほどではない。

燈火類

LEDヘッドライトは標準装備で、インテリビームと銘打たれたアダプティブ機能も備わる。日の長い夏季だったので、その性能を検証することはできなかった。

ステアリングとペダル

シボレーの左ハンドルの操縦系レイアウトは、ペダル配置は上々だが、ステアリングコラムのオフセットはアメリカ車には予想しないほど。センターから20mmのズレがあった。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

新たなシャシーの利点は非常に大きいが、C8の標準モデルはミドシップスポーツカーとしてはソフトでマイルドだった。ところがシボレーは、Z06をかなり違うポジションに設定した。

とくにZ07パッケージ仕様では、はるかに高いメカニカルグリップと、明らかに増したフロントのグリップ感を求めたという。これにより、高速コーナーをハードに攻めることが可能になり、ハンドリングの精密さや極限のコーナリンング中のスタビリティに絶大な自信をもたらしてくれる。

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B級道路のワインディングで、Z06のこの上ないボディコントロールと張り付くようなグリップはよくわかった。同時に、Z07パッケージはサーキットで使うのが一番だということも思い知った。    JACK HARRISON

それらは結局、ポルシェで言えばRSシリーズのような、特別なモデルを特徴づけるような要素だ。Z07パッケージを得たZ06は、そうしたライバルに易々と肩を並べる。高速域でのみごとな横グリップや、緊密に制御され落ち着いた横方向のボディコントロールを見せるのだ。通常のC8に比べ、増強したと言うよりは一変したと表現するほうがふさわしい。

タイヤに熱が入れば、前輪のグリップと食い付きっぷりは驚異的。その深さを推し量るのはそこそこ骨が折れるほどだ。フェラーリ296ほどステアリングはクイックさを極めたものではなく、手首をちょっと返しただけでタイトコーナーに飛び込むわけではない。それでも、ステアリングを切り続ければ、前輪はグリップし続け、サスペンションはロールを抑えてボディをこの上なく水平に保つ。むりやり振り回すようなことをしなければ、後輪は安定したままでコントロールが効いている。

かなり速くても、レコードラインでコーナリングすれば、車体の重さを驚くほど感じさせない。ただし、トラックかレースの各モードを選べば、ダンピングは必然的に強硬なものとなる。そのため、平滑さをきわめた舗装でなければ、重くインフォメーション豊かなステアリングは、かなり路面の反りを拾って追いかけ、バンプにも反応する。垂直方向の入力に、サスペンションはキツく跳ねる。

おそらく、それを悪化させているのはランフラットタイヤの硬いサイドウォールだ。それでも、本当に問題なのが重量なのは疑うまでもない。重たいものを適切にコントロールして、ポルシェのGTモデルのような洗練性と器用さを持たせるのはきわめて難しい仕事だ。現状においてシボレーはかなりいい仕事をしたが、その道に熟練しているとは言えない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

Z06のハードなサスペンションサイドウォールの硬いタイヤ、ノイズのレシピみたいなエンジン音を考えると、ツアーモードではかなり紳士的なクルーズができるほど落ち着いたものになることは、じつにうれしいサプライズだ。

磁性流体ダンパーは、ワイルドな設定を選んだときよりサスペンションをはるかにしなやかに動かし、かすかなロードノイズと、外したルーフからの盛大な風の巻き込みはあるものの、長距離ドライブもひどく疲れることなくこなせる。

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走行モードの振り幅が広いこともあって、ツアーモードで走るZ06は、サーキット志向のマシンとしては異例に快適でマナーがいい。    JACK HARRISON

もっとも快適な設定にしたZ06は、競合するサーキット志向のスペシャルモデルの大多数より快適でマナーがいい。このクルマに向いているのはスムース高速道路で、山間のワインディングのようなところではステアリング越しのインフォメーションに注意を払い続けなくてはならない。それでも、それほど過剰に集中しなくても走ることができる。

DCTも、おだやかな設定にすればスムースだ。むろん、エンジン回転を常識的な範囲に保っていれば、の話だが。

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

英国での販売価格が未定なので、評価が難しいところだ。ポルシェ911GT3並みの13万ポンド(約2418万円)とも、マクラーレンランボルギーニに近い17万ポンド(約3162万円)とも言われている。

しかし、もしも15万ポンド(約2790万円)ほどだとしても、パフォーマンスやサーキット志向の装備を考えれば安いものだ。たとえ、商品性や究極的なサーキット性能で、これを上回るライバルがいるとしても、である。

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カーボンホイールは、Z07パッケージにさらなる追い金が必要なオプション。リア13Jというのは、コルベット史上もっともワイドだ。タイヤは、ランフラットミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rを履く。    JACK HARRISON

これを本体価格の最低ラインとするなら、フル装備の3LZにZ07パッケージを追加したら、17万5000ポンド(約3255万円)くらいになりそうで、イタリアンスーパーカーの価格帯に近づく。Z06が少数しか売れないと見込んでいるとしても、本当に手に入れたいと望む熱狂的ファンの購買意欲を削ぐような高い値付けはしないでもらいたいところだが。

スペック

レイアウト

アルミとCFRPのバックボーン・スペースフレームシャシーには、C8の標準モデルよりコンパクトながらパワフルなV8を搭載。コンポジット素材のフェンダーバンパーはワイド化された。

トレッドは前後とも拡幅され、ホイールとタイヤはコルベット史上もっともワイド。カーボンブレーキとホイール、レートを高めたスプリングは、オプションのZ07パッケージに含まれる。前後重量配分は39:61だ。

エンジン

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シャシーはアルミとCFRPのバックボーン・スペースフレーム、フェンダーバンパー、トレッドは前後とも拡幅。前後重量配分は39:61だ。

駆動方式:ミドシップ縦置き後輪駆動
形式:V型8気筒5463cc、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ104.3×80.0mm
圧縮比:12.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:646ps/8550rpm
最大トルク:60.7kg-m/6400rpm
エンジン許容回転数:8600rpm
馬力荷重比:377ps/t
トルク荷重比:35.4kg-m/t
エンジン比出力:119ps/L

ボディ/シャシー

全長:4688mm
ホイールベース:2722mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm

全幅(ミラー含む):2165mm
全幅(両ドア開き):4020mm

全高:1235mm
全高(テールゲート開き):1970mm

足元長さ(前席):最大1080mm
足元長さ(後席):-mm
座面~天井(前席):最大920mm
座面~天井(後席):-mm

積載容量・前/後:120L/230L

構造:アルミ/CFRP、バックボーン・スペースフレーム
車両重量:1714kg(公称値)/1670kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:10.0Jx20/13.0Jx21
タイヤ前/後:275/30 ZR20 97Y/345/25 ZR21 104Y
ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R
スペアタイヤ:なし(ランフラットタイヤ

変速機

形式:8速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:2.91/8.2 
2速:1.76/13.5 
3速:1.22/19.5 
4速:0.88/26.9 
5速:0.65/36.4
6速:0.51/46.3 
7速:0.40/59.2 
8速:0.33/71.8
最終減速比:5.56:1   

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.4km/L
ツーリング:9.2km/L
動力性能計測時:3.4km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):3.3km/L
中速(郊外):6.1km/L
高速(高速道路):7.4km/L
超高速:7.5km/L
混合:6.1km/L

燃料タンク容量:70L
現実的な航続距離:518km
CO2排出量:377g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーンコイルスプリング、アダプティダンパー、スタビライザ
後:ダブルウィッシュボーンコイルスプリング、アダプティダンパー、スタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:11.1m

ブレーキ

前:398mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:390mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、EBA、EBD
ハンドブレーキ:自動、センターコンソール右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:53dBA
全開時(4速):98dBA
48km/h走行時:68dBA
80km/h走行時:73dBA
113km/h走行時:77dBA

安全装備

ABS/スタビリトラック・トラクションコントロール/BSA/RCTA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温20℃
0-30マイル/時(48km/h):1.4秒
0-40(64):1.9秒
0-50(80):2.5秒
0-60(97):3.1秒
0-70(113):3.8秒
0-80(129):4.7秒
0-90(145):5.7秒
0-100(161):6.8秒
0-110(177):8.2秒
0-120(193):9.9秒
0-130(209):11.6秒
0-140(225):13.6秒
0-150(241):16.7秒
0-402m発進加速:11.2秒(到達速度:207.6km/h)
0-1000m発進加速:20.5秒(到達速度:257.0km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ポルシェ911GT3 PDK(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h):1.5秒
0-40(64):2.0秒
0-50(80):2.6秒
0-60(97):3.4秒
0-70(113):4.2秒
0-80(129):5.1秒
0-90(145):6.2秒
0-100(161):7.4秒
0-110(177):8.9秒
0-120(193):10.6秒
0-130(209):12.5秒
0-140(225):14.9秒
0-150(241):17.7.秒
0-402m発進加速:11.5秒(到達速度:201.3km/h)
0-1000m発進加速:21.0秒(到達速度:257.5km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):2.0秒(2速)/3.0秒(3速)

30-50(48-80):1.8秒(2速)/2.8秒(3速)/4.1秒(4速)

40-60(64-97):1.5秒(2速)/2.5秒(3速)/3.8秒(4速)/5.8秒(5速)/8.5秒(6速)

50-70(80-113):1.4秒(2速)/2.2秒(3速)/3.5秒(4速)/5.8秒(5速)/8.4秒(6速)/13.2秒(7速)/16.5秒(8速)

60-80(97-129):2.0秒(3速)/3.3秒(4速)/5.5秒(5速)/8.5秒(6速)/13.7秒(7速)/21.4秒(8速)

70-90(113-145):2.1秒(3速)/3.2秒(4速)/5.0秒(5速)/9.1秒(6速)/15.7秒(7速)/26.0秒(8速)

80-100(129-161):2.2秒(3速)/3.1秒(4速)/5.2秒(5速)/9.9秒(6速)/17.7秒(7速)

90-110(145-177):3.1秒(4速)/5.5秒(5速)/9.0秒(6速)

100-120(161-193):3.2秒(4速)/5.4秒(5速)/9.5秒(6速)

110-130(177-209):3.5秒(4速)/5.5秒(5速)

120-140(193-225):6.1秒(5速)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温23℃
30-0マイル/時(48km/h):7.7m
50-0マイル/時(64km/h):21.5m
70-0マイル/時(80km/h):41.0m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.63秒

ライバルの制動距離

ポルシェ911GT3 PDK(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
0-0マイル/時(48km/h):7.9m
50-0マイル/時(64km/h):21.2m
70-0マイル/時(80km/h):40.8m

各ギアの最高速

1速:69.2km/h(8600rpm)
2速:115.9km/h(8600rpm)
3速:167.4km/h(8600rpm)
4速:231.7km/h(8600rpm)
5速:313.8km/h(8600rpm)
6速:313.8km/h(6764rpm)
7速:313.8km/h(5305rpm)
8速(公称値):313.8km/h(4377rpm)

8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1571rpm/1796rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

サーキット志向のスーパーカーと真っ向勝負できるような、高回転型で火を吹くようなV8エンジンとじつに野心的なシャシーを得て、コルベットZ06はC8のミドシップシャシーに備わるポテンシャルを余すところなく引き出したばかりか、それ以上のパフォーマンスを見せてくれたように思える。

容赦ないまでに高性能で、じつに魅惑的。しかも、歴代のいかなるコルベットよりもスペシャルなドライビングを味わえる。ただし、欧州スーパーカー勢よりは重ためで、そのデメリットを感じない場面もあるが、よりタフな路面や限界域のハンドリングでは足を引っ張られる。

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結論:エンジンとシャシーの改良は驚異的。あとは、適正な値付けを望みたい。    JACK HARRISON

Z07パッケージを装備しなければ、もっとマイルドな乗り味になるだろう。それでもZ06は、英国の公道よりサーキットに向いたクルマだ。とはいえ、それでうんざりするというひとはいないはずだ。

これほど夢中になれて、速く、目的のはっきりしたクルマであれば、価格が高くても仕方ないだろうが、それでも英国で成功するには、性能のわりにお得な値付けが求められる。その比較対象は、正真正銘のミドシップスーパーカーだけではない。シボレーがそれを忘れなければ、売り込み先を見つけるのは簡単な話だ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

Z06を所有したとして、タイヤ交換の際にランフラットを選ぶかは疑問だ。通常のカップ2Rの方が安価だろうし、乗り心地とハンドリングが改善されるのは間違いない。ランフラットのわかりきったメリットは別にすれば、シボレーがなぜこのタイヤを選んだのかが理解できない。

リチャード・レーン

英国では、C8購入者のほとんどがコンバーティブルを選んでいる。しかし、Z06ではどうだろうか。オープンモデルはガラスのエンジンフードと引き換えになるので、このすばらしいV8を眺められなくなってしまうのだから。

オプション追加のアドバイス

2LZ仕様に設定されるGT1シートなら、背の高いドライバーがより快適に座れるだろう。Z07パッケージはぜひともつけてほしいが、サーキットを走るつもりがないなら無駄になるかもしれない。ロードカーとしては、Z07抜きのほうがいいだろう。

改善してほしいポイント

・シート位置を低く、さもなくばクッションを薄くしてほしい。
・シフトパドルはストロークがやや大きく、手応えが軽い。この感触を改善してほしい。
・リアがややブレークしやすいハンドリングを矯正できるなら、四輪操舵の導入を検討してもいいのではないだろうか。


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