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新技術を盛り込んだバッテリーEV

ドイツの自動車メーカーであるアウディは、2025年後半に次世代EVのA4 eトロンを導入する。A4は約30年にわたる歴史を経て、完全電動パワートレインに移行する予定だ。

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新型A4 eトロンバッテリーEVとなるが、現行のA4に相当する内燃エンジン車も「A5」として引き続き販売される見込みである。A4 eトロンは電動SUVのQ6 eトロンと同じPPEプラットフォームを採用し、サイズや位置づけは似ているものの、まったく異なるモデルになるという。

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アウディA4 eトロンにはセダンとアバントが設定される見込み。(編集部作成予想CGイメージ)    AUTOCAR

アウディの技術責任者であるオリバーホフマン氏は取材に対し、新しいPPEプラットフォームへの切り替えにより「素晴らしいプロポーションを持つことになり、デザイナーは非常に喜んでいる」と語っている。

ショートオーバーハング、低く構えたボディワーク、そして豪華なグラスハウスが、新しいEVファミリーの特徴になるだろう。A4 eトロンではセダンとアバント(ステーションワゴン)の2タイプが設定される。

アウディの現行EVと比較して、技術的に大きな進歩が見られるだろう。なかでも注目されるのは、車軸の間に設置される新世代バッテリーで、使用可能容量は約100kWhとされる。A4 eトロンは本質的に、SUVのQ6 eトロン(航続距離600km)よりも車高が低く、スマートで軽量であるため、1回の充電での航続距離は最長640km近くになるはずだ。

A4 eトロンには800Vの高電圧アーキテクチャーが標準装備され、MEBベースの現行型Q4 eトロンの2倍となる最大270kWでの充電が可能となる。これにより、わずか10分で約250km分の電力を補充できる。

新開発のニッケルマンガン・コバルト(NMCバッテリーは、15個の角型セルで構成されている。フロアパン内のスペースを利用し、エネルギー密度を最適化しながら室内空間を拡大できるように配置される。PPEアーキテクチャーが持つ耐久性を最適化する上で同様に重要な役割を果たすのが、電子制御に対する新しいアプローチである。

PPE ベースの車両にはSiC(炭化ケイ素)半導体が全体的に使用されており、熱放出が少ないためエネルギーの浪費を抑えることができる。さらに、新開発の電気モーターではステーターの配線断面を四角形としたことで、従来の円形で生じていた巻線間の無駄なスペースをなくした。

高性能の「RS4」も 独自のキャラクター作り

A4 eトロンは、エントリーグレードのシングルモーター/後輪駆動モデルから、ツインモーター/四輪駆動モデルまで、おなじみの幅広いバリエーションが設定される見込みだ。

スポーティグレードのS4 eトロンでは、最高出力が約520psまで引き上げられ、現在のV6エンジン搭載のRS4コンペティションよりも大幅にパワーアップすることが期待される。

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A4 eトロンと共通点の多いQ6 eトロンの内装    アウディ

さらに、フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOは今後数年間で「RSブランドにさらに力を入れる」としていることから、ハードコアなRS4 eトロンもまもなく登場するだろう。

最近、アウディ・スポーツの代表を務めるセバスチャン・グラムス氏が語ったところによると、RSの名を冠したEVは「特別なキャラクター」を持つことになるという。標準車とは明らかに異なるデザイン、独特の加速サウンド、特注のパワートレイン・セットアップによって独自性を担保するようだ。

インテリアでは、SUVのQ6 eトロンに倣い、3枚の高解像度スクリーンを基盤とした「人間中心」のレイアウトが採用される。助手席の前に独立したタッチスクリーンがあり、例えばナビのルート入力や音楽の再生ができるようになるだろう。

また、Q6 eトロンと同じく、AR(拡張現実ヘッドアップディスプレイと、乗員を出迎えたり、充電状態を表示したりするLEDの室内照明が導入される可能性も高い。

価格については、BMW i4やメルセデス・ベンツEQEなどを意識した設定としつつ、併売される内燃エンジン車のA5よりも割高になることは間違いない。スタート価格は5万ポンド(約915万円)前後と見るのが妥当だろう。


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