オンライン動画配信サービス「Hulu」にて、9月より独占配信が開始したHuluプレミア「ANNA/アンナ」。第3話では、監禁されたアンナの脱出劇と、物語のキーパーソン“アンジェリカ”について描かれた。本記事では、考察を踏まえながら第3話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます)
【写真】バレリーナのような衣装を着たジュリア・ドラゴット“アンナ”
■「ANNA/アンナ」とは
本作は、2015年にイタリア人作家のニコロ・アンマニーティが発表しベストセラーとなった小説「Anna」が原作のパンデミック・ファンタジー。謎の感染病“赤い病”が世界中を襲って大人が全滅してしまい、免疫のある14歳までの子供しか生存できなくなったディストピアの世界を描いた物語だ。ある日13歳の少女・アンナは、“青い子供”という集団に弟がさらわれたことを知り、母親と交わした“弟を守る”という約束を果たすため、彼を捜す過酷な旅へ出る――。
原作者のアンマニーティ自らが監督、脚本を務めることでも話題になった本作。主人公のアンナ役を演じるジュリア・ドラゴットと弟・アストル役のアレッサンドロ・ペコレッラは、本作がドラマデビュー作となる。
またアンナ役の日本語吹き替えは、アニメ「SPY×FAMILY」のアーニャ・フォージャー役で知られる声優・種崎敦美が演じている。
アンナが監禁されている双子の食糧倉庫には、アンナと同じように監禁された子どもたち“ペット”がたくさんいた。どうやらマリオたちがアイスを作るための“穴掘り要員”として監禁したそうだが、彼らは話すことも掘る力もないという。そして理不尽に働かされ続けるアンナは、「出たら殺してやる、マヌケ」と檻の中から言い放った。
そんな中、双子の食糧店にピエトロが訪れる。ピエトロは「アンナという黒髪の女の子が来てないか?」と尋ねるが、マリオは「いや…」と嘘をつき、“おもしろい写真がある”とピエトロを店の奥へ呼び寄せる。アンナは別の部屋で監禁されており動けない状態だったが、力を振り絞って、近くにあるオーディオで音楽を流す。大音量で響く音楽はピエトロの耳にも届き、音を頼りにアンナを探し出す。
ピエトロはマリオにアンナが監禁された部屋の鍵を持ってこさせ、救出することに成功。部屋を出たアンナはピエトロと再会し、“一緒にさらわれた弟を取り返しに行きたい”と伝えるも、ピエトロは「俺は行かない」「ほっとけよ、自分の道を進ませろ」と反対。2人の意見は割れ、アンナは1人で弟の元へ旅立つのだった――。
■“青い子供”のトップ「アンジェリカ」の過去が明らかに
ちょうどその頃アストルは、“青い子供”の中で体全体をペンキで染めて彼らの仲間となっていた。青のペンキがある桶の中には、彼らが崇める女性「アンジェリカ」がおり、満足げににアストルを仲間に入れる。
アンジェリカはその昔、“金髪軍団”のリーダーとして同世代の女の子たちを牛耳っていた。ある時ルチアという女の子が軍団に入りたいとやって来る。アンジェリカは軍団に入るテストとして、工事現場に吊るされているロープをジャンプで掴むよう指示する。しかしそこは高い場所だったため、ルチアは「怖い」と言って拒否。するとアンジェリカは半ば強引にテストをやるようにルチアをけしかけ、結果無理ロープに飛び移ろうとしたルチアは、そのまま地面に落下して亡くなってしまう。
その後アンジェリカはルチアのお葬式に向かう途中、「お葬式なんてバカみたい」「自分から穴に飛び込むなんてバカな証拠よ」と批判。両親にでさえ「人間の心がない」と言われるほど冷酷な性格の持ち主だった。
その後大人たちが“赤い病”で絶滅し、アンジェリカが1人自宅にいると、ルチアの兄をはじめとする子供たちがやって来て、アンジェリカへの報復として“青いペンキ”を被せる。それから時は経ち、アンジェリカは“青い子供”のリーダーとして、多くの子供たちを引き入れたのだった――。
回想シーンでは、アンジェリカが“青い子供”を創設するシーンは描かれていなかったものの、もともと“金髪軍団”という組織を自ら作っていた点から、「トップに立ちたい」という思いが幼少期からあったのかもしれない。また青いペンキをかけられた出来事がトラウマとなり、誰も報復できないような強い組織を作るために“青い子供”という集団を立ち上げたのではないだろうか。
■“青い子供”のアジトに潜入するアンナ
地図を頼りに“青い子供”のアジトへたどり着いたアンナは、アンジェリカの元へ連れて行かれる。アンジェリカはアンナを集団のダンサー要員にするため、その場で踊るよう指示するが、アンナは得意な歌を披露。すると歌声を聞いたアンジェリカはアンナを褒め、「“大きな女の子”にキスできるわよ」と伝えた。その後アンジェリカに解放されたアンナは必死にアストルを捜索。そしてようやく見つけたものの、距離が遠いせいで声をかけるまでには至らなかった。
その夜、アンジェリカは“大きい女の子”に会うための儀式をおこない、ダンサーたちは踊りを披露する。そこへ、頭からマスクをかぶった“大きい女の子”がやって来る――。
■子供たちが熱狂する“大きい女の子”の正体とは
第3話では、ついに“青い子供”のアンジェリカの正体が明らかになった。幼少期から裕福な生活を送っていたアンジェリカだが、女の子を死に追いやり、お葬式の場でもひょうひょうとした表情を見せていた。
そんなアンジェリカが連れてきた“大きい女の子”は、顔は隠されていたものの、背丈は周りの子供たちよりかなり大きいため、“未感染の大人が生き残っていた”と考えられる。
1話では、ピエトロが“青い子供”について、「捕まえた大人のキスで“赤”が治るらしい」と話していた。そのセリフを踏まえると、アンジェリカが未感染の大人を捕まえ、“キスをすれば赤い病に感染しない”と子供たちに言い聞かせ、自分の支配下に置いているのではないだろうか。
アストルも集団の中で普通に生活する姿が描かれていたため、すでにアンジェリカの手中に落ちてしまっている可能性もある。アンナとアストルは集団の中で再会し、無事自宅に連れ戻すことができるのだろうか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※種崎敦美の崎、正しくは「たつさき」
コメント