三菱電機株式会社は、IEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準化会議)が2023年10月17日に発行した2023年度版IEC白書「Power semiconductors for an Energy-Wise society」のプロジェクトリーダーを務め、パワー半導体の国際規格や認証制度の整備・拡充の必要性に関する提言を取りまとめました。

       2023年10月17日発行IEC白書「Power semiconductors for an Energy-Wise society」

 IEC白書は、2010年の発行以来、年に一度、国際規格整備が必要となる電気・電子・電機技術分野の技術や市場動向をまとめ、IECおよび関連する団体に向けた勧告を提言しています。IEC白書でパワー半導体が取り上げられるのは今回が初めてとなります。

 当社の主力製品の一つであるパワー半導体は、電力を効率よく変換することで、電気の消費量を減らし、エネルギーの有効活用に貢献するため、2050年カーボンニュートラル実現に必要不可欠なキーデバイスとして、近年、さらなる市場の拡大や技術の進展が期待されています。再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などへの新たな応用に加え、SiC(※)などの新材料も使われ始める一方で、必要とされる国際規格や認証制度の整備が追いついていないのが現状です。国際規格や認証制度の未整備は、粗悪製品の市場への蔓延や、製造者・ユーザー・関連規制当局との関係のひずみを生み、市場の健全な成長を阻害する原因になります。

 こうした課題に対する提言を行うため、2022年10月に、IEC-MSB(Market Strategy Board、市場戦略評議会)における白書プロジェクトを当社主導で立ち上げ、世界各国の専門家とともにパワー半導体を取り巻く技術や市場、規制等に関する課題を整理し、「Power semiconductors for an Energy-Wise society」と題して、その応用分野とパワー半導体の技術動向、国際規格や認証制度の整備・拡充の必要性を2023年版IEC白書にまとめました。

 本白書では、パワー半導体メーカー、パワー半導体ユーザー、関連規制当局が協力し、国際規格や認証制度を策定することが、パワー半導体の新しい規格の開発と普及を加速させ、さらなる市場の健全な成長に貢献することを提言しています。

 当社は、パワー半導体市場の健全な成長を通じて2050年までにカーボンニュートラルを実現させるため、同業他社、パワー半導体ユーザー、関連規制当局とともに、本白書が具体的に提言するパワー半導体の国際規格整備のロードマップ策定に積極的に取り組んでいきます。

■2023年版IEC白書について

 「Power semiconductors for an Energy-Wise society」と題した本白書には、カーボンニュートラルやエミッションフリーな産業界、健康で豊かな社会を実現するパワー半導体が担う重要な役割と関連する電気技術分野の国際規格のあり方に焦点を当て、提言を取りまとめています。

 主な要点は以下の通りです。

  ・エネルギーを賢く有効利用する社会を「Energy-Wise society(エネルギーワイズ社会)」と名付け、その実現に必須となるパワー半導体とその適用事例に関する社会、市場および技術の現況と将来動向

  ・2050年カーボンニュートラル実現に向け、世界各国の関連規制当局、産業界、国際標準化団体が一体になって取り組むべきパワー半導体業界が抱える課題とその解決策

  ・特に、IECを中心にした国際標準化団体に対して、パワー半導体分野における国際規格開発および適合性評価制度構築に向けたロードマップおよびガイドライン策定の提言

 本白書プロジェクトチームは、当社特任技術顧問でありIEC副会長兼MSB議長の堤和彦氏が統括し、当社の知的財産センター(東京)、パワーデバイス製作所(福岡)、三菱電機ヨーロッパドイツ支社(ドイツ・ラティンゲン)、および世界各国から関連技術分野のトップレベルの専門家が参加しました。

 本白書は、以下のリンクから無料でダウンロードできます。

 https://www.iec.ch/basecamp/power-semiconductors-energy-wise-society(英文のみ)

■IECについて

 IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)は、電気および電子技術分野の国際規格を開発し、発行するとともに、同分野における適合性評価に関する国際制度を管理、運営する国際標準化機関です。電気および電子技術分野における標準化および適合性評価等に関する国際協力、国際理解を促進し、これによって国際貿易の振興および利用者の利便性の向上に寄与することを目的としています。1906年に発足し、現在、約170カ国が参加しています。IECの評議会のひとつであるMSBは、毎年IECの活動分野における主要な技術動向とマーケットニーズに関する白書を取りまとめています。

IECサイト:https://iec.ch/homepage(英文のみ)

※ Silicon Carbide:炭化ケイ素

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三菱電機株式会社 知的財産センター 標準化戦略室

〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号

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配信元企業:三菱電機株式会社

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