画像はイメージ

お店で突然キレる人は迷惑以外の何ものでもないが、接客業をしているとそんな客に遭遇することもある。関東在住の20代男性は、数年前、郊外の某牛丼チェーン店でアルバイトをしていたとき、とんでもない迷惑客に遭遇した。

「提供した商品が間違っていて、謝罪しました。そして、厨房のほうに作り直しをお願いしようと離れたら、その人が牛丼を器ごとカウンターのほうに投げつけてきました。周りのお客さんもびっくりするし、本当に防犯ブザーならそうかと思いました」

店側に落ち度があったとはいえ、いきなり食べ物を食器ごと投げつけるとは乱暴すぎる。一体どういう状況だったのか。編集部が男性に取材を申し込むと、さらに驚きの事態が判明した。

「怒鳴り声というよりは静かな口調で、睨みつけるような態度でした」

その客は職人風の40代くらいの男性で、昼食を食べに店を訪れた。仕事仲間との昼休憩だったのか、20~50代くらいの男性ばかりの連れが10人ほどいたという。問題は牛丼を出したときに起きた。

「ご注文はトッピングの牛丼だったのですが、のせるものを間違えて提供してしまいました。私は謝罪したのですが、突然、何かを言ってカウンター席から牛丼を器ごと投げつけて来たんです。中身が入ったまま投げてきたので全てカウンター内部の床に落ちてしまいました。器は割れませんでしたが、丼がぶつかった皿が床に落ちて割れました」

牛丼が床にぶちまかれ、付近に置いてあった皿に被害が及んでしまった。言われた言葉は覚えていないというが、

「怒鳴り声というよりは静かな口調で、睨みつけるような態度でした。とても怖くて防犯ブザーを押すか悩みましたし、初めてだったのでしばらく動揺していました。周りのお客さんたちはびっくりしていて、空気が静まり返っていました」

店内は緊張状態で、男性の恐怖は相当なものだったことがうかがえる。ちなみに連れ客たちの様子については「焦りすぎてそこまで見る余裕がなかった」そうだ。とりなすような行動はしなかったのだろう。防犯ブザーは不審者が入ってきた時に押すよう指導されていたが、このときは迷いつつ押すことはなかった。

金を払わずに退店する仲間たち

その後、代わりの牛丼を調理スタッフが提供し、食事中はクレームが出ることはなかった。事態は収束するかに見えたが、会計時に事件が起こる。

「丼を投げた人は会計してましたが、連れのお客さんたちは支払いをしませんでした。混乱した店の雰囲気を利用して普通に去っていきました」

もちろん約10人分の代金はクレーマー客がおごったわけではないという。連れの客たちは、店内の緊張状態を利用して無銭飲食をしたというのだ。そのとき店長は不在で、これをとがめられるスタッフはいなかった。

「後で店長に報告しましたが、怪我はないか確認してくださり、その後の事は対応しますとのことでした。どう対応したかまでは聞いていません

と衝撃的な出来事を振り返った。男性は接客サービス業に懲りたのか、現在は警備員として働いているそうだ。

牛丼を器ごと投げつけてきた驚愕クレーマー、連れの客たちも集団無銭飲食…「防犯ブザーを鳴らそうかと」と語る男性