大正9年創業の秩父銘仙(ちちぶめいせん)の老舗である秩父織塾工房横山 株式会社(本社:埼玉県秩父郡長瀞町 代表取締役社長:横山大樹、https://www.yokoyama-koubou.com/ 以下、秩父織塾工房横山)は、この度、第70回 秩父美術展の工芸部門にて、二度目の埼玉県知事賞を受賞したことをお知らせいたします。
また、秩父織塾工房横山の生徒である倉田公代も秩父市教育委員長賞を受賞しW受賞の快挙となりました。

(左から、秩父美術展運営委員長 西由三氏、工芸の部審査委員 青山米子氏、横山大樹、倉田公代)
  • 第70回秩父美術展における二度目の埼玉県知事賞の受賞について

今回の受賞の審査項目では、作者の内面や心持はもちろんのこと1.素材のクオリティ 2.素材を自由にコントロールする技術・テクニック 3.素材と技術を用いた表現力、の3点を組み合わせての総合評価から、秩父織塾工房横山の作品を選出いただきました。また、代々の経験と技術がしっかり受け継がれ、詰め込まれた作品であるという点も高い評価をいただきました。

弊社では、今後も『銘仙を日常に』をモットーに、歴史と伝統を大切に、且つ幅広い世代の日常に寄り添った新しいアイディアの製品を生み出していくとともに、秩父銘仙の国指定伝統工芸士として秩父銘仙を後継すべく、一貫して秩父銘仙を染織できる工房を活かし、次世代へと受け継いでまいります。

  • 知事賞/横山大樹作『秩父銘仙 半併用絣』 

知事賞 横山大樹作『秩父銘仙 半併用絣』

<講評:青山米子氏(秩父銘仙織物作家)>

この銘仙はよこ糸を無地の部分とは別に、絣の部分を糸が染まらないようにくくって染める。また一本一本の糸を慎重に花柄に合わせながら織る。余分な糸が出ているのは合わせながら織っているから。半併用絣といって緯糸を合わせながら織る、かなり手間のかかる銘仙である。秩父では昭和10年頃は銘仙の工房は非常にたくさんあった。当時はそれぞれの工程は分業だったが、今現在は分業はなくなっている。二代目の敬司さんが銘仙の工程を一貫して製作出来る工房にした。生前、今回のような併用を作りたいと言っていたがそれを現実にした。技術テクニックもさながら、非常にこだわりぬいた作品であることを評価した。


<受賞者・秩父織塾工房横山 横山大樹コメント>

このたび二度目の埼玉県知事賞をいただき大変光栄です。今回の私の作品は、半併用絣(はんへいようがすり)の技術継承のために、技法のひとつを復刻する目的で制作しました。

昨年発表した新銘仙『ヤナセ絣(特許出願中)』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000110749.html)の併用絣、今回の半併用絣、その全ての銘仙の技法を当工房は現存しています。足利銘仙(あしかがめいせん)を代表とする半併用絣は、メインとなる絣(かすり)の部分がスポット的に華やかに見え、その部分が浮き出てくることが特徴の視覚効果の高い技術です。

さらに今回、弊社の工房で長きにわたって制作活動をされていた生徒である倉田さんが秩父市教育長賞を受賞され、「秩父織塾工房横山」としてW受賞となったたことが、自分のこと以上に非常に嬉しく思っています。

専門的な話になりますが、秩父銘仙はよこ糸が無地が一般的です。倉田さんの作品は、よこ糸は無地ですが、たて糸を二重にすることで2つの柄が立体的に浮きでる今までにない作品が出来上がりました。


父の代から機織りを教わっていましたが、織物は整経・たて糸を揃えるところから仮織し、柄のデザインを考え、柄をつけて織って、仕上がるまで非常に時間がかかります。今回評価いただいた2作品(埼玉県知事賞/倉田さんの秩父市教育長賞)は本当にとても大変で、非常に手が込み、時間もかけ大切に織り上げたもののため、このように評価いただけて大変嬉しく思います。2代目敬司から引き継ぎ、また浅見光一先生の技術や技巧を発展させ、全ての銘仙の技法を習得し新銘仙『ヤナセ絣』に次ぐ新しい銘仙の開発したいと思っています。

今後も「秩父織塾工房横山」では、本受賞に留まらず、現代銘仙の美術的価値を高め、「秩父銘仙」の伝統と新規性を掛け合わせアップデートしていくことで、より身近にいろんな方に活用いただけるような存在になることを目指していくとともに、後継者育成にもより一層尽力してまいります。

  • 秩父市教育長賞/倉田公代作『秩父銘仙 まゆの里』 

秩父市教育長賞 倉田公代作『秩父銘仙 まゆの里』

<講評:青山米子氏(秩父銘仙織物作家)>

秩父銘仙館や横山工房で教えていた故浅見光一氏の技法を忠実に守って作られたものだと知った。1300本のたて糸を半分の650本ずつのたて糸に黒地に水玉模様と一方に三色を捺染した二枚のたて糸を二本ずつ間違わないように引き込んで織った手間かかかる工法。織りがしっかりしていて、とてもいい銘仙であると評価した。


<秩父織塾工房横山の生徒 倉田公代コメント>

祖母の織り子としての人生。そしてお蚕さんと一緒に育った子どもの頃の作品『まゆの里』です。

小学校や中学校時代、養蚕は原風景でした。長瀞町は昔野上町で養蚕が盛んでした。いまは一軒の養蚕農家をだけです。子どもの頃家の2階でお蚕様を飼い、回転まぶし一個10円でお小遣い稼ぎをしていたことを思い出します。この作品は祖母と自分の人生のまゆと織りの集大成です。10年前に二代目横山敬司先生と浅見光一先生のもと織りを始めました。浅見光一先生に色んな技量を伝えて頂いた作品でもあります。先生が30年温めていた技法を用い、2作目の今作は桑の葉とマユをモチーフにした自分でデザインした二枚の絵柄を立体感のある織りに仕上がりました。これからも浅見光一先生のこの技術を応用し発展させていきながら、絹を中心とした織物の作りをしていきたいです。

  • 秩父銘仙について

山々に囲まれた秩父地域は、古くから養蚕業が盛んです。絹糸から生産され、庶民の野良着として定着していた「太織(ふとおり)」から、技術の発展により「秩父銘仙」へと変化していきました。たて糸に柄を染色し織り上げる「捺染(なっせん)」(※1)の開発により、明治中期から昭和初期をピークに、おしゃれ着として広く普及していきましたが、着物から洋服への生活様式の変化などにより、近年は生産量が著しく減少しています。

そのような状況の中、弊社では、あえて秩父地域の歴史や伝統技術を絶やさぬよう、昔ながらの製法で染織した秩父銘仙や長瀞藍染、草木染めを使った商品を気持ちを込め生産し、丁寧に織り上げています。


※1:捺染(なっせん)とは・・プリントのこと。当工房は、型を使って昔ながらのコンニャク糊に染料を入れて型染め、手染めをしています。

  • 秩父織塾工房横山株式会社について

大正9年(1920年)創業。初代横山忠安設立。弊社は、大正9年から織物を生産し、令和5年に創業103年を迎えました。戦前から昭和にかけて秩父銘仙を制作し、アクリルプリントの開発により西川産業、京都コスギなどの座布団カバー、こたつ掛け、サンローラン、エマニエルウンガロなどライセンス物を手掛けており、時代変遷のなかで、草木染めや藍染のスカーフを制作し始め、日本橋三越にタクミブランドとしてアルプスカワムラから常設していました。

その後、二代目横山敬司は、『秩父銘仙館』の立ち上げの発起人のひとりであり、秩父銘仙の復活に取り組んでまいりました。現在は三代目横山大樹となり、2022年10月に今までになかった平織の最高峰ともいえる3Dの技術を開発し、新銘仙『ヤナセ絣(特許出願中)』を発表。『銘仙を日常に』をモットーに、幅広い世代の日常に寄り添った銘仙の新たな形を模索し開発発案、製品化を行っているほか、伝統と技術を残していくために後継者育成も行っています。また、毎週金曜日には明治時代の昔ながらの手織機で、はた織教室や一般の方に向けての織りや染めの体験教室も開催しています。

体験教室:https://www.yokoyama-koubou.com/

会社名: 秩父織塾工房横山株式会社

所在地:埼玉県秩父郡長瀞町矢那瀬1313‐1

TEL:0494(66)0050 FAX:0494(66)3829

定休日:木曜日・不定休/ 営業時間:10:00~18:00

ホームページ:https://www.yokoyama-koubou.com/

Instagram:https://www.instagram.com/chichibuorijyuku.yokoyama/

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配信元企業:秩父織塾工房横山株式会社

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