25日の香港マーケットは、主要80銘柄で構成されるハンセン指数が前日比93.80ポイント(0.55%)高の17085.33ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が54.59ポイント(0.94%)高の5853.97ポイントとそろって5日ぶりに反発した。売買代金は954億7230万香港ドルとなっている(24日は899億5490万香港ドル)。
 投資家心理が上向く流れ。24日の米株高や米金利低下、中国経済対策の期待感が相場を押し上げている。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日、1兆人民元(約20兆5000億円)規模の国債増発を承認した。また、習近平・国家主席は24日午後、中国人民銀行(中央銀行)を異例で訪問している。事情に詳しい関係者の話によれば、主席は政府高官を伴い、人民銀と国家外為管理局(SAFE)を訪れた。習氏の人民銀訪問は就任以来で初めて。中国の中央政府が経済を重視しているとの見方が広がった。ただ、指数は中盤から上げ幅を徐々に削っている。香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は25日、施政報告(施政方針演説)を実施。「相場を押し上げるには、物足りない」との声も一部から聞かれた。(亜州リサーチ編集部)
 「ニューエコノミー」関連銘柄に買いが先行。ハンセン科技(テック)指数は2.2%高と他の指数をアンダーパフォームしている。個別では、パソコン世界最大手の聯想集団(992/HK)が7.3%高、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が5.2%高、動画配信プラットフォームのビリビリ(9626/HK)が5.1%高と上げが目立った。
 ゼネコンやエンジニアリングなどインフラ建設関連セクターも高い。中国建築国際集団(3311/HK)が4.1%、中国交通建設(1800/HK)が2.6%、中リョ国際工程(2068/HK)が4.8%ずつ上昇した。PVCパイプ・チューブメーカー中国最大手の中国聯塑集団HD(2128/HK)が11.0%高と急伸している。上述した国債発行により調達した資金は、全て地方政府へ回され、災害復興や防災・減災などの公共事業に投入される見通しだ。
 セメントや鉄鋼、非鉄など素材セクターも物色される。中国建材(3323/HK)が7.4%高、安徽海螺水泥(914/HK)が6.3%高、華潤水泥HD(1313/HK)が5.6%高、中国宏橋集団(1378/HK)が4.7%高、中国アルミ2600/HK)が3.9%高で引けた。
 半面、通信キャリア3社は安い。中国聯通(762/HK)が8.5%、中国電信(728/HK)が4.7%、中国移動(941/HK)が2.1%ずつ下落した。中国聯通が公表した1~9月期決算は10%増益にとどまり、利益率悪化で増益率が中間期の13%から低下したことを嫌気している。
 一方、本土マーケットは続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.40%高の2974.11ポイントで取引を終了した。インフラ建設関連株が高い。消費関連株、素材株、石炭株、不動産株、ハイテク株、運輸株なども買われた。半面、石油株は安い。医薬株、公益株、金融株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)