芸術の秋到来! 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブでは、2023年10月20日(金)から『MUCA(ムカ)展 ICON of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』が開催中。

会場入口

ドイツミュンヘン美術館 Museum of Urban and Contemporary Art (MUCA)のアーバン・アートと現代美術のコレクションによる展覧会の内覧会をレポートする。

MUCA外観 Photo by © MUCA / wunderland media

「MUCA」は、20世紀から21世紀にかけて、世界各地の都市を舞台に発表してきたアーバン・アートの作品を、25年以上かけて収集してきた。同展では、その貴重なコレクションの中から約70点を紹介する。

展示会場風景

会場に入ると、まずは世界的に活躍する、正体不明のアーティスト、バンクシーの空間が。「あ!知ってる!」と思う作品もある。例えばこの作品。

バンクシー《少女と風船》2004年|BANKSY, Girl With Balloon, 2004 Photo by © MUCA / wunderland media

オークションで、高値で取り引きされた直後に、作品の額にあったシュレッダーで切断された、という衝撃のてん末を覚えている方も多いだろう。他にもバンクシーの展示室には、日本初上陸の大型彫刻作品も置かれている。

展示会場風景

カラーブロックやパターンを組み合わせて、ポップな感覚がユニークなバリー・マッギー、同展覧会で唯一の女性アーティストであるSWOON(スウーン)、新聞やチラシを使って、政治的な批評をテーマにするシェパードフェアリーらの作品が並ぶ。

展示会場風景

彼らの作品を見ていると、私たちが生きている現代社会にメスを入れられているような感覚になるだろう。

展示会場風景

作品のユニークな技法も、本展覧会の見どころのひとつ。

展示会場風景

VHILS(ヴィルズ)は、石膏ボードやドアといった素材を使って、ビジュアルを生み出す。また、ルービックキューブを組み合わせたINVADER(インベーダー)のモザイク・アートも、食い入るように見てしまう。

展示会場風景

他にも、日本でもよく展覧会をしているJR(ジェイアール)、ストリート・アートの先駆者であるリチャード・ハンブルトン、愛らしい作風が目を引くオス・ジェメオスの作品を見ることができる。

展示会場風景

そして展示室のファイナルは、KAWS(カウズ)。

展示会場風景

KAWSの「コンパニオン」は、バツ印の目が特徴的なキャラクターシリーズ。バリエーションのある「コンパニオン」の展示は、アートと商業の境界線を考えるきっかけにもなる。

内覧会の挨拶で、MUCA館長 クリスチャン・ウッツ氏が「アーバン・アートは、ストリートにあるだけではない。皮肉や風刺、戦争や差別といった社会的メッセージが込められた現代美術であるアーバン・アートをもっと知ってもらいたい」と述べていた。そう、もはや現代美術は、カワイイとか、分かりやすいとか、感覚に訴えるものだけではない。私たちが生きる現代社会について想像したり、考えさせられるきっかけなのだ。とはいえ、展示空間に広がる多種多様な作品は、とても魅力的。展示室を行ったり来たりしながら、同時代のアートを楽しもう!

取材・文:藤田千彩

<開催情報>
『MUCA展 ICON of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』

会期:2023年10月20日(金)~2024年1月8日(月・祝)
会場:京都市京セラ美術館
公式サイト:
https://www.mucaexhibition.jp/

会場入口(左から美術評論家/エヌ・アンド・エー株式会社 代表取締役 南條史生氏、MUCA館長 クリスチャン・ウッツ氏、京都市京セラ美術館 副館長 小林中氏)