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 体の引き締まった強者ぞろいというイメージがある米軍兵士だが、10人中7人までが太り過ぎの傾向があるそうだ。最新のレポートは、国家安全保障上の「差し迫った脅威」であると警鐘を鳴らしている。

 ワシントンを拠点とする非営利団体「American Security Project」が米軍兵士のBMIを調べたところ、68%が「過体重」か「肥満」に当たることを明らかにしている。

 しかも肥満の兵士は、2012年の10.4%から昨年の21.6%と、過去10年間で2倍以上に増加していることも判明したそうだ。

【画像】 米軍兵士の太りすぎ問題は国家安全保障上の差し迫った脅威

 ワシントンに拠点を置く非営利団体「アメリカン・セキュリティ・プロジェクト」によって提出された『Combating Military Obesity』と出された報告書には、米軍兵士の太りすぎ問題は、国家安全保障上の「差し迫った脅威」であると警鐘を鳴らしている。

長期的な戦力を維持するために、軍は断固として兵士の肥満に対処しなければならない…国防の最前線にいる兵士の肥満を特定・診断・治療することは、ひいては軍隊の長期的な存続を左右しかねないものだ

 New York Post誌が伝えるところによると、肥満が問題となっている米軍であっても、新兵については体型の基準がきちんと定められているという。

 ところが、これが新兵の入隊を妨げる大きな要因になっている。というのも、入隊志願者が不採用となる主な要因が肥満であるからだ。

 現在17歳から24歳までのアメリカ人のうち、学業面および身体面で兵士の資格をクリアしているのは、わずか4分の1以下。

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 この状況を裏付けるように、今年4月、ランディジョージ陸軍参謀総長とリサ・フランケッティ海軍作戦副部長(いずれも当時の肩書き)は、下院軍事サービス準備小委員会に対し、陸海空軍は定員割れする恐れがあると報告している。

 実際、2023年度の募集では、陸軍に5万5000人近い兵士が入隊し、去年とは打って変わって(2022年度は25%の不足だった)目標人数に達したが、空軍と海軍ではそれぞれ2700人と7450人ほど目標に届かなかった。

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アメリカ安全保障プロジェクトは「肥満」カテゴリーに分類される兵士の数が過去10年間で2倍以上に増加したと判断した(2012年の10.4%から昨年は21.6%となった) / image credit:American Security Project

兵士に医学的なダイエットを受けさせるべき

 こうした状況を受け、American Security Projectは、肥満の兵士にはきちんとした治療を受けさせるとともに、定期的に肥満に関連する報告を作成し、議会にもBMIなどのデータを提出するよう、国防総省に勧告している。

 「肥満のスクリーニングを適切に行うことで、軍は事前に肥満対策を講じれるようになる」

 その一方で、肥満は健康上の問題であって、道徳的な落ち度ではないため、太りすぎた兵士に罰を与えるべきではないとも主張する。

 「肥満を意志の弱さや規律の乱れと決めつけてしまえば、兵士は治療を受けたがらなくなり、指揮官や医療関係者も対応しにくくなるだろう。それでは、かえって状況が悪化する」

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 現時点では、太りすぎた兵士には運動やダイエットが命じられ、それでも痩せなければ、除隊させられることもあるという。

 しかしAmerican Security Projectは、むしろ太った兵士には医師を紹介し、肥満の原因や、それによる健康上の問題を抱えていないかどうか調べるべきだと主張する。

References:ref-0286-combating-military-obesity-2.pdf / Nearly 70% of American soldiers are obese or overweight: study / written by hiroching / edited by / parumo

 
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米軍兵士の7割近くが太り過ぎであることが判明し、国家安全保障に懸念