ネリー・アガシ 参考作品 From the exhibition No Limestone, No Marble  The Quiet Before the Storm 2022   Photo by Clare Britt Sound

今年で3回目を迎える、伝統織物産業と現代アートが織りなす国内唯一の布の芸術祭『FUJI TEXTILE WEEK 2023(フジテキスタイルウィーク)』は「アート展」と「デザイン展」で構成され、今年のテーマは<BACK TO THREAD / 糸への回帰>です。「アート展」では、国内外11組(都合により参加アーティスト数が変更)のアーティストがテキスタイルをテーマに、織物の産地として1000年の歴史を持つ富士吉田の旧糸屋や工場跡地を舞台に作品を展示します。南條史生を総合ディレクターに、キュレーターにアリエ・ロゼン、丹原健翔らも加わり、海外の美術館やアートフェアに出展する国際的なアーティストから今後の活躍が期待される若手まで、多彩なアーティストが参加します。織物産地の歴史、物語をリサーチし、機屋との対話を重ねながらテキスタイルから発想される多様な表現が展開されます。

「デザイン展」では、伝統的な織物である甲斐絹(かいき)を様々な視点から読み解きます。現在地域内で保管されている数百点を超える資料の中から厳選された生地や羽織、当時使われていた道具を様々な視点からご覧いただくアーカイブ展示をはじめ、新たな創造の契機を目指し、ビジネスマッチングプログラムや様々なイベントを開催します。

また今年は、富士山世界文化遺産登録10周年を迎えたことから、「富士山借景」を企画し、富士山ビュースポットを特別開放する「FUJI SKY ROOF(フジスカイルーフ)」やフォトコンテスト、またアーティスト達が参加するトークイベントなど、より多角的に楽しめるイベントを実施します。

  • 「アート展」のポイント                              

▼世界の6の地域と国内から11組のアーティストが参加 

世界6の地域と国内から11組の現代アーティストが参加します。彫刻、写真、刺繍作家、

パフォーマーら多岐にわたる表現形態で、代表作からFUJI TEXTILE WEEKのために制作した新作まで多角的な視点でテキスタイルにアプローチします。

参加アーティスト:

ネリー・アガシ、池田杏莉、沖潤子、清川あさみ、スタジオ ゲオメトル、顧剣亨、筒 | tsu-tsu、津野青嵐、PACIFICA COLLECTIVES、ユ・ソラ、ジャファ・ラム(50音順)

  

▼テキスタイルの街で制作されるサイトスペシフィックな新作インスタレーション

これまでも、旧糸屋や喫茶店など空き家を展示会場に取り入れてきましたが、今年はかつての機織機の工場跡地、旧山叶(やまかの)がメイン会場に加わりました。地上約9m、幅約20mの工場跡地では、シカゴを拠点に活動するネリー・アガシが、現地でのリサーチを重ね、山梨県産業技術センターの技術提供を受け制作した生地を使用し、ダイナミックな大作を発表します。一方、顧剣亨(こ・けんりょう)は、旧山叶の事務所で、複数の写真データをピクセルごとに編み込む独自の手法で、傷などの都合により一般に流通しないB反に富士吉田の異なる時代の地図を織り込んだインスタレーションを発表します。

▼テキスタイルによる多様な表現で織物産地を再考する

清川あさみの作品は、写真や雑誌、本や布に刺繍を施す独自の手法で、ソーシャルメディアなど大量の情報が氾濫する現代社会で、個人のアイデンティティの内と外の間に生じる差異や矛盾に焦点を当て可視化します。また捨てられた傘など廃材を使った作品づくりで知られる香港のアーティスト、ジャファ・ラムが制作する、B反を使用した雲のような新作は、鑑賞者に見ることを問いかけます。展示ではアーティスト独自の着眼点で、テキスタイルによる多様な表現の作品を発表します。

▼地域との交流から制作される作品群

地元の方から古着や思い出の品を提供いただき、インスタレーション作品を制作するのは「喪失」と「還り」をテーマに作品を制作する池田杏莉。人との繋がりが失われ、捨てられようとする道具たちに焦点を当てます。また地元山梨を拠点に活動するドキュメンタリーアクター筒は、戦後に富士吉田市の繊維産業を牽引した織り手を演じるドキュメンタリーアクティング作品を発表します。これは実在の人物を取材し、演じる表現方法で、地域の人たちから話を聞く中で、繊維産業の地で長年繰り返されてきた物語を演じます。また付随して、現地に住む人々から直接聞いたオーラルヒストリー(地域の歴史、物語)を筒が演じ直す音声作品も発表します。参加者はガチャガチャで音声キットを購入すると、通常は見落としてしまう各会場への道中が、さまざまな個人史を聞きながら歩く、オーディオ・パフォーマンス体験となります。

  • アート展                                        

ネリー・アガシ

《mountain wishes come true》

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技術協力:山梨県産業技術センター

制作協力:槙田商店
参考作品|From the exhibition "No Limestone, No Marble" "The Quiet Before the Storm" 2022
Photo by Clare Britt

Sound: Ryan Packard

シカゴを拠点とし、多領域を横断して活動するアーティスト、ネリー・アガシは、この度日本では初となる大規模インスタレーションを旧山叶(やまかの)で発表する。旧山叶は、長年に渡り、富士吉田の織物産業を支えてきた存在だったが、現在はその店舗と倉庫は整理され空いている。市内にはその他にも行く末が決まっていない空き店舗や建屋があり、旧山叶もそのうちのひとつだ。

「mountain wishes come true − 山の願いは叶う」(旧社名・建物の直訳)は、アガシと旧山叶、その周辺地域との対話を公開する場となる。アガシは伝統と革新の架け橋となり、独自の芸術的ビジョンと地元の特性を巧みに融合させている。また時間、記憶、拾い物、想像力といった物理的かつ形而上学的な要素を用いて、空間の歴史、これまでの変遷、そして無限の可能性を秘めた未来に触れようとしている。

この展示では新たに空っぽとなった建造物で、現在取り組んでいる作品や実践、そして、彼女と非常に親しい人たち(10歳の息子ヨナや、長年のサウンド・コラボレーターであるライアン・パッカードなど)や、ここ数ヶ月の間に出会った人たちとのコラボレーションを多数紹介する。

清川あさみ 《わたしたちのおはなし》

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参考作品|Serendipity, 2023

古びた3階建ての日本式の蔵があり、その2階と3階に作品が展示してある。周囲は板敷きの床と壁である。素っ気なく、また木造建築の温かみが感じられる。この特異な空間に清川は8点の作品を展示している。2階には数点の本をベースにした作品がイーゼルに置かれている。本は入念に刺繍され、その糸は本のページの外へとあふれ出ている。楽譜をベースにした作品「別れの歌」は、楽譜の上に刺繍を構造的に配置したもので、リズムを感じさせる構成主義的なデザインとなっている。その中の一点は、本展のために作られたもので、木花之佐久夜毘売このはなのさくやびめ)の神話からとられたものだ。3階に上がると大きな作品Serendipityシリーズの新作がある。重厚なマチエールを持ち、絵画的である。刺繍という技術は糸の技術である。絵画に糸という素材を持ち込むことは、絵画を彫刻にすることだ。清川は2次元3次元の間を往還しつつ、そこに絵画、音楽、文学のポエジーを生み出している。

そのほか参加アーティストはこちら

https://prtimes.jp/a/?f=d126597-4-17ba4d3f87817b7c9b66d695978fc3cf.pdf

  • デザイン展「甲斐(かい)絹(き)をよむ」   会場|(FUJIHIMURO)

デザイン展では産地で100年前に織られていた幻の織物「甲斐絹」を多角的な視点で解き明かし、再発見する展示会を開催します。織物を構成する「textile」は、ラテン語の「texere」から派生しており、これは「織る」または「組織する」という意味があります。テキスタイルは、糸や繊維が織り合わされて形成されますが、それだけでなく、文化的、歴史的な意味やメッセージも内包しています。このようなテキスタイルから得られる情報は、言葉や文脈と同様に、現代の人々にもその当時の思い、時代背景、歴史、人々の営みを伝える力があります。現代では「甲斐絹(かいき)」を作る技術も、その意味やメッセージを理解する知識も失われていますが、展示では4つのキーワードで、失われた「甲斐絹」に再び光を当て「甲斐絹」が持つ未解明の美と深みに迫るとともに、新しい解釈と理解が生まれることを目指します。

●甲斐絹をよむ

なぜこの地域で織物産地が形成されたのか?現在、この地域が織物産地としてどのような特徴を持ち、その技術はどこから来たのか?過去から現代に至るまで、この地域の織物産業について甲斐絹を中心によみ解く展示です。

●意味をよむ

甲斐絹は羽織の裏地として用いられてきました。時として、表地よりも高級で手の込んだ甲斐絹をなぜ裏地として使ったのか。日本人が持つ裏勝りの文化を背景に、甲斐絹に描かれた絵やデザインをよみ解く試みです。

●技をよむ

失われた技術、ロストテクノロジーとなってしまった甲斐絹。その高度な技術はどのような道具や素材、そしてどのような人々によって築き上げられたのか。これらの要素を組み合わせて、よみ解きます。

●物語をよむ

読み手(表現者)

写真家 川谷光平氏

詩人 水沢なお氏

  • FUJI TEXTILE WEEKのもうひとつの魅力 富士吉田で今を飾る建物と風景                            

<織物産地の歴史がつまった展示会場>

富士吉田には街のいたるところに織物産地の歴史と物語が詰まった建物があります。FUJI TEXTILE WEEKでは、使われなくなった織物関連の工場や倉庫、店舗などを展示会場として再利用することで、産業の記憶の保存と街のアイデンティティ形成に取り組んでいます。

●展示会場風景 2023年 新たに展示会場となった旧山叶(やまかの)

2023年の総合案内所および、アート展会場として再生した旧山叶の建物。鉄鋼一次製品卸売業(織機の部品など)を扱う商社だった。

旧山叶の社屋となりの工場跡地。2023年は地上約9m、幅約20mの広大なスペースで、ネリー・アガシ氏によるテキスタイルを用いた巨大な作品が展示される。

●展示会場風景 2022年 かつて糸屋だった建物を再生

FUJI TEXTILE WEEK 2022では、かつて糸屋だった建物を再生しアート展の会場にした。撮影:吉田周平

FUJI TEXTILE WEEK2022旧糸屋での展示風景《頑健な情報帯》 村山悟郎 撮影:吉田周平

<織物産業と共に栄えた飲み屋街「西裏」>

会場となる富士吉田市の中心市街地、下吉田は機屋と商人、そして飲み屋を営む人々の街でした。街の真ん中を走る「本町通り」と、その両脇を走る「東裏通り」「西裏通り」。この3つの通りを中心に人々の暮らしが営まれていました。織物産業が栄えた時代、東裏からは機織りの音が、西裏からは酔っ払った人々の笑い声や芸者の三味線の音色が聞こえてきました。現在の西裏 新世界乾杯通りは、一度は衰退し廃墟街となりましたが、近年地域の人と移住者たちが力を合わせ再生中で新店舗が次々とオープンしています。FUJI TEXTILE WEEKでは、西裏の地域も会場として様々なコンテンツを配置し、織物産業を通して発展した街全体の物語を来場者に伝えます。期間中には台湾のクリエイターとのコラボ企画を同時開催予定です。

今年はトークイベント、参加型のイベント、子どもも楽しめる企画も充実しています     

アーティスト・トーク*この他にも開催予定です。参加方法とあわせて詳細は公式ウェブサイトに掲載します。

1.アーティスト×キュレータートーク|11月23日11時~ 会場:FabCafe Fuji

  南條史生 × ジャファ・ラム

2.アーティスト×キュレータートーク|11月23日 ●13時~ 会場:FabCafe Fuji

  南條史生 × アリエ・ロゼン × ネリー・アガシ

「FUJI TEXTILE WEEK 2023フォトコンテスト

会期中限定で開放される、富士山絶景スポット「FUJI SKY ROOF」から写真撮影をして応募しましょう!

本年、富士山世界文化遺産登録10周年を迎えたことを記念して、富士山ビュースポットの特別開放企画「FUJI SKY ROOF(フジスカイルーフ)」を初開催します。FUJI TEXTILE WEEK会期中は、普段開放していない建物の屋上など、普段観ることのない富士山絶景スポットでの撮影が可能となります。

応募作品の中から厳正な選考を行い、入賞された方には、富士山のふもと 富士吉田市を存分にお楽しみいただける宿の宿泊券や、1000年以上続く織物の産地 富士吉田のテキスタイルブランドの人気製品、昭和の香りが残るレトロな雰囲気のディープスポット「西裏地域」をはしごする飲食券などをプレゼントします。

FUJI TEXTILE WEEK 2023 開催概要
■名 称: FUJI TEXTILE WEEK 2023 (フジテキスタイルウィーク2023)

■テーマ: BACK TO THREAD / 糸への回帰

■会 期: 2023年11月23日(木・祝)- 12月17日(日)

■休 み: 期間中の月曜日(11月27日12月4日12月11日

■時 間: 10:00 -16:00(各会場への入場は15:30まで)

■会 場: 山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域

■アクセス:

・東京方面より

 <車でお越しの方>中央道富士吉田西桂スマートICより会場周辺まで約10分

 <公共交通機関でお越しの方>富士急行線吉田駅降車 徒歩5分もしくは月江寺駅降車

 徒歩5分バスタ新宿から高速バスにて約1時間半→富士山駅にて降車 徒歩15分

名古屋方面より

 <車でお越しの方>東富士五湖道路富士吉田忍野スマートICより会場周辺まで約10分

 <公共交通機関でお越しの方>名鉄バスセンターから高速バスにて約4時間半→富士山駅にて

 降車徒歩15分

■料 金:一般 1,200円(税込)

 *「アート展」「デザイン展」「FUJI SKY ROOF」に入場いただけます

 *一部、無料で参加・観覧いただけるイベントや会場がございます

 *高校生以下及び18歳未満、65歳以上、心身に障害のある方及び付添者1名は無料

 (総合案内所にて学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください)

■購入方法(オンライン):

 Peatix https://fujitextileweek2023.peatix.com/  

 Artsticker https://artsticker.page.link/FTW2023

■現地購入先(会期中のみ):

 FUJI TEXTILE WEEK総合案内所(山梨県富士吉田市下吉田2丁目16−19)

 FUJI TEXTILE WEEK下吉田駅案内所(〒403-0011 山梨県富士吉田市新町2丁目8-12)

■公式WEB/SNS:

 ホームページ:https://fujitextileweek.com

 Instagram:@fujitextileweek

 Facebook:https://www.facebook.com/fujitextileweek

 X:@FUJITEXTILEWEEK

 公式ハッシュタグ: #fujitextileweek #フジテキスタイルウィーク #布の芸術祭

■主 催 :山梨県富士吉田市

■企画運営:FUJI TEXTILE WEEK 実行委員会

■助 成 :オランダ王国大使館 / 山梨県
■協 賛 :エヌ・アンド・エー株式会社 / FSX株式会社 / FSX富士株式会社/ FabCafe LLP / 株式会社ロフトワーク

■協 力 :株式会社宗邦 / チェコセンター 東京 / ハイランドリゾート株式会社 / 富士山麓電気鉄道株式会社 / 富士吉田織物協同組合 / 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス / 富士吉田市商業連合会 / 富士吉田商工会議所 / 株式会社ふじよしだまちづくり公社 / 山叶株式会社

*協賛、協力いずれも五十音

配信元企業:富士吉田市

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