すっかり秋の気候となり、全国で本格的な紅葉シーズンが迫ってきた10月下旬。北日本や標高の高い地域などの名所で続々と見頃を迎えているが、これから今年の紅葉狩りの行き先を検討中という人も多いはず。今回は、今まさに色付き見頃を迎えつつある東日本・西日本の人気スポットをピックアップ。既に見頃となっているスポットや、早ければ今週末にも見頃になりそうな名所をチェックしよう。

【画像】見頃時期を迎える全国の紅葉スポット

※各スポットの見頃は2023年10月25日時点の情報です。最新の情報は公式サイト等をご確認ください。

※そのほかの内容は取材時点の情報です。また、写真は2022年以前のものです。

■【東北】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【東北・福島県磐梯吾妻スカイライン / 作家・井上靖氏が名付けた絶好のビューポイント

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

高湯温泉から土湯峠を結ぶ全長約29キロ、最高標高1622メートルの磐梯吾妻スカイラインは、吾妻連峰を縫うように走る山岳観光道路。日本の道100選にも選ばれており、紅葉の見所としてドライブやツーリングで毎年多くの観光客が訪れる。なかでも、作家の井上靖氏が命名した景勝地「吾妻八景」からの展望が見どころ。天狗の庭からは吾妻小富士の斜面に広がる紅葉のグラデーションが見られ、絶好のビューポイントとなっている。周辺には高湯温泉土湯温泉があり、日帰り入浴ができるので、湯めぐりも楽しめる。

■【東北・福島県安達太良山 / 色とりどりの紅葉が山の斜面を埋めつくす

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

福島県二本松市、安達郡大玉村、郡山市、耶麻郡猪苗代町の境に位置する標高1700メートルの山で、安達太良連峰の主峰。日本百名山の1つに数えられる。なかでも薬師岳(標高1350メートル)から見る紅葉が特に美しく、例年10月上旬から見頃を迎える。ミズナラやブナなど多種多様な木々が紅葉し、燃え上がるような鮮やかな色に染まる山肌が見事。比較的ゆるやかな登山道が整備されており、気軽に散策を楽しむのもおすすめ。

■【東北・秋田県】小安峡 / 渓谷から湯けむりを上げる大噴湯は圧巻

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

皆瀬川が深いV字峡の底を流れ、滝や急流を形作る小安峡。大噴湯や大小の滝があり、黄や紅に紅葉した渓谷と、轟音とともに白い湯けむりを上げる大噴湯とのコントラストが美しい。遊歩道も整備され、紅葉を見ながらハイキングが楽しめる。

■【東北・青森県】城ヶ倉渓流 / 360度の巨大パノラマで見る迫力満点の紅葉

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

豊かな自然が手つかずのまま残されている十和田八幡平国立公園内有数の景勝地。渓流に架かる全長360メートルの上路式橋・城ヶ倉大橋からは、八甲田連峰や岩木山はもちろん、青森市街地まで見渡せる。車を降りて、紅葉が広がる城ヶ倉渓流の景色を楽しむことができる。現在、渓流は立ち入り禁止。

■【関東】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【関東・群馬県谷川岳 / 切り立った岩肌に紅葉のコントラストが映える

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

日本百名山の1つ、標高1977メートルの谷川岳。頂上だけでなく稜線からの眺望も素晴らしく、10月上旬、天神尾根周辺のナナカマドが赤く染まると間もなく紅葉が始まる。谷川岳の東麓の一ノ倉沢の大岩壁は絶景で、みなかみ町を代表する名勝となっている。そのほかにも、山頂に続くロープウェイからは美しい山々の紅葉と空を一望することができる。

■【関東・群馬県赤城山 / 峰々の紅葉がカルデラ湖に美しく映える

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

群馬県榛名山、妙義山と並んで上毛三山の1つに数えられ、日本百名山の1つでもある赤城山カルデラ湖の大沼の周りを峰々が囲んでいて、豊かな自然と触れ合える。秋にはナナカマド、ミズナラ、カエデが赤や黄色に染まり、湖面に映えるコントラストも美しい。湿原の覚満淵(かくまんぶち)では草原の紅葉(草もみじ)も楽しめる。ほかにも、大沼に浮かぶ小島には赤城神社が建ち、島内の紅葉と合わさり幻想的な空間を演出する。

■【関東・栃木県マウントジーンズ那須 / 深紅に染まる那須高原の紅葉

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

マウントジーンズ那須では、2023年9月15日11月12日(日)毎年恒例の紅葉ゴンドラを運行する。紅・黄・橙、秋に染まる那須の山を、眼下に見下ろす紅葉は絶景。例年ゴンドラ山麓付近の紅葉最盛期は10月中旬から11月上旬、山頂付近は10月初旬から中旬となっている。那須ゴンドラで一面の紅葉を堪能し、散策コースやトレッキングコースで澄んだ空気と深い紅葉を肌で感じながら、1日を過ごすことができる。

■【関東・栃木県】八方ヶ原 / 高原を彩る赤や黄の木々が美しい

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

八方ヶ原は日光国立公園の一部で、標高1000~1200メートルの高さに位置する高原地帯。秋になると赤や黄色に染まり、風光明媚な景色を楽しめる。例年の見頃は10月中旬から11月上旬。周辺はハイキングコースや、キャンプ場、アクセス道路、駐車場、売店などの施設もそろっている。日光や那須連山、遠く関東平野まで見渡すことができる展望台にもぜひ足を運びたい。

■【関東・埼玉県】秩父ミューズパーク / スカイロードのイチョウ並木

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

埼玉県秩父市にある公園、秩父ミューズパークのスカイロード(約3キロ)の両サイドに、約500本のイチョウ並木があり、例年10月下旬から11月上旬にかけて黄葉の見頃を迎える。また、園内のせせらぎ広場では、カエデが見事な紅色に染まる姿を見せてくれる。黄葉のトンネルの中をのんびりと散策したり、スカイトレインに乗車して眺めてみたり、秋の風情を楽しむことができる。

■【甲信越】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【甲信越新潟県】苗場ドラゴンドラ / 気軽にゆったり、およそ25分の空中散歩

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

美しい渓流の上などをアップダウンを繰り返しながら進む苗場ドラゴンドラは、片道約5.5キロという日本最長の長さを誇り、およそ25分の長い時間にわたって紅葉を楽しむことができる。また、道中には、エメラルドグリーンに輝く神秘的な湖の「二居湖」や、14号柱と呼ばれる、まるで紅葉の世界に飛び込んでいくかのようなスリルを体感できるスポットもあり、迫力満点の空中散歩を満喫できる。

■【甲信越新潟県】奥只見湖 / トンネルの先は湖を包み込むほどの紅葉が広がる

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

長いトンネル(奥只見シルバーライン)を抜けると、紅葉に染まった木々が一面に広がり、湖畔にそびえる切り立った2000メートル級の山々が湖を囲んでいる。ブナのほかにも、カエデやナナカマドなどが色づき、紅葉と湖の絶景を見物に来る人は後を絶たない。例年、10月中旬から11月上旬にかけて紅葉が見頃を迎える。

■【甲信越長野県】富士見台高原 / 空中散歩で味わう絶景

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

10月中旬から始まる富士見台高原(標高1739メートル)の紅葉は、色づく景観が山のふもと、中腹、山頂と3段階で楽しめ、リフトでは紅葉を眺めながらの空中散歩が味わえる。歩くのに自信がない人でも、高原バスを利用すれば車窓から紅葉を楽しめ、この季節だけに見られる雲海と南アルプスからのご来光もいっぺんに味わえる。全長2500メートル、標高差600メートルのロープウェイからは、高地になるにつれ深まりゆく秋の様子が見られる。

■【甲信越長野県】高瀬渓谷 / 静かな佇まいの県内有数の景勝地

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

高瀬渓谷は、高瀬川に沿って連なる大町ダム・七倉ダム・高瀬ダムの3つのダムと、葛温泉を含む周辺一帯を指す。雄大な自然の中に突如現れる巨大なダムの風景は、まさに圧巻。おすすめのポイントは、高瀬ダム堰堤から見下ろした紅葉と、高瀬トンネル手前の北葛沢や尾入沢大橋から見る渓谷の紅葉だ。また、七倉ダムや大町ダムを彩る紅葉の変化も見応えがある。

■【北陸】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【北陸・富山県】有峰森林文化村(有峰森林文化公園) / 雄大な薬師岳と有峰ダムを眼前に鮮やかな紅葉を望む

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

ダム湖である有峰湖を中心とした一帯は、富山県の有峰県立自然公園に指定されており、湖畔の有峰林道をドライブしながら湖と周辺の豊かな自然が満喫できる。有峰ダム近くには有峰の歴史・自然を案内する有峰ビジターセンターがあり、公園内ではテニスバーベキュー、遊歩道の散策も楽しめる。

■【北陸・石川県白山白川郷ホワイトロード / ふくべの大滝の岩肌と紅葉が生む絶景

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

白山白川郷ホワイトロード石川県岐阜県を結ぶ全長33.3キロの有料道路(普通車1700円、軽自動車1400円)。標高900メートル付近にあるふくべの大滝では、例年10月中旬から11月上旬にかけてナナカマド、ヤマウルシカエデが紅葉する。落差86メートルの大滝と岩肌に映える景色が美しく、白山白川郷ホワイトロードの紅葉の名所の1つに挙げられる。

■【北陸・福井県】越前陶芸公園 / 越前焼発祥の地にある公園

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

陶土、陶石の地下資源が豊富なことから古くから窯業が盛んで、日本六古窯の1つに数えられる越前焼。その発祥の地にある越前陶芸公園は、築山緑庭の丘陵に囲まれた自然豊かな公園。12万平方メートルにもおよぶ広大な陶芸公園には、秋になると色づく落葉樹も多く、公園内に点在する岡本太郎のモニュメント「月の顔」、イサム・ノグチの作品「レインマウンテン」等の陶彫作品と、この季節ならではの共演を見せてくれる。例年10月下旬から色づき始め、見頃は11月上旬となる。

■【東海】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【東海・愛知県】茶臼山高原 / 県下で最も早く色づく愛知県の最高峰

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

愛知県の最高峰、標高1415メートルの茶臼山は県下で最も早くカエデやブナなどが美しく色づく。県内で最も早く例年10月上旬から徐々に葉が色付きはじめ、下旬にはピークをむかえる。時間に余裕があるのなら、観光リフトに昇り、麓の紅葉を見下ろすのもおすすめで、11月上旬まで楽しめる。茶臼山高原道路から眺める紅葉も格別だ。

■【東海・三重県】御在所岳(山上) / 山上散策で楽しむツツジの紅葉

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

御在所岳(標高1212メートル)の紅葉は10月中旬に山上から始まり、約1カ月かけてふもとの湯の山温泉街まで、ゆっくりと紅葉前線が降りていく。山上にはツツジ科の植物が多く自生しており、赤や橙に色づく。山上公園では紅葉した木々を眺めながらの自然散策が楽しめる。

■【東海・岐阜県】新穂高温泉 / 絶景北アルプスと鮮やかな紅葉

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

山々に囲まれる飛騨・高山エリアの新穂高温泉の紅葉は、毎年10月上旬から下旬にかけて見頃となり、辺り一面が鮮やかに色づく。新穂高ロープウェイから見下ろす景色は、赤や黄色の紅葉のグラデーションが美しく、まるで絵画のよう。10月中旬を過ぎた頃からは、秋晴れの日には真っ青な空に初雪を被った北アルプスと紅葉が織りなす絶景を望むことができる。周辺には源泉かけ流しの露天風呂があり、湯に浸かりながら紅葉を楽しめるため多くの人で賑わう。

■【東海・岐阜県】がんだて公園 / 紅葉狩と滝めぐりが楽しめる

色付き状況:今見頃(※2023年10月25日現在)

岐阜県飛騨小坂にある天然記念物「巌立(がんだて)」は、5万4000年前の御嶽山の大噴火により流れ出た溶岩でできた高さ72メートル、幅120メートルの柱状節理の大岩壁。御嶽パノラマラインから溶岩流を望むと上面が平らな緑の帯が延々と続いているのが見られ、巌立峡は「緑のグランドキャニオン」とも称されている。渓谷沿いに続く遊歩道からは、三つ滝(3段22メートル)を間近に見ることができる。秋の紅葉の時期も見応えがあり、「飛騨・美濃紅葉33選」に選ばれた紅葉の名所でもある。隆々とした岩壁と紅葉の眺めは圧巻だ。

■【中国】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【中国・岡山県】蒜山高原 / 紅葉ドライブにぴったりの観光道路も

色付き状況:色づき始め(※2023年10月25日現在)

岡山県にある標高約500~600メートルのなだらかな高原地帯で、西日本屈指のリゾート地でもある。例年、10月下旬頃から色付き始め、11月上旬頃に紅葉の見頃を迎える。蒜山と大山を結ぶ観光道路、蒜山大山スカイラインは紅葉を楽しみながらのドライブに最適なスポットの1つ。ブナの原生林やカエデなどの紅葉、ススキの群生をはじめ、鬼女台からは大山の眺めを楽しめる。

■【中国・鳥取県】芦津渓谷 / 鳥取砂丘の源流域の美しい紅葉

色付き状況:色づき始め(※2023年10月25日現在)

国定公園に指定されている芦津渓谷は、鳥取砂丘を育む千代川の源流域に位置しており、深い森と美しい渓谷が広がる智頭町の秘境。春の眩い新緑は、秋を迎えると赤・黄の紅葉に変わり、針葉樹の緑と見事なコントラストで渓谷を彩る。例年、10月下旬頃からカエデやトチ、ブナ、ミズナラなどが色付き始め、11月上旬頃にかけてが紅葉の見頃となる。

■【中国・島根県】匹見峡 / 宿泊にスポーツ、温泉と周辺施設が充実

色付き状況:色づき始め(※2023年10月25日現在)

島根県にある西中国山地国定公園匹見峡では、鮮やかな峡谷美と大自然との触れ合いを満喫できる。秋の紅葉の時期も見応えがあり、例年の紅葉の見頃は10月下旬から11月中旬。周辺施設も充実しており、匹見峡レストパークではキャンプやコテージで宿泊可能だ。野球、テニス、グランドゴルフなど各種スポーツを楽しめる匹見中央公園や、森について学べる匹見ウッドパークもある。さらには、ゆったりとくつろげる匹見峡温泉もある。

■【九州】まもなく見頃を迎えそうな名所

■【九州・長崎県】雲仙 / 色付いた山肌の美しさは圧巻

色付き状況:色づき始め(※2023年10月25日現在)

雲仙は紅葉する植物が120種類以上といわれ、この一帯は西日本の典型的な紅葉として、国の天然記念物(普賢岳広葉樹林)に指定されている。10月下旬には、緑濃いモミ、ヤマグルマ等の紅と自然が生み出す色の対比が「錦しゅう」と呼ぶにふさわしい鮮やかな景観を見せてくれる。また、コミネカエデ、ウリハダカエデ、コウチワカエデ、ウリカエデ、ドウダンツツジなどの葉が黄色や赤に美しく紅葉する。

新型コロナウイルス感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。

紅葉の見所として毎年多くの観光客が訪れる / 磐梯吾妻スカイライン/画像提供:福島市観光コンベンション協会