根尾は4球団競合の末に中日に入団した(c)ACPHOTO

 10月26日、今年も運命のドラフトの日を迎えた。またこの時期になると、過去のドラフト1位選手のその後も気になるもの。

 中日で近年、大きく注目を集めたドラ1選手といえば、2018年ドラフト1位入団の根尾昂の名が挙がる。大阪桐蔭高時代は投手、内野手外野手の三刀流をこなし、高い身体能力が脚光を浴びた。高校3年時は春夏甲子園連覇に貢献、秋に行われたドラフトでは4球団競合の末に中日に入団した経緯があった。

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 入団当初は打撃の才能開花が期待されるも、なかなか1軍の舞台では結果を残せず。2022シーズン途中から投手に転向したことも球界内外から大きく注目を集めた。

 実質、投手1年目となった今季について、また今後の「投手・根尾」の課題について中日OBから様々な考察の声が上がっている。

 中日OBらが中日の話題について語るYouTubeチャンネル「ピカイチ名古屋チャンネル」にかつて中日で407セーブの日本記録をマーク、球界屈指の守護神として知られた岩瀬仁紀氏と現役時代は守備の名手として知られた英智氏が出演。

 25日に更新された動画内で、根尾について語るシーンがあった。

 根尾は今季の初先発試合となった9月18日の広島戦(バンテリン)では6回まで3安打0封としながら7回にエラーがらみで失点、勝ち負けがつかないまま降板となっていた。さらにシーズン最終登板となった同30日の巨人戦(東京ドーム)も6回5安打1失点と試合を作ったが、打線の援護なく勝利投手には手が届かなかった。

 まず根尾のピッチングの良さを聞かれた岩瀬氏は「バッターが的を絞れないところ」「適度に荒れていた」ことが投球を有利にしたと見る。

 一方で今後に関しては「今の形では正直苦しい」と岩瀬氏は語る。

 具体的な理由としては「正直ちょっと(投球が)散らばりすぎているので」と制球力を求めた。

 今季2回の先発登板でも3四球、5四球と短いイニングながら四球を出すシーンも目立った。こういった点も踏まえ、「あれだけ四球を出してしまうと年間通してのローテーション、あのコントロールでは正直苦しいです」(岩瀬氏)とはっきり言い切るシーンもあった。

 岩瀬氏は一軍先発ローテーションで回ることを目指す上では「自分でストライク・ボールが投げ分けられるようにならないと」と、まずは基本の制球力を身に着けることが大事とした。

 中日は元々投手王国として知られ、今季も先発陣は柳裕也小笠原慎之介高橋宏斗涌井秀章など駒はそろっているだけにその層の厚さに食い込んでいくのは容易ではない。ほかにも先発ローテーションとして回れるだけの体の強さ、実戦でのペース配分など、打者との駆け引き含め、「投手・根尾」に必要な要素は多いと見られる。

 それでも今季バンテリンドームで根尾が登板した際には球場を訪れたファンから多くの声援が飛んだ。果たして来シーズン「投手・根尾」はどんな姿を見せてくれるのか。再び挑戦が始まる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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