部屋を暖かく快適にしてくれる石油ストーブ及び石油ファンヒーター(以下、石油ストーブ等)ですが、事故が毎年11月頃から多く発生していますので、独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]では、本格稼働目前となるこのタイミングに事故の未然防止を目的として注意喚起を行います。
 NITEに通知があった製品事故情報※1では、2018年度から2022年度※2の5年間の石油ストーブ等の事故は269件あり、調査が終了した事故233件のうち、原因別では誤使用・不注意による事故が115件と最も多くなっています。
また、70歳以上の高齢者による事故が131件と、年代が上がると事故件数も急増する傾向があり、死亡事故47件のうち当該年代が31件と多数を占めています。
 取扱説明書や本体表示に記載された使用上の注意を正しく守っていれば防げた事故は少なくありません。長年石油ストーブ等を使っている方も今まで大丈夫だったからと油断せず、使い始めのこの季節こそ、使用前の5つのチェックポイントを確認し、正しい使い方を身に付けて事故を防ぎましょう。

  • 石油ストーブ等を使用する前の5つのチェックポイント

ポイント1 ほこりがたまっていれば取り除く。

ポイント2 対震自動消火装置が正しく作動することを確認する。

      さらに、石油ストーブの場合は、燃焼筒が正しく取り付けられていることを確認する。

ポイント3 燃料は新しい灯油を使う。ガソリンや混合燃料、昨シーズンの灯油は使わない。

ポイント4 カートリッジタンクの給油口ふたが確実に閉まっていること、漏れがないことを確認する。

ポイント5 機器と周囲の壁や可燃物との十分な距離が確保できていることを確認する。

  • 高齢者による石油ストーブ等の事故を防ぐために

高齢の方の事故を防ぐには、周囲の方の見守りも大切です。今一度正しい使い方を確認しましょう。

(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。

(※2)2018年4月1日~2023年3月31日に発生した事故を対象とします。

1. 事故発生状況

 NITEに通知のあった製品事故情報のうち、2018年度から2022年度に発生した石油ストーブ等の事故269件について、発生状況を示します。

1-1. 年度ごとの事故発生件数

 図1に「年度ごとの事故発生件数」を示します。石油ストーブ等の事故は、過去5年間では、全体の事故発生件数が横ばいとなっている一方で、人的被害が発生した事故の増加が続いています。

                 図1:年度ごとの事故発生件数※3

(※3)物的被害(製品破損または拡大被害)があった場合でも人的被害のあったものは、人的被害に区分している。また、人的被害(死亡・重傷・軽傷)が複数同時に起きている場合は、最も重篤な分類で事故件数をカウントし、重複カウントはしていない。

(※4)製品本体のみの被害(製品破損)にとどまらず、周囲の製品や建物などにも被害を及ぼすこと。

1-2. 月別の事故発生件数

 図2にNITEに通知のあった2018年度から2022年度に発生した石油ストーブ等の事故269件の「月別の事故発生件数」を示します。11月頃から事故が多く発生しており、利用機会の増加に伴って事故も多く発生しています。

                   図2:月別の事故発生件数

1-3. 事故原因別の事故発生件数

 図3にNITEに通知のあった2018年度から2022年度に発生した石油ストーブ等の事故269件のうち、調査の終了した事故233件について、「事故原因別の事故発生件数」を示します。115件(49%)が誤使用や不注意により事故が発生しています。

                  図3:事故原因別の事故発生件数

1-4. 事象別の被害件数

 表1にNITEに通知のあった2018年度から2022年度に発生した石油ストーブ等の事故269件のうち、誤使用・不注意による事故115件における「事象別の被害件数」を示します。

 事故の多い「給油口からの灯油漏れ」「ガソリンの誤給油」「可燃物の接触」は事故が発生した場合、大きな火災に至るおそれがあるため、特に注意が必要です。

            表1:誤使用・不注意による事故における事象別の被害件数

1-5. 年代別の被害件数

 図4にNITEに通知のあった2018年度から2022年度に発生した石油ストーブ等の事故269件のうち、被害者の年代が判明した206件における「被害者年代別の事故発生件数」を示します。70歳以上の被害者の事故だけで計131件と過半数を超えており、死亡事故も計31件と、高齢者の事故が多くなっています。加齢に伴う判断力や身体機能の低下、長期使用での慣れによる油断などの要因が考えられます。

                  図4:被害者年代別の事故発生件数

2. 使い始めのチェックポイント

○ほこりがたまっていたら掃除する。

 石油ストーブにほこりなどが堆積すると、燃焼状態が悪くなったり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる吹き返し現象が生じてほこりに引火したりするおそれがあります。

 また石油ファンヒーターも空気取込口にほこりが閉塞することで異常燃焼が生じる事故が発生しています。

 使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をしてください。特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにほこりがたまらないようにしてください。

                     (掃除不足の例)

                    置台にたまったほこり

○対震自動消火装置の状態を確認する。

 対震自動消火装置が正しく動作することを確認してください。石油ストーブでは、芯の動きが悪くなると、対震自動消火装置が作動しても芯が下がりきらず、消火不良となるおそれがあります。

 確認方法は、機器本体を前後に揺らしたときに、石油ストーブの場合、芯を上げた状態から芯が下がりきること、石油ファンヒーターでは使用状態から停止することを確認します。確認方法の詳細は取扱説明書を確認してください。

○燃焼筒の取り付け状態を確認する。(石油ストーブの場合)

 燃焼筒をセットした時や、点火操作後には、燃焼筒のつまみを2~3回ほど動かして燃焼筒が正しくセットされているか確認してください。燃焼筒が正しくセットされていないと異常燃焼によって炎があふれて火災が発生するおそれや、一酸化炭素が多く排出されてしまうおそれがあります。

      燃焼筒のずれによる異常燃焼           つまみで燃焼筒を回してすわりを確認

○燃料は新しい灯油を入れる。ガソリンは別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底する。

 石油ストーブ等には新しい灯油を給油してください。灯油は劣化するため、昨シーズンの燃料を持ち越して使用することは異常燃焼や一酸化炭素の排出を促進させるおそれがあります。もし昨シーズンの灯油が残っていた場合は、タンクや機器本体から灯油を抜いてください。灯油の処分については、灯油を購入した販売店に相談してください。

 また、誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、たとえ少量の混入であっても火災に至るおそれがあり、大変危険です。灯油とガソリンを類似した容器で保管していたために誤ってガソリンが混入していた灯油の給油や、同じ場所で保管していたガソリンを取り違えて給油したこと等による事故が発生しています。灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器※6に、ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し、別の場所で保管する、ラベル表示で区別するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底してください。

         (写真)ガソリンの誤給油により爆発的に燃え上がる様子(イメージ)

       灯油ポリタンクのラベル表示例            ガソリン用携行缶

灯油とガソリンの見分け方として、以下の方法があります。

※確認後は、すぐに多量の水とせっけんで手を洗い流してください。

(※6)日本ポリエチレンブロー製品工業会(JBA)推奨ラベル、危険物保安技術協会(KHK)の試験確認済証、JISマーク(JIS Z 1710 灯油用ポリエチレンかん)などが表示されているもの

○給油後は、給油口ふたをしっかりと閉め、灯油がこぼれないことを確認してから本体にセットする。

 カートリッジタンクの給油口ふたの閉め方が不十分だったなどで、灯油がこぼれて引火した事例があります。給油後は、給油口ふたがしっかり閉まっていることを必ず確認してから本体にセットしてください。また、給油する際は、必ず先に消火してください。

 灯油が機器本体にこぼれた際は、機器内部に浸入しているおそれがありますので、使用を 中止し、販売事業者や製造事業者に相談してください。

○安全機能で給油口ふたが閉まっていることを確認する。

 PSCマークの付いた製品は、閉止音や目視又は感触などで給油口ふたが

閉まっていることが確認できる機能を有しています。

石油ストーブをはじめとする石油燃焼機器は、2009年に消費生活用

製品安全法の「特定製品」に指定され、2011年からはPSCマークの

無い製品は販売することができなくなりました。

            

                               マークは製品ラベルなどに表示されています

○周囲の物や天井、壁などと十分な距離を確保する。

 石油ストーブ等を使用するときは、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。石油ストーブ等に可燃物が近接していたり接触したりしていると、放射熱※7による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。

(※7)放射熱とは、高温の物体が発する赤外放射などによって離れたところに伝わる熱。

(距離表示の記載例)

取扱説明書に周囲の物や天井、壁などとの距離について

記載があります。※距離は製品によって異なります。

3. 高齢者による事故

  • 高齢者による石油ストーブ等の事故を防ぐために

○高齢の方も今一度、正しい使い方の確認を、御家族や周囲の方は見守りをお願いします。

 高齢者の事故が特に多く発生しています。カートリッジタンクの給油口ふたを十分に閉じられていなかったものやガソリンの誤給油などが多い背景には、例えば、加齢に伴う握力の低下で給油口ふたを閉める力が不十分になるなど身体機能の低下、ガソリンの臭いが分かりづらいなど嗅覚や視力、聴覚といった感覚機能の低下、判断力の低下などが関係していると思われます。今まで大丈夫だったからと油断せず、今一度、正しい使い方を確認してください。

 また、使用者による注意だけでは限界がある場合もあります。御家族や周囲の方も、誤った使い方をされていないかチェックポイントで確認して伝える等、注意を払っていただきますようお願いします。

  • 動画で石油ストーブ等のチェックポイントを確認

 一般社団法人日本ガス石油機器工業会(JGKA)と連携し、石油ストーブの使用開始時の流れに沿ってポイン

トをチェックできる注意喚起動画を作成しました。

>>NITE公式 YouTube

石油ストーブ「15. 火災を防ぐ5つのチェックポイント」

 協力:一般社団法人日本ガス石油機器工業会(JGKA)

 NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツールSAFE-Lite(セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報が表示されます。

 また、事故事例の【SAFE-Lite検索キーワード例】で例示されたキーワードで検索することで、類似した事故が表示されます。

             https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

  • 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

配信元企業:独立行政法人製品評価技術基盤機構

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