2022年に自転車へ対して交付された指導警告票の総数は約132万件でした。そのうち無灯火によるものは約33万件。年々減少傾向とはいえ、信号無視などの5倍近くを占めます。

「無灯火」イエローカード交付件数は約33万

彼岸を過ぎて日の入りが早くなり、同時に薄暮が迫るのも早くなってきました。この時期、車両は早めのライト点灯が呼びかけられますが、暗いのにライトを点灯していない人が多い乗りものといえば、自転車でしょう。

警察が2022年に自転車の取り締まりで「指導警告票」(いわゆるイエローカード)を交付した件数は、およそ132万件でした。そのうち「無灯火」の件数は、「2人乗り」や「信号無視」などの5倍近く、約33万件に及んでいます。

自転車における夜間のライト点灯については、道路交通法第52条で「車両等は、夜間(日没時から日出時まで、以下略)は、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と定められています。にもかかわらず無灯火のまま自転車を運転する人の意見に、しばしば「自分が見えているから平気だ」というものがあります。自転車のライトは前を照らすだけのもの……と思っているようです。しかしライトには、自身の存在を周囲に知らせる役割もあります。

無灯火の人が多い理由について、自転車の普及促進やマナー啓発活動などを行っている業界関係者は、以前こう話していました。

「乗っている人からすれば『夜道でも(自分は)見える』という意識があるのでしょう。ひと昔前であれば、発電機のローラーをタイヤの側面に押し合てて点灯させるタイプのライトは、ペダルを漕ぐのが重くなるからといった理由をよく聞きましたし、また学生さんからは、『ライトをつけるのがなんとなくカッコ悪い』という声もありました」

「漕がないでいいライト普及」だけではない?

自転車に限ったことではありませんが、夜間のライト点灯には、自分の視界を照らす以外に、自身の存在を周囲に気づいてもらう役割があるといいます。それを軽く見ている人が多いのかは分かりませんが、無灯火が「取り締まりの主たる要素となっているから」こそ、違反件数が突出しているのだろうということです。

ただ最近は、無灯火に対する指導警告票の交付件数は減ってきています。10年前、2013(平成25)年は約73万件でしたが、2016(平成28)年に50万件を割ると、2020年は約37万件に。近年は、自動で点灯するライトや、ハンドルなどに取り付けるLEDライトも増えており、以前のように「漕ぐのが重い」ことも少なくなっているのかもしれません。

前出の業界関係者は別の影響も指摘します。「自転車の事故や自転車保険が取りざたされることにより、乗る側の意識も向上してきていると感じます」とのこと。

自転車のライトを点灯させることで、自身が事故に巻き込まれるリスクを減らせます。警察庁によると、死亡事故は日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生しているといいます。理由として、単に周囲が見えないことに加え、お互いの距離や速度が分かりにくくなることも挙げています。

事故防止のため、明るい目立つ色の衣服を着用したり、靴やカバンなどに反射材をつけたりすることも推奨しています。

夜の街を走る自転車のイメージ(画像:写真AC)。