今年も『League of Legends(以下LoL)』の世界大会『Worlds』の季節がやってきた。2023年の開催国はじつに5年ぶりとなる韓国。今回は筆者が通訳を務める日本プロリーグLJL』のアシスタントMCを担当する清川麗奈さんとともに、日本代表「DetonatioN FocusMe(以下DFM)」の応援のために現地へと渡った。

【画像】はじめての『Worlds』観戦にワクワクが止まらない清川麗奈 旅のスナップ一覧(全20枚)

 日本代表が出場するのは、ソウル市内にある「LoL Park」で開催されるPlay-Inステージ。オフィス街の一角にあるビルの正面入り口からエレベータを上がりきった3階のエリアが、まるまる「LoL Park」の敷地となっている。

 清川さんにとっては初めての『Worlds』生観戦。今回は「LoLを好きになってからずっと、『WorldsでLJLチームの応援をしに行きたいという夢があった」と語る彼女の『Worlds』初観戦の模様をお伝えする。

■売り切れ必至! 今しか買えないWorlds限定グッズに注目

 筆者が「LoL Park」に到着すると、そこには待ち合わせ時間の10分も前に到着していたという清川さんがいた。しかも、今年の『Worlds』の公式グッズである真っ青なスウェットをすでに身にまとっている。ソウル市内にある百貨店の催事広場で大会開催に先駆けて行われていたポップアップストアに、足を運んで購入したとのことだ。

 清川さんとしては、「LoL Park」自体は昨年プライベートの旅行で来ており、今回が二度目の訪問だという。しかし、彼女が「前回はシーズンオフだったので比較的空いていたのですが、今回はお客さんが大勢いて雰囲気が全然違いますね」と語るとおり、『Worlds』開催期間の「LoL Park」は一年で一番盛り上がる時期だ。観客で賑わう「LoL Park」にワクワクが止まらない様子。

 試合会場の外には大型スクリーンが設置されており、大会中はチケットがなくてもこちらで観戦が楽しめる。清川さんも「こんなに手軽にパブリックビューイングができるのはすごくいいですね」と感心していた。

 我々が真っ先に向かったのが『LoL』や『VALORANT』のグッズを扱っている「RIOT STORE」。先に触れたとおり、すでにポップアップストアで色々とグッズを購入していた清川さんだが、ほしいものはまだまだある様子。この日は気になっていた『Worlds』限定の白いボアジャケットを試着。店員の方が「こちらは女性向けの商品なので、少し小さめに作られているんですよ」と説明してくれた。彼女の欲しいサイズの在庫は残念ながら売り切れていたが、現品で良ければ販売できると言う。商売上手な店員の方のすすめもあり……清川さん、1点お買い上げです!

 つづいて「LoL Park」内にあるもうひとつのお店「LCK shop」も見学。ここではその名のとおり韓国のプロリーグ「LCK」のオリジナルグッズのほか、『Worlds』参加チームのグッズも取り扱っている。「LCK」ほどのメジャーリーグともなると、ラインナップが非常に豊富だ。今回はとくに買い物はしなかったものの、「人気チームのユニフォームは売り切れっぽいですね」と少し残念そうな清川さんであった。

■国際大会の醍醐味のひとつはファンとの出会いや交流

 我々が会場を回っていると、日本からDFMの応援に来たファンの方に声をかけられた。すかさず「いつもLJL見てます! サインを書いてもらってもいいですか」とサイン色紙を取り出す男性。清川さんもにこやかに「いいですよー!」と慣れた手つきでサインを書く。異国の地ではあるが、思いがけず日本人同士でこうした交流ができるのも、国際大会の醍醐味である。

 日本のeスポーツ観戦でもおなじみとなった手書きの応援ボード。じつはこの文化の発祥の地は韓国だ。「LoL Park」内にある「Cafe Bilgewater」には白紙の応援ボードとペンが用意されており、大勢のファンが各自の応援するチームや選手へ向けた応援ボードをしたためていた。

 その中で、我々はDFMの応援ボードを描いているファンの方々を発見! すかさず清川さんが、「隣で描いてもいいですか?」と声をかける。普段は人見知りがちなのだが、大好きな『LoL』のこととなるとがぜん積極的になるのも彼女の良さだ。「応援ボードを描くのは本当に苦手なんですけど、頑張ってポロを描いてみます」と果敢にチャレンジ。出来上がった応援ボードを掲げて、その場にいたファン仲間みんなで記念撮影を楽しんだ。

 このとき、筆者は韓国語放送のスタッフから声をかけられた。試合のオープニングVTRとして各チームの応援メッセージを集めているのだが、DFMへの応援メッセージビデオを撮らせてくれないか、とのこと。まさにうってつけの人物ということで、快諾する清川さん。カメラを向けられても緊張ひとつせず、応援メッセージを可愛く撮影する様子は、まさに「プロの仕事」を垣間見た瞬間だった。

 さらに、韓国のeスポーツ専門メディアからもインタビューの申し出があった。「LJLチームには沢山の韓国人選手が所属していて、リーグを盛り上げてくれているので、韓国の皆さんにもLJLに興味を持ってもらえたら……」という彼女の想いもあり、こちらのインタビューも快諾。インタビューを担当した記者の方が日本語を話せる方だったのもあって、比較的リラックスして受け応えしていたようだ。このときの記事はeスポーツ専門メディア・FOMOSに掲載されているので、もし興味があればチェックしてみてほしい。

■いよいよ『Worlds』を現地観戦! 「良い結果につながるような応援を届けたい」(清川)

 さて、いよいよ試合会場へ。入場口には『LoL』に登場するチャンピオン(キャラクター)たちのオブジェがずらり。「前に来たときはこういうのはなかったです!」とうれしそうに語る清川さん。会場スタッフによるチケットもぎり、手荷物検査にくわえてハンディ金属探知機での保安検査を経て、ブラックライトのスタンプを手に押してもらってようやく入場できる。

 試合の開始時刻がくると、会場内には韓国語放送の音声が流れる。そしていよいよ、この日の試合を戦う台湾チーム・CFOと我らがDFMの選手たちが登場! 試合後に、「(ステージに上がる選手たちの姿を見て)少し緊張した表情をしていたような気がしたので、良い結果に少しでもつながるような応援を届けたいと思いました」と語った清川さん。「日本からもたくさんのDFMファンが駆けつけていて、声援を送っている姿になんだか感動してしまいました」と付け加えた。

 なお、今回は本稿の取材もかねていたため、メディア向けに用意された観客席での観戦となっていたのだが、運良くDFM側だったので大勢のDFMファンとともに応援することができた。試合開始直後の応援コール「DFMファイティン!」を叫びたいという清川さん。「LCK」では恒例となっている応援方式だが、慣れていない他国のファンでは事前に打ち合わせをしないと難しいのでは……と思っていたのだが、スタッフの方が誘導する形で皆が声をそろえて応援することができた。こういった細やかなファンへの気遣い、手慣れた運営からも、韓国がeスポーツ先進国であるゆえんが垣間見える。

 肝心の試合は、序盤こそ健闘していたものの、次第に相手が強さを見せつけるゲーム展開となり、DFMは残念ながらゲームカウント0対2で敗北してしまった。それでも清川さんは「DFMが日本代表として試合に出て戦う姿はすごくかっこよかったし、応援しに行って良かったと心から思いました」と笑顔で語ってくれた。

『Worlds』観戦を終えてもまだまだLoLを楽しみたい! 韓国といえば設備充実の「PCバン」

 試合終了後、清川さんは「LoL Park」内にある「PCバン」へ。「PCバン」とは韓国式ネットカフェのことで、隣の人と話しながらオンラインゲームを楽しむのに適した施設である。彼女はそこで『LoL』配信をする予定だとか。

 筆者はプレスルームに残り、キリの良いところまで原稿執筆をしていたのだが、その後に「PCバン」を覗きに行ったところ……そこにはバリバリLoL配信』をする清川さんの姿が。

 清川さんは「ここのPCバンはお店自体がすごくキレイなのがいいですね。モニターも見やすいです」とご満悦の様子で、たしかに居心地も良さそうだ。「ディズニーランド」のことを「夢の国」と形容することがあるが、ここ「LoL Park」は間違いなくLoLユーザーにとっての「夢の国」なのだ。

 日本代表の応援はもちろん、ショッピングからゲームプレイ、配信まで、思う存分『LoL』の世界を満喫した清川さん。彼女の『Worlds』初観戦記は以上となるが「結果は残念だったけど、今後またLJLチームが躍進していく姿を必ず見たいし、ずっと応援していきたい気持ちが強まりました」と、自らがMCを務める「LJL」への並々ならぬ愛情も見せた。持ち前のバイタリティでもって、世界大会で日本代表を応援するという夢を叶えた清川さんの、今後の活躍にも引き続き注目していきたい。

(取材・文=スイニャン、取材協力=清川麗奈)

LJLアシスタントMC・清川麗奈(撮影=スイニャン)