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 ここ10年、積極的に自動化を進めてきた通販大手Amazonだが、自社の倉庫でついに二足歩行の人型ロボットの試験運用を開始したそうだ。

 英語で”数字”や"手足の指"を意味する「Digit(ディジット)」は、光るライトの目を持つ緑色のロボットで、人間のスタッフと協力しながら働くことを念頭に、人間の大人とまったく同じサイズに設計されている。

 二足歩行で倉庫内を動き回り、器用に物をつかんだり、運んだりすることができるのだ。我々が思い描いていた未来がもうそこまで来ているのだね。

【画像】 Amazonが初の人型ロボットを試験運用

 Amazonの新たな試みとして、シアトル南部の研究開発施設で試験運用されているのが、二足歩行人型ロボット「Digit(ディジット)」だ。

 Amazonのパートナー企業「Agility Robotics」が開発したディジットは、人間のように移動したり、物を扱ったりすることができる。

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 そのサイズは身長175cm、体重65kgと人間と変わらない。じつはこれには大きな意味がある。というのも、ディジットは人間のスタッフと同じ場所で働くことを前提としているからだ。

 ディジットの仕事は、空になった在庫コンテナを持ち運び、次の利用に備えることだ。

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 これは単純な反復作業になるが、これまでは人間のスタッフが行なってきた。そこで当面ディジットは、人間に混ざってこの作業を行うことになる。

 もちろんAmazonはこれだけで終わらせるつもりはなく、ディジットをきっかけに、こうしたタイプのロボットの導入をさらに進めようと考えている。

Stressed like the rest of us: Robot collapses under pressure at exhibition

ロボットによる自動化を進めるAmazon

 Amazonが、本格的なロボット化に踏み出したのは、運搬ロボット企業「Kiva Systems」を買収した2012年のことだ。そして現在、同社の人間スタッフたちは、75万台以上の様々なロボットと協力して、仕事を進めている。

 最近、テキサス州ヒューストンにある物流センター(フルフィルメントセンター)に導入された、新しいロボットシステム「Sequoia(セコイア)」もその1つだ。

 Amazonによると、その狙いは「より正確な配達予定日の予測」「より迅速な配達」「人間のスタッフの安全性向上」であるという。

 たとえばセコイアの導入により、物流センターで受け取った商品を、それまでよりも75%早く検知・保管できるようになる。

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 さらに受注後の処理が最大25%効率化されるため、注文品がいつ配送されるのか正確に予測できるようになるほか、1日以内に配送できる商品の数も増えることになるという。

Inside look at Amazon's new Sequoia robotic fulfillment technology

 倉庫に保管されている商品の取り出しを支援する「セコイア」は、モバイルロボット、ガントリー(構台)システム、ロボットアーム、スタッフ用ワークステーションで構成されている。

 このシステムでは、まず「ルンバ」にも似たモバイルロボットが、在庫が収納されているコンテナをガントリー(重機などを支える背の高いフレームのこと)に運ぶ。

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 するとガントリーがそれを人間が働くワークステーションに運び、ここで人間スタッフが顧客からの注文品をコンテナから取り出す。

 この新設のワークステーションは、人間工学に基づいており、スタッフが安全かつ効率的に作業ができるように設計されている。

 例えば、スタッフはすべての荷物を太ももから胸までの高さで扱うことができる。この高さは人間が一番作業をしやすい高さで、頭の上に手を伸ばしたり、しゃがんだりする必要もないので、事故や怪我の危険性がずっと少なくなる。

 こうして注文品が取り出されたコンテナ内の在庫だが、保管効率を高めるため、できるだけまとめて倉庫に保管しておきたいところだ。

 このまとめ作業を担うのが最新ロボットアーム「スパロー」だ。これは人間にはつらい反復作業になるが、スパローはロボットなので苦にすることもなく、在庫をきちんと整理して、コンテナを倉庫に戻す。

See how Amazon is using new robots to deliver orders even faster

ロボットが人間から仕事を奪う?

 こうしたAmazonによる自動化の取り組みに対して、人間の失業者が増えるのではないかとの懸念の声も聞かれるようだ。

 例えば、自動化によって2030年までにアメリカ国内で7300万人の雇用が失われる可能性があると、InterstingEngieeringは伝えている。

 一方Amazonは、自動化と同時に新しい仕事をいくつも作り出してきたと反論する。

 同社は自動化を進めた過去10年で、全700種類、数十万もの仕事が作られており、そこで働くスタッフたちは新しい技術を身に付け、それぞれのキャリアを形成してきたという。

 Amazon Roboticsの主任技術者タイ・ブレイディ氏は、ロボットは単純で退屈な反復作業をなくすだろうが、新しい雇用を生み出すことになると述べている。

 「私たちは常に人を必要としています。100%完全に自動されたシステムなど見たことありません。あなたもそうではないでしょうか」

References:Amazon announces new fulfillment center robots, Sequoia and Digit / Amazon employs Digit, its first humanoid robot at its warehouses / written by hiroching / edited by / parumo

 
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Amazonの倉庫でついに人型ロボットが働き始めた。2足歩行で作業を行う