オンライン動画配信サービスHulu」にて、全話一挙独占配信中のHuluプレミア「庭のある家」。第8話(最終話)では、サンウン(イム・ジヨン)を裏切ったジュラン(キム・テヒ)が思わぬ行動に出る。本記事では、第8話の内容を考察と共に振り返る。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】ご飯を前にうつろな表情を見せるイム・ジヨン“サンウン”

■「庭のある家」とは

本作は、実力派女優の共演と衝撃的な展開が話題を呼んだサスペンススリラー。韓国の同名ベストセラー小説が原作で、放送前には世界190カ国での展開が決まった韓国ドラマだ。物語では、マイホームの庭から漂ってきた“悪臭”をきっかけに正反対同士の2人が出会い、家庭に隠された真実が明かされていく――。

キャストには“韓国で最も美しい女優”と評されるキム・テヒが出演しており、完璧な家で絵に描いたような優雅な暮らしを送るジュラン役を演じる。一方、貧しさと家庭内暴力生きがいをなくしたサンウン役には、「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」で“最恐の悪女”を演じたイム・ジヨンが抜擢。実力派女優の2人がお互いに相乗効果を高め合っていく“かけ合い”に注目だ。

その他、病院の院長でジュランの夫でもあるジェホ役をキム・ソンオが、ジュランの息子・スンジェ役をチャ・ソンジェが、製薬会社の営業社員で家庭内暴力を振るうサンウンの夫・ユンボム役をチェ・ジェリムが担当する。

■「君である必要はあるかな」ジェホの本性

ジュランから“ジェホ殺害”の依頼を5億ウォンで引き受けたサンウン。計画通りにジュランの家を訪れるのだが、それは罠であった。いきなり背後からジェホに襲われ、サンウンは気を失ってしまう。

意識のないサンウンを前に少し戸惑いを見せるジュランだったが、「そんな女に罪悪感を持つことはない」と告げるジェホ。するとジュランは、息子のスンジェが偶然見てしまった“スミン殺害の真実”を話し始める。2人が真実について話し合っていると、気を失っているはずのサンウンの方から物音が。すぐにジェホが確認しに駆け寄ると、目を覚ましていたサンウンは、隙をついてジェホに襲いかかるのだった。

しかし、結局ジェホに力で敵わず、サンウンは激しく壁に打ち付けられ、その後もジェホは物凄い形相でサンウンを蹴り飛ばす。見かねて止めに入るジュランに、ジェホは「1人じゃ何もできないくせに」と暴言を吐き、今度はジュランに掴みかかる。そんなジェホから逃げようと階段を上がるジュランだったが、壁際に追い詰められてしまう。

そしてジェホは、ジュランをまっすぐ見つめながら「僕の妻が、スンジェの母親が、君である必要はあるかな」と言い放ち、首を絞め始める。ジュランは苦しさのあまり顔を歪めて必死に抵抗。その時、1階で瀕死状態のサンウンが力を振り絞って窓ガラスを破壊。大きな物音が聞こえたジェホはジュランの首から手を離して、下の階の様子を確認しようとする。

そんなジェホに「結局、全てあなたのせいよ」とジュランは言い、ジェホを階段から突き落とすのであった――。

■「ようやく自分が見え始めたの」ジュランとサンウンの再出発

ジェホを階段から突き落とし、殺害してしまったジュラン。その後、警察で今までの出来事について自白を始める。しかしジュランが自白した内容は、“ジェホがスミンを殺害し、ユンボムまでも殺害したこと、そして口止めするためにサンウンを夫婦で殺そうとしたこと”だった。

自身に不利な証言をするジュランであったが「私が夫を殺したのは事実なので」と、全て受け止め刑を受けることになる。そんなジュランは面会に来たサンウンに対して「ようやく自分が見え始めたの」と告げ、今までの不安から抜け出して自分らしく生きていこうと決意する。

その後、ジュランの証言によってサンウンは“ユンボムの保険金”を受け取れるようになり、無事に出産もする。その数年後、子どもの送り迎えをするサンウンの顔には、笑顔が戻っていた。

■ジュランの自白内容はサンウンを救うためのものか

最終回を迎えた同話の見どころは、なんといってもサンウンに暴行するキム・ソンオ“ジェホ”の怪演ぶりだろう。妊婦であるサンウンに対し、相手を人とも思わないような表情で突き飛ばし、蹴り続ける姿は、見ていて恐怖を覚えるほどであった。表情1つとっても、申し訳なさなど一切感じられず、無表情で暴行する姿は、まさに狂気そのものであった。

また、ジュランの自白内容は本作において非常に重要なシーンであるように感じた。というのも、自分自身が不利になるような自白は本来どんな人でもしないはず。にもかかわらず、ジュランがその選択をとったのは、自分への戒めでもあると同時に、“サンウンに幸せになってもらいたい”というジュランの思いがあったからなのかもしれない。

実際にサンウンはジュランのおかげで、“夫殺しの罪”から逃れることができただけでなく、“夫の保険金”まで受け取ることができている。住んでいる環境も境遇も全く異なる2人だが、本質的な部分で理解し合っている点もあったため、ある意味“友達や恋人以上”に深い絆で結ばれているのではないだろうか。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

「庭のある家」第8話より/(C)2023 KT StudioGenie.,Co.Ltd