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はじめに

PSAとFCAが合併してステランティスとなった際、同じ傘下であまりにも多いブランドが生き残るのは難しいと思われた。しかし、10年かけて各ブランドはそれぞれの価値を証明し、今のところ廃止の判断は下されていない。

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すでに大きな動きを見せているブランドもあるが、ランチアはいくつかのコンセプトカーを提示したものの、市販車はまだ出てきていない。DSについては、着飾ったシトロエン以上になったと納得できるものではない。

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テスト車:マセラティ・グレカーレ・トロフェオ    JACK HARRISON

驚くほど早いうちから動きを見せたのはマセラティだ。新開発ながら喜ばしいくらいオールドスクールなスーパーカーのMC20も、4座クーペのグラントゥーリズモも、近いうちに電動バージョンが量産化される。それでも、ビジネス面でもっと重要なモデルは、今回取り上げるグレカーレだ。

おそらく、兄弟車ほど目新しいものではない。ベースになるジョルジオ・プラットフォームは、アルファ・ロメオジュリアやステルヴィオで定評のあるメカニズムだ。そして、将来的には存続の可能性が薄いと思われているコンポーネンツでもある。

同時に、身内での厳しい争いも勃発した。グレカーレは最低でも6万3970ポンド(約1164万円)、V6のトロフェオは10万2480ポンド(約1865万円)もする。これで、ステルヴィオの外装を変えただけのクルマだったら納得できないところだ。検証していこう。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

グレカーレのプラットフォームは、ステルヴィオよりホイールベースが83mm延長され、全長は172mm長くなっている。ポルシェ・間感やBMW X3、ジャガーFペイスといったライバルよりも大柄だ。

また、さまざまな電動化対応策も講じられている。4気筒仕様はマイルドタイプながらもハイブリッドで、荷室の床下にはバッテリーが設置できるようになった。近いうちに追加されるフォルゴーレは、イタリア語で雷を意味する名を持つEV仕様だ。キャビンの床下には150kWhのフラットバッテリーを積むが、セルはT字型に配置され、ドライビングポジションの低さが維持される。

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ネットゥーノと銘打ったトロフェオの3000ccV6ツインターボは、MC20用のデチューン版で、アルファのV6とも関連のあるユニット。かなり後ろ寄りに搭載されるが、エンジンルームの残りのスペースはターボやインタークーラー、パイピングで埋め尽くされている。    JACK HARRISON

トロフェオのV6ツインターボも、ステルヴィオとの大きな相違点だ。アルファの2.9Lユニットとは異なり、MC20で導入された3.0Lのネットゥーノユニットを積む。気筒休止機構も備えるグレカーレ用のそれは、ドライサンプのMC20用に対しウェットサンプに変更された。最高出力は630psから530psにデチューンされているが、それでも十分パワフルだ。発生回転数は、7500rpmから6500rpmに引き下げられている。

エンジン搭載車はすべて、おなじみのZF製8速ATを積み、後輪偏重の4WDとなっている。トロフェオ専用アイテムとして、リアには電子制御LSDを採用。4気筒仕様は、機械式LSDかオープンデフを使用する。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

インテリアには、ひとつ重大な疑問がある。これほどラグジュアリーなSUVオーナーが、頻繁に手を触れる部分がフィアット500のように安価なクルマと部品共用しているのを気にしないのだろうか。ドアオープナーのボタンもそう。ペダルやコラムレバーアルファ・ロメオと同じものだ。マルチメディア用画面は、これもフィアット500と同じ。シフトポジションボタンフィアットのものそのままではないが、似たところを感じさせ、満足感はやや低いかもしれない。

どのパーツも安っぽいわけではないし、ベントレーだってアウディのコラムレバーを使っていたりする。とはいえ、グレカーレのオーナーならフィアット500セカンドカーにしているかもしれないし、であれば共用部品をもっとうまくわからないようにできなかったのかと思うかもしれない。

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質感の高い素材や最新のデジタルデバイスを採用したグレカーレ。ただし、フィアット系のパーツを共用しているところも目につく。    JACK HARRISON

ありがたいのは、グレカーレにはそれ以上に魅力的な部分が多いことだ。インテリアのデザインは控えめで見栄えがよく、マテリアルは最高級。ソフトなレザーを数種類組み合わせ、きれいなステッチが入り、リアルな金属パーツも使用している。

興味深い独創的なタッチも見られる。ツヤのあるカーボンは、高級車には場違いに思えるかもしれないが、テスト車はざらついた手触りのマットカーボンを用いていて、ウッドに代わる素材としても魅力的だ。

マセラティは、ダッシュボード上部に設置されたクラシックアナログ時計も再解釈。クラシックな時計だけでなく、他の機能や情報も表示できる円形ディスプレイとなった。

これは2020年代マセラティで、最新テクノロジーを多数盛り込まれている。現代的なフルデジタルメーターもそのひとつで、鮮明で操作しやすく、まずまずのカスタム性もある。もっとも、とくに印象的というほどではない。

二次的な操作系もデジタル化が進み、メインのインフォテインメントディスプレイの下にサブ画面を設置。空調やエアサスペンションの車高調整、ライトや駐車センサーなどを操作できる。アウディ的なデバイスで機能性は上々だが、メーター同様にマセラティらしいものではない。

グレカーレのキャッチフレーズは日常的な特別。530psあろうとなかろうと、基本的には日常使いできるファミリーカーであり、その点ではみごとなクルマだ。シフトセレクターボタンの採用で、センターコンソールにはスペースが生まれ、小物入れやドリンクホルダーに不足はない。

ライバルより長いボディは、室内スペースにも有利だ。後席は身長180cmの乗員も快適に過ごせて、ヘッドルームもまずまずあり、レッグルームはライバル以上。フロントシート下への足入れ性もいい。

ラゲッジも必要十分。積載容量が最大となるのはV6トロフェオで、ハイブリッドに対して、48Vバッテリーがないぶん、35L大きい。

走り ★★★★★★★★★☆

マセラティの発表では、ネットゥーノV6は100%マセラティ製だとされているが、アルファ・ロメオのV6との関連性は明白だ。エンジンルームの眺めはかなり似たもので、プラスティックのカバーはまったく同じだ。

ネットゥーノの存在理由は、マセラティがよりハイパワーでドライサンプとしたMC20用ユニットを必要としたことにある。

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ローンチコントロールと足回りのセッティングは理想的なロケットスタートを許すものではないが、走り始めると優秀なトランスミッションがみごとな仕事をしてくれる。    JACK HARRISON

530psのグレカーレ用ユニットは、ステルヴィオより20psほどパワフルで、0−97km/hタイムは0.4秒短縮している。この3.6秒という記録は、4秒前後だったBMW X4MやジャガーFペイスSVRをしのぎメルセデスAMG GLC63Sにもコンマ1秒勝っている。最高速度はメルセデスのような250km/hリミッターがないので、アウトバーンの速度域までハードな加速が続く。

テスト当日は路面の濡れたところがわずかに残っていたが、それでも0−100km/hは公称タイムの3.8秒を達成。完全なドライコンディションならもう少し速かったはずだ。

それでも、スタートに関しては、われわれが経験した最高レベルには及ばない。ステルヴィオと違って、63.2kg-mのトルクが解き放たれる3000rpm程度をキープするローンチコントロールを備えるが、発進時にはソフトで減衰の足りないサスペンションにより、リアが浮く感じがあるのだ。さらに、荷重の足りないフロントがトラクションを得るのに苦戦し、同時にサスペンションが予期しないような跳ね方をするので、飛び出すというより飛び降りるような発進となってしまう。

その後は、ステルヴィオと同じクロス気味のギアを次々と使って加速する。路上で見せるトランスミッションのみごとな仕事ぶりは、グレカーレを魅力的なクルマにする。2速で英国内の制限速度をすべて破るような多くのポルシェと違って、2速でレブリミットに当て、97km/h手前で3速に入れることも可能だ。

このギアボックスは、麗しき金属製パドルを使う理由ももたらしてくれる。出来のいいDCTならもう少し早く歯切れのいい変速をするかもしれないが、BMW Mモデルのように、ZF製8速ATのシフトはかなりクイックで、毎日乗るクルマに重要なスムースさとドライバビリティもトップレベルにある。

同時に、ネットゥーノのキャラクターには、アルファV6と似たものも感じる。ターボへの依存度が高いので、怒涛の加速を得るまでには過給圧を十分上げるために多少回転を高めなくてはならない。そのため、ギアを固定した中間加速は、最初のうちがややスローだ。

ターボユニットなので、エキゾーストがそれほど静かではなく、吸気音よりも耳に入ってくる。ガラガラとかすれ気味だが、回転が上がるとなめらかになる。エキサイティングでよく回るエンジンだが、いい音とは言い難い。高性能V6にはよくあるタイプだ。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

独自のロゴやセッティングがいくつかあるのを除けば、マルチメディアシステムのUコネクトは、フィアットジープアルファ・ロメオと同じものだ。

ある意味、それはよくない話だ。というのも、BMWジャガーのシステムと異なり、ブランドアイデンティティが本当に反映されてはいない。フォントはまさにフィアットのそれだ。

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UコネクトはAndroidベースのシステムだが、ナビはトムトムよりGoogleマップを使ったほうがよかった。スマートフォンのミラーリングはワイヤレスだ。    JACK HARRISON

いっぽうで、これは完全に好ましいインターフェイスで、全体的にロジカル。作動はスムースだ。

ボルボルノーのシステム同様に、ベースとなっているのはAndroidオートモーティブだが、ルックスからそれとは悟らせない。スタンダードなナビゲーションシステムにGoogleマップを使わないUコネクトは、落ち度のあるシステムとなっている。代わりに使うトムトムのモジュールははるかに劣るものだ。

Apple CarPlayとAndroid Autoのワイヤレス接続は備わり、統合はかなりうまくいっている。

テスト車は2300ポンド(約42万円)のソナス・ファベール製21スピーカーHiFiシステムを搭載。調整はかなり効き、音もいいが、群を抜くほどではない。

燈火類

トロフェオにはマトリックスLEDヘッドライトが備わる。パワフルだが、アダプティブ機能が適切ではなく、ほかのクルマを眩惑させてしまいがちだった。

ステアリングとペダル

ステアリングコラムはオフセットしているが、気づかないほどわずかだ。ペダルはステルヴィオと同じく効果的なレイアウトで、間隔が十分に空いている。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

もしツインターボV6がハイパフォーマンスSUVへの期待に応えるものだとしたら、トロフェオにサスペンションはその反対だ。エントリーグレードのGTを除くすべてのグレカーレは、エアサスペンションとアダプティダンパーを備える。

もっとも、このクラスでは特別なことではなく、ポルシェ・マカンGTSメルセデスAMG GLC63も同様だ。しかし、マカン乗り心地が張り詰めているのに対して、グレカーレはもっとリラックスしたものとなっている。

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エアサスペンションは思いがけないほどソフトで、日常使いはしやすいのだが、走り志向のドライバーは路面を感じられないと不満を唱えるかもしれない。    JACK HARRISON

コンフォート寄りのモードでは、徹底してソフトで、最初のうちは乗り心地に高級感を感じる。しかし、本当に高級と言えるほどふんわりしたものではない。というのも、サスペンションには抑えと密度に欠けているからだ。ややダンピングが足りず、必要以上にボディが動いてしまう。ある程度のバンプや路面の穴を踏んでもフラットに走れる反面、入力が大きいとヘッドトスが出たり、衝撃が入ってきたりする。

この手の背が高いクルマで、乗り心地やハンドリングをうまく仕立てるのは難しい。それを考えれば、グレカーレはこのクラスとしてはかなり衝撃吸収の効いた乗り心地だ。とはいえ、やや困惑させられるところがある。

走行モードをハードなほうに切り替えれば、サスペンションは硬くなり、ボディコントロールもタイトになることを期待するだろう。ある程度はそうなのだが、まとまりのない感じは払拭できない。フェラーリのように、すべてのモードがプログレッシブアグレッシブさを増し、個別調整できるモードはないが、ダンパーだけはソフトにすることができる。

スポーツモードであっても、コーナーへ飛び込むとサスペンションは初期のボディの動きを多く生む。自信を持って飛ばせるようになるまでには、かなりの慣れが必要だ。理想的なことをいうなら、ベストなボディコントロールを得るにはコルサモードを選びたくなる。ところが、それではESCがオフになってしまう。そこは不要に思える。

そこまでしても、レスポンスには遅れがあり、コーナーの脱出でパワーをかけると、リアが沈もうとしてフロント内輪が跳ねてしまう。

シャシーのそのほかの部分が、このクルマを思いがけないほど直感的にしてくれるだけに残念だ。ステアリングは速くて軽く、イタリア車らしいもの。低速では軽すぎるというテスターもいたが、速度と荷重がますほどに手応えは重くなり、正確にグリップレベルを見極めさせてくれる。レシオはクイックだが、切れすぎたり神経質に感じさせられたりすることはない。

マカンやGLC63とは異なり、4WDシステムは冗談みたいにリア寄りで、電子制御デフがおもしろいくらいすばらしいシャシーにしてくれる。スタビリティ系システムがオンでも、トロフェオはコーナーへ飛び込み、痛快なまでに自分を中心に回るような感覚を味わえる。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

トロフェオは、単に並外れて乗り心地が柔らかいパフォーマンスSUVであるだけでなく、エグゾーストノートが大きいモードでなければ静粛性も高い。113km/h巡航での室内騒音は66dBAで、これまでテストしたあらゆるライバルより静かだ。295幅のリアタイヤを履くクルマとして、これはみごとなことだ。

しかもシートはガチガチのバケットではなく、通常のスポーツシート。調整機構はすべて電動で、ヒーターのほかにオプションでベンチレーションも用意されるので、長距離ドライブも苦ではない。はじめて乗ると、操作系に対して高く座らされることに気づく。これはステルヴィオにも言えることだが、すぐに慣れるところも同じだ。

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乗り心地も静粛性も、パフォーマンスSUVとしてはかなり優秀。不要なADASを手軽にオフできるのもありがたい。    JACK HARRISON

テスト車に装備されていたアダプティクルーズコントロールはオプションだが、機能面は上々。ただし、制限速度認識はあまり頼りにならない。奇妙なことに、車線維持アシストボタンひとつでオフにでき、再始動時もオフのままにできる。どのようにしてこれで規制をクリアしたのかわからないが、できればみんなこうしてもらいたいところだ。

購入と維持 ★★★★☆☆☆☆☆☆

グレカーレの価格は直4を積むGTの6万3970ポンド(約1164万円)からで、V6のトロフェオは10万2480ポンド(約1865万円)。テスト車は11万1280ポンド(約2025万円)相当だ。クルマの価格が急騰しているとはいえ、それでも高い。

同じようなオプションを装備したポルシェ・マカンGTSyaジャガーFペイスSVRは9万ポンド(約1638万円)を下回るし、BMW X3 Mコンペティションでも10万ポンド(約1820万円)にはならない。マセラティは3年保証がつくものの、価格差を埋めるまでには至らない。

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残価予想はなかなかのものだが、ポルシェの揺るぎなさにはとても及ばない。

イタリア車というと信頼性が危惧されるが、3年保証は多少の安心材料となるだろう。しかしながら、テスト車には品質面の問題点がいくつか見られた。トリムから奇妙な音がしたり、フロントのエアサスが駐車ポジションから上がらなかったりすることがあった。勝手に解決したが、あまりうれしい話ではない。

スペック

レイアウト

グレカーレはアルファロメオのステルヴィオやジュリアと同じジョルジオプラットフォームがベース。全車4WDで、8速トルコンATを用いる。

トロフェオは、電子制御LSDをリアに標準搭載するが、下位グレードは機械式となる。前後重量配分は、実測で53:47だった。

エンジン

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アルファロメオで多用されるジョルジオプラットフォームがベースで、トロフェオは電子制御LSDをリアに標準搭載。前後重量配分は、実測で53:47だ。

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型6気筒3000cc、ツインターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ88.0×82.0mm
圧縮比:11.0:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:530ps/6500rpm
最大トルク:63.2kg-m/3000〜5500rpm
エンジン許容回転数:7000rpm
馬力荷重比:262ps/t
トルク荷重比:31.2kg-m/t
エンジン比出力:176ps/L

ボディ/シャシー

全長:4859mm
ホイールベース:2901mm
オーバーハング(前):951mm
オーバーハング(後):1007mm

全幅(ミラー含む):2150mm
全幅(両ドア開き):3740mm

全高:1659mm
全高(テールゲート開き):2150mm

足元長さ(前席):最大1113mm
足元長さ(後席):755mm
座面~天井(前席):最大1010mm
座面~天井(後席):935mm

積載容量:570L

構造:スティール、モノコック
車両重量:2027kg(公称値)/2097kg(実測値)
抗力係数:0.33
ホイール前・後:21インチ
タイヤ前/後:255/40 R21 102Y/295/35 R21 107Y
ブリヂストン・ポテンザスポーツMGT
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.00/7.6 
2速:3.20/11.7 
3速:2.14/17.5 
4速:1.72/21.9 
5速:1.31/28.6
6速:1.00/37.7 
7速:0.82/45.9 
8速:0.64/58.9

副変速比:3.70:1   

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.4km/L
ツーリング:11.9km/L
動力性能計測時:2.7km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.8km/L
中速(郊外):8.8km/L
高速(高速道路):10.8km/L
超高速:9.5km/L
混合:8.9km/L

燃料タンク容量:64L
現実的な航続距離:472km
CO2排出量:254g/km

サスペンション

前:マルチリンク/エアスプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/エアスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:12.4m

ブレーキ

前:360mm通気冷却式ディスク、6ポットキャリパー
後:350mm通気冷却式ディスク、4ポットキャリパー
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、ステアリングホイール右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:-dBA
全開時(3速):80dBA
48km/h走行時:58dBA
80km/h走行時:62dBA
113km/h走行時:66dBA

安全装備

ABS/ESC/LKA/歩行者自転車検知式AEB
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:おおむね乾燥路面/気温17℃
0-30マイル/時(48km/h):1.4秒
0-40(64):2.1秒
0-50(80):2.8秒
0-60(97):3.6秒
0-70(113):4.6秒
0-80(129):5.9秒
0-90(145):7.2秒
0-100(161):8.8秒
0-110(177):10.6秒
0-120(193):12.6秒
0-130(209):15.3秒
0-140(225):18.4秒
0-150(241):22.2秒
0-402m発進加速:12.0秒(到達速度:188.8km/h)
0-1000m発進加速:22.0秒(到達速度:240.4km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ジャガーFペイスSVR(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h):1.7秒
0-40(64):2.4秒
0-50(80):3.1秒
0-60(97):4.1秒
0-70(113):5.2秒
0-80(129):6.3秒
0-90(145):7.6秒
0-100(161):9.3秒
0-110(177):10.9秒
0-120(193):13.2秒
0-130(209):15.9秒
0-140(225):19.4秒
0-150(241):24.6秒
0-402m発進加速:12.4秒(到達速度:187.2km/h)
0-1000m発進加速:22.4秒(到達速度:234.5km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.5秒(2速)/2.3秒(3速)

30-50(48-80):1.5秒(2速)/1.9秒(3速)/2.4秒(4速)/3.9秒(5速)

40-60(64-97):1.8秒(3速)/2.2秒(4速)/3.1秒(5速)/5.1秒(6速)

50-70(80-113):1.9秒(3速)/2.2秒(4速)/3.1秒(5速)/4.1秒(6速)/6.1秒(7速)

60-80(97-129):2.3秒(4速)/3.1秒(5速)/4.1秒(6速)/5.4秒(7速)/10.4秒(8速)

70-90(113-145):2.5秒(4速)/3.1秒(5速)/4.2秒(6速)/5.6秒(7速)/8.8秒(8速)

80-100(129-161):3.2秒(5速)/4.3秒(6速)/5.8秒(7速)/8.6秒(8速)

90-110(145-177):3.5秒(5速)/4.4秒(6速)/5.9秒(7速)/9.2秒(8速)

100-120(161-193):3.9秒(5速)/4.6秒(6速)/6.4秒(7速)

110-130(177-209):5.1秒(6速)

120-140(193-225):5.7秒(6速)

制動距離

テスト条件:おおむね乾燥路面/気温17℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):23.0m
70-0マイル/時(80km/h):45.0m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.46秒

ライバルの制動距離

ジャガーFペイスSVR(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温16℃
00-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):22.5m
70-0マイル/時(80km/h):43.5m

結論 ★★★★★★★☆☆☆

グレカーレ・トロフェオは、もしかしたらマセラティが、なによりも信頼性を重視して作るべきクルマだという気がする。BMW X3級のサイズのSUV売れ筋商品で、もしマセラティがパワフルなエンジンを積まなければ、的を射たクルマにはならなかっただろう。

高級でスポーティなフラッグシップという役割は、満たせた部分とそうでない部分があった。マセラティの新たなV6は、過去のトロフェオに積まれたV8ほどのキャラクターはないが、ライバルに比べれば、サウンドもパンチも楽しめる。

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結論:強烈なエンジンを積むが、価格は高く、ドライビングもグレカーレのベストではない。    JACK HARRISON

しかしながら、これまで試乗した経験からすると、コイルスプリングの安価な仕様のほうがシャープなハンドリングと快適な乗り心地を備えていると思う。マセラティには、エアサスのセッティング見直しを望みたい。トロフェオは、エンジンやステアリング、後輪寄りの4WDシステムがもっとも走りを楽しめる反面、ライバルにあるような一体感を味わえない。

それ以外は、ファミリーワゴン的なものとして上出来だ。広くて静かで、仕上げもみごとなキャビンを備え、技術や装備も満足いくレベルにある。

サスペンションと価格の問題をクリアすれば、もっといいクルマになる。いまのままでは、魅力的だが主流にはなれない。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

グレカーレのインテリアに使われるフォントはバラバラ。マルチメディシステムはフィアットのフォントで、スピーカーに記されたソナス・ファベールのロゴはややチープな感じもする昔ながらの筆記体。ステアリングホイールのボタンには、B級SF映画で見るような自体が使われている。

マット・ソーンダース

新たなデジタル時計は、クラシックデザインの再解釈の好例だが、もっとできることはあるはずだ。シンプルなナビ表示や走行モードインジケーター、油温計などがほしいところだ。

オプション追加のアドバイス

ホイール径が小さく、コイルサスを装着するベーシックなGTがおすすめ。オプションをいくつか追加しても、V6モデルより3万ポンド(約546万円)は安い。しかも、より一体感があって、乗り心地はスムース。300psで0−100km/h加速5.6秒なら、スペックもひどく不満には感じないはずだ。

改善してほしいポイント

・エアサスを手直しして、より一体感と安定した乗り心地を実現してほしい。できれば、トロフェオにもコイル仕様があればもっといい。
・ステランティス内で使い回しているコンポーネンツを、もっと豪華に装飾してほしい。
・価格をライバルと競えるレベルに下げてほしい。


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