BLAME!」、「シドニアの騎士」の弐瓶勉が原作、今年で設立40周年のポリゴン・ピクチュアズがアニメーションを担当し、「LISTENERS リスナーズ」、「亜人」の安藤裕章が監督を務める『大雪海のカイナしのけんじゃ』(公開中)。文明が衰退し、“雪海(ゆきうみ)”に沈んだ世界を舞台に、人類の希望のために奔走する少年少女たちの姿が描かれる。熱狂的な支持を集める弐瓶作品の最新作というだけでなく、雪海の世界を表現した映像美や大迫力のアクション、ボーイミーツガール的な冒険ストーリーも相まって劇場公開スタートから大きな話題を集めている。そこで今回、MOVIE WALKER PRESSが展開する本作の感想投稿キャンペーンに寄せられたファンの熱いコメントを引用しながら、作品の魅力、心に刺さるポイントなどを紹介したい。

【写真を見る】オープニング演出もかっこよすぎる!『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』

雪海の底からそびえ立つ巨大な“軌道樹”の麓にある小国アトランド。王女リリハ(声:高橋李依)と軌道樹のてっぺんに張り巡らされた“天膜”に暮らしていた少年、カイナ(声:細谷佳正)の出会いから「大雪海のカイナ」の物語は始まった。アトランドは水源を狙う国家バルギアによる侵攻を受けるが、カイナやリリハたちの活躍でこれをくい止める。2人はカイナが天膜から見ていた“大軌道樹”に行けばより多くの水が得られることを突き止め、両国からの有志と共に未知の世界へ旅立つことに。立ちはだかる巨大な“大海溝”、謎の船による攻撃を受けながらたどり着いた大軌道樹には、指導者ビョウザン(声:花江夏樹)が支配する独裁国家プラナトがあった。

■没入感抜群の映像美と音響体験!「作品のなかにいるような感覚」を味わおう

投稿されたコメントの中で特に多かったのが、映像や音響を絶賛する声。アニメーション担当のポリゴン・ピクチュアズと言えば、上記の弐瓶作品のほか海外作品も手掛けるなど、日本におけるCGの先駆者的スタジオだ。本作でも、奥行を感じさせる雪海に、神々しさを纏った軌道樹に大海溝、“建設者”と呼ばれる巨大なロボット兵器が次々と現れ、そのスケール感に圧倒されてしまう。

「綺麗な映像と音楽で物語に没入していく心地いい感覚…!一人ひとりの見せ場はもちろん、建設者のすさまじさとか、大軌道樹と雪海が見せる畏怖を覚える程の美しさとか、映画館の大スクリーンで観られてよかった!」

ポストアポカリプス・ファンタジー、SFといった要素が混じる独特な世界観と、映画ならではの画面を広く使った画や迫ってくる音で、臨場感抜群だった!」

「テレビ版の時から、この美しい映像を家のテレビで観るなんてもったいないって思っていた。大スクリーンを通して自分があの中にいるような感覚になれて、ほんとにすばらしかった」

音響面では、雪海での航海や戦闘シーンにおける効果音がもたらすリアリティや臨場感のすさまじさ、テレビアニメ版の「テレパス」に続いて、「月光浴」を提供したヨルシカの主題歌にも言及する声が確認できる。

「コレは是非、映画館で観るべきだと思いました。個人的に、大雪海に吹く風の音がすごくリアリティを持って聞こえたのはいい音響機器と広い空間のおかげだと思うからです」

「臨場感のある音響がよかった!思わず体が傾いてしまうような映像演出も楽しかった。間違いなく劇場でみるべき作品」

「ストーリーも音楽もなにもかもがよかったです。なにより映画館の大音響で聴く『月光浴』がすばらしかった。イントロが流れた瞬間に号泣しました。本当にステキな映画をありがとう」

■「映画が終わったあとも世界観が広がっていく」弐瓶勉ワールドの魅力

BLAME!」、「シドニアの騎士」で独自のSF世界を構築してきた弐瓶。本作でも雪海に沈んだ世界で人々がどのように暮らし、道具や武器を作り、コミュニティを築いてきたのかが見えてくる、細部にまでこだわった設定、壮大で作り込まれたストーリーにも絶賛評が集まっている。

「とても深い部分まで意識を連れて行ってもらえる作品だなと思いました。海溝や浮遊棒、軌道樹や天膜、雪海の仕組みや役割について、観ながら考察したり答え合わせをするのが楽しかった!次はもっと隅々まで目を配って観たい…!」

「なんかもっともっといろんな細かい設定とか歴史とか人々の暮らしのこととか、知りたいと思ってしまうぐらいに複雑の凝縮って感じだった…!また観に行こう!」

「文明を知らない登場人物たちがそれでも勇敢に戦う姿には勇気をもらえるし、看板や大軌道樹と大雪海の意味などはとても深そうで考察しがいがある。映画が終わったあとも世界観が広がっていく感じを味わえてとてもよかったです!」

■「現代社会に通じるものがある」世界観と設定

雪海の世界では水を確保するのが難しく、軌道樹から得られる水源が人々の頼り。しかし、それも底がつきかけており、戦争の原因にもなっている。資源を求めて争う姿には、「現実とリンクする」という声も。

「愛する誰かの為に戦い続ける姿や、世界の命運が掛かるなかでも諦めずに進んでいく姿がカッコいいです。現代に語りかけている作品だと個人的には思いました」

「壮大な世界観、水をめぐる争いが現代社会に通じるものがあると感じています」

「未来のカイナやリリハのような子どもたちのために語り継ぎたい優しくて心強いお話でした」

さらに、「映像美、音響美、監督に演者、皆さんの愛がこもった最高のラスト!感動で涙腺ゆるゆるでした」という大団円に感激する人、「何度もリピートしたい!」という人たちも。

「ストーリー展開がおもしろくてあっという間に感じられたし、最後の終わり方もとてもよかった。これはまた観たくなるし、テレビアニメももう一度観返したくなる」

「最後の結末、ああなるとは思わなかった!エンディングは目に焼き付いています~。また観たいっ!」

「世界観を理解するためには一回観ただけじゃ足りない気がするので、登場人物一人ひとりにスポットを当てて何度も観たくなりました」

このほか、「弐瓶勉作品好きならニヤリとするディティールや展開が山盛りです」、「童話のようなファンタジーの中にも弐瓶勉ワールド的えぐみもあって、壮大なストーリーを楽しめた。世界の全貌にゾワッと鳥肌が立ち、涙した」というコメントも。弐瓶作品ファンが楽しめるのはもちろん、観たことがない人も、普遍的なファンタジーがベースにある本作を入門編にしてもらってもよさそうだ。

■映画ファンが絶賛する「配役はみんな、これだ!と思わせるすばらしいキャスト陣」

純朴でおっとりしているけれど、いざという時には頼りになるカイナ、王女としての責務に向き合い、その重圧に苦悩しながらも民のために行動するリリハ。そんなカイナ役を演じた細谷、リリハ役の高橋らキャスト陣の演技に魅了されたというファンも。

「主人公カイナ役が細谷佳正さんで本当によかった。カイナの朴訥としてそれでいて物事の本質を見抜くキャラクターを不自然なく演じ切ったように思う。真っ直ぐで毅然としているけど、少し弱さや脆さもあるリリハを演じた高橋李依さんもよかった」

「不完全なカイナとリリハだから生まれた選択肢と決断。まだまだ子どもでクスッとさせられたかと思いきや、ものすごい勇気と行動力のカイナ。細谷佳正さんの息づかいも含めた表現力に感動しました。高橋李依さんのリリハもめちゃくちゃかわいい」

主人公2人以外にも、姉想いなリリハの弟、ヤオナ(声:村瀬歩)、強い忠誠心を持ったアトランドの親衛隊長のオリノガ(声:小西克幸)、黒い鎧に身を包んだ戦士、アメロテ(声:坂本真綾)といった魅力的なキャラクターが登場。

「アメロテ派の私としては、今回のアメロテは本当にステキ女子だった。かっこよくて、静かだけど大きな優しさを持っていて、自分の非を受け止めて相手を尊重できる心も持っている」

さらに、劇場版では新たにビョウザンというキャラクターが登場する。人類が繁栄していくためには大軌道樹を破壊しないといけないと考え、複数の建設者を機動させる。軌道樹を守ろうとするカイナたちと対立する役どころだ。そんなビョウザンの立場や心情についても、しっかりと考察するファンの声も寄せられている。

「ビョウザンは根っからの悪人というより、拗らせてたって感じ。りえりー(高橋李依の愛称)の“子ども”って感想がピッタリ。彼も幸せになっているといいんやけど」

「カイナ+リリハとビョウザンは、終始対比して描かれていたと感じる。信じ合えた二人と誰も信じなかった一人」

「それぞれのキャラクターに魅力的な活躍があり、ひたむきに最善を尽くす姿に背筋が伸びました」、「配役はみんな、これだ!と思わせるすばらしいキャスト陣でした」とあるように、一人ひとりの登場人物たちが自身の役割を果たそうとする姿勢、そして遺憾なくその魅力を体現したキャスト陣の熱演が、多くの映画ファンの心に響いているようだ。

日本が誇るトップクリエイターと業界を牽引してきたトップスタジオによって生みだされた『大雪海のカイナしのけんじゃ』。カイナ、リリハたちはビョウザンの野望を阻止し、雪海の世界に平和をもたらすことができるのか?ハイクオリティの映像に音響、躍動感あふれるアクションシーンにも注目しながら、ぜひ劇場でそれらすべてを堪能してほしい。

構成・文/サンクレイオ翼

劇場で観るべき映像美と音響が堪能できる、『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』/[c]弐瓶勉/東亜重工開拓局