●カレーチェーンの代表格『CoCo壱番屋』と松屋が手がける『マイカリー食堂』。どっちの「カツカレー」がウマいのか? 店をハシゴして食べ比べてみた。

 日本全国にカレー専門店は数多くありますが、真っ先に頭に浮かぶのは『CoCo壱番屋』(通称ココイチ)の黄色い看板ではないでしょうか。なんと国内に1200店舗以上もあります。

 どの店に行っても同じ味が楽しめるのはありがたい話ですが、ココイチの難点は、味でも接客でもなく、価格です。思ったより高い…と思っている人はけっこう多いハズ。

 例えばココイチに入り、ベースのカレーに肉や野菜をトッピングすると、簡単に1000円を超えてしまいます。正直言って、何もかもが値上がりしている昨今、気軽に行けるチェーン店とは言いがたい印象すらあります。

『カレーハウスCoCo壱番屋』は1978年に名古屋に1号店がオープン。今年で45周年
カレーハウスCoCo壱番屋』は1978年名古屋に1号店がオープン。今年で45周年

 そんなわけで最近、筆者はもっぱら近所にできた『マイカリー食堂』に行くようになりました。ご存知の人も多いでしょうが、この『マイカリー食堂』は、あの『松屋』が手掛けるカレー専門店。だからなのか、牛丼同様、安さが魅力。カレーにトッピングをつけても600円台で食べられます。

 ちなみに『マイカリー食堂』は2023年10月末現在、全国148店舗(松屋・松のや併設店含む)しかないので、ココイチに比べると圧倒的に少ないのが現状ですが、これが近所に一軒あると、ランチ時などは非常にありがたいのです。

『マイカリー食堂』は、2013年に東京・渋谷に1号店がオープンし、今年で10周年
マイカリー食堂』は、2013年に東京・渋谷に1号店がオープンし、今年で10周年

 しかしある時、まだ『マイカリー食堂』に行ったことがないという友人に同店のコスパの良さを語っていたら、「それで、そこはココイチより美味しいの?」と核心をついた質問をされ、思わず答えに詰まってしまったのです。うーん、並べて食べたことがないから、なんとも答えづらい……。

 そこで今回は、ズバリ『マイカリー食堂』と『CoCo壱番屋』の2店舗をハシゴして食べ比べてみようという企画です。

同じカツカレーだけど、何がどう違う?

 今回は、両者とも「カツカレー」をオーダーし、それぞれを食べ比べて改めて味を確かめてみることに。

 まず、価格を比較すると、以下の通りです。やはり圧倒的にココイチは高いですね。

・『マイカリー食堂』の「手仕込みロースかつカレー」:690円(ごはん並盛、0辛)
・『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」:928円(ポークソース、ごはん基本量、0辛)

マイカリー食堂』はごはん大盛りにすると+100円、カレーの辛さは0~4辛まであり、無料で選べます。

 一方の『CoCo壱番屋』は、カレーソース(ポークビーフ、野菜)、ライスの量、辛さを選べます。そしてこの3つ(ソース、ライス、辛さ)を変更すると値段も変化。ちなみに今回は2辛にしたので+44円。

 では、まず『マイカリー食堂』のカツカレーから食べてみましょう。

マイカリー食堂の「手仕込みロースかつカレー」の味は?

『マイカリー食堂』ではタッチパネルでメニューを選ぶシステム(食楽web)
マイカリー食堂』ではタッチパネルでメニューを選ぶシステム(食楽web)

マイカリー食堂』に入店すると、タッチパネルの券売機が数台あり、メニューの選択から支払い(先払い)まで、それですべて済ませます。

 あとは好きな席に座り、自分の番号がモニターに表示されたら商品を取りに行き、食べた食器は自分で戻す、ほぼセルフサービス形式。なお、メニューは「ロースかつ」、「欧風ビーフ」、「オムレツ」「バターチキン」「プレーン」など多彩です。

 そして特筆すべきは、その提供スピード。昼の混雑時でも、注文からカレーの完成まで10分もかかりません。そして登場した「手仕込みロースかつカレー」690円がこちら。

「手仕込みロースかつカレー」690円
「手仕込みロースかつカレー」690円

 ビジュアルは、いわゆるオーソドックスなカツカレーといった感じで、ココイチとあまり変わりませんが、ロースカツにカレーが1ミクロンもかかっていないのが特徴です。

 カレーソースを一口食べてみます。今回は2辛にしたので、ちょい辛め。で、辛さの奥に感じるのは、わりとあっさりタイプのカレーの味わい。コクや深みはあまり感じません。「ま、こんなもんか」という感じです。

 そして、手仕込みロースかつ。衣は薄付きできめ細かく、揚げたてでアッツアツ。噛むとサクッと心地よい音が耳に響きます。ちなみに厚さは目測で1.5cmほど。脂身は1切れごとに端っこにちょっとあり、赤身部分もほどよく柔らかく、揚げ油のキレもよいので、しつこさやクドさはまったくありません。

やわらかくて非常に軽めのとんかつです
やわらかくて非常に軽めのとんかつです

 そしてごはんもかなり美味。お米がツヤツヤしていて、みずみずしい。カレーソース、とんかつ、ごはんを一緒にして口に入れると、カレーソースのコクが薄めではあっても、三位一体となって、ちょうどよいバランスになるのです。

ごはん、カレーソース、とんかつの3つのバランスが良い
ごはん、カレーソース、とんかつの3つのバランスが良い

 というわけで、『マイカリー食堂』の「手仕込みかつカレー」は、690円という安価ながら、これはこれで満足度の高い一皿であると、改めて納得しました。続いて、味を忘れぬうちに、すぐに近所にある『CoCo壱番屋』に向かいます。

『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」を実食

『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」(今回は2辛にして972円)
CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」(今回は2辛にして972円)

CoCo壱番屋』は、周知の通り注文も配膳もお店の方がすべてやってくれます。しかも対応も丁寧です。注文時も、カレーソースやごはんの量、辛さ、トッピングなどを聞いてくれます。

 今回、オーダーした「ロースかつカレー」は、カレーソースにポークを選択。ごはんは基本の量で、辛さを2辛にして合計972円です。そして10分ほどで登場したのがこちら。

『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」
CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー

マイカリー食堂』との見た目の違いは、ややカツが大きく、なおかつロースカツにカレーがかかっているか否か。この程度です。

 しかしカレーをひと口食べてみると、やはりその差は明らか。さっき食べたばかりなので、よくわかります。『マイカリー食堂』のカレーよりも、『CoCo壱番屋』のカレーのほうがコクがあり、深みもある。

 そして、ロースかつですが、『マイカリー食堂』のカツは柔らかいと書きましたが、それよりもさらに柔らかい! アゴを使わなくてよいのでは? と思うほどソフトで、しかもジューシーなんです。

まとめ

『CoCo壱番屋』のロースカツは、めちゃくちゃ柔らかい!
CoCo壱番屋』のロースカツは、めちゃくちゃ柔らかい!

 ごはんに関しては、『マイカリー食堂』のほうが美味しいと思いましたが、カレーの旨味、そしてロースカツの揚げ具合、肉の柔らかさに関しては『CoCo壱番屋』が上だと思いました。さすが老舗! という感じでしょうか。

 というわけで、結論です。

 総合点では『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」のほうが美味しい。しかし、価格の差(※今回は『マイカリー食堂』が282円安い)を考えると、日常使いできるのは、やはり『マイカリー食堂』ではないかと思います。

 こうして食べ比べなければ、筆者は、『マイカリー食堂』でも十分に満足できていたので……。皆さんはどっちがお好きですか?

(撮影・文◎土原亜子)

左が『マイカリー食堂』の「手仕込みロースかつカレー」690円、右が『CoCo壱番屋』の「ロースカツカレー」928円 | 食楽web