プレミアリーグ第10節、マンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティが、日本時間29日24:30にオールド・トラッフォードキックオフされる。公式戦3連勝で復調気配示す赤い悪魔と、やや波のある序盤戦を過ごすシティズンズによる、今シーズン最初のダービーマッチだ。

多くの負傷者の影響もあって振るわないパフォーマンスが続く8位のユナイテッド。それでも、前々節ブレントフォード戦での後半アディショナルタイムの連続ゴールによる大逆転劇によって流れを掴むと、前節は最下位のシェフィールド・ユナイテッドに競り勝ってリーグ戦で今季初の連勝を記録した。

さらに、直近のチャンピオンズリーグ(CL)では格下コペンハーゲンとのホームゲームで思わぬ苦戦を強いられたが、DFマグワイアの今季初ゴールに、後半ラストプレーで与えたPKを守護神オナナが見事にストップ、批判に晒される2選手の活躍で勝ち切り、グループステージ初勝利とした。試合内容は別として、これで公式戦3連勝とクラブ伝統の勝負強さを発揮するテン・ハグのチームは、下馬評では劣勢必至とみられる宿敵との一戦で再びしぶとさを見せられるか。

対する2位のシティは前節、難敵ブライトンに2-1の勝利を収めてリーグ連敗をストップ。前半に2点を先行するラクな展開となったが、後半はしっかりと修正を施したシーガルズに苦戦。1点差に詰め寄られ、後半終盤にはDFアカンジの退場で冷や汗をかいたが、ひとまず悪い流れを止めた。続くCLではヤング・ボーイズとのアウェイゲームで慣れない人工芝や雨による悪コンディションでやや苦戦したが、FWハーランドの今季CL初ゴールを含む2ゴールの活躍で3-1の勝利。グループステージ3連勝を達成。敵地でのダービーに向けては一部主力をCLで完全休養させており、万全の状態で臨めるはずだ。

マンチェスター・ユナイテッド
【4-2-3-1】
▽予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.

GK:オナナ
DF:ダロト、ヴァラン、マグワイア、レギロン
MF:マクトミネイ、カゼミロ
MF:アントニーブルーノ・フェルナンデス、ラッシュフォード
FW:ホイルンド

負傷者:DFショー、マルティネス、ワン=ビサカ、マラシア、MFカゼミロ、FWアマド・ディアロ
出場停止者:なし

出場停止者はいないが、指揮官との確執続くサンチョが不在に。一方、同僚オナナへの人種差別疑惑でFAの調査対象のガルナチョについては現時点で起用可能だ。負傷者ではショー、マルティネスらの欠場が確定しているが、カゼミロとワン=ビサカの2選手に関しては復帰の可能性がある。

スタメンに関してはカゼミロの復帰を前提に前述の11人を予想。左サイドバックにリンデロフ、中盤にエリクセン、アムラバト、アントニーをベンチに置きマウントのトップ下、ブルーノ・フェルナンデスの右サイド起用といったオプションも想定されるところ。

現状では攻守両面で実力差があると言わざるを得ない状況のなか、単純に守備力の高い構成で臨むのか、相手の連動性、強度の高いプレスに対して、プレス耐性や配球力の高い構成で臨むのか、オランダ指揮官の選択にも注目したい。

マンチェスター・シティ
【4-2-3-1】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:エデルソン
DF:ウォーカー、ストーンズ、ルベン・ディアス、グヴァルディオ
MF:ロドリベルナルド・シウバ
MF:フォーデンアルバレス、グリーリッシュ
FW:ハーランド

負傷者:MFデ・ブライネ
出場停止者:DFアカンジ(1/1)

前節退場のアカンジが1試合の停止で不在に。負傷者に関してはデ・ブライネが唯一の欠場者となる。

システムに関してはストーンズを偽CBとして起用する可変式の[4-2-3-1]を予想。スタメンはリーグ戦でベンチ起用が続くグリーリッシュの抜擢を含め前述の11人を予想したが、アケやコバチッチ、ドクらの起用も十分に考えられる。

★注目選手
マンチェスター・ユナイテッド:DFハリー・マグワイア
Getty Images

今夏の放出候補に挙がった元主将がキーマンに。守備陣を中心に多くの負傷者を出す苦境で迎える今回のダービーにおいて、ホームチームが勝利するためには相手の強力な攻撃陣をいかに封じるかが重要なポイントとなる。

そういったなか、ディフェンスリーダーのヴァランと共にセンターバックでの先発起用が見込まれるイングランド代表DFの奮起が期待される。テン・ハグ体制初年度に低調なパフォーマンスに終始した元レスターDFは、プレシーズンにキャプテン剥奪を言い渡され、一時はウェストハムへの売却でクラブ間合意に至った。だが、個人間での交渉が破談に終わった結果、最終的に今夏の残留が決定。これにより、クラブはオランダ指揮官が求めるモダンなタイプの新センターバック獲得見送りを余儀なくされ、クラブ関係者に加え、サポーターの不興を買った。

これにより、シーズン序盤はほぼ出番が与えられずにいたが、負傷者続出のチーム事情によってここに来て継続して出番を与えられると、ブレントフォード戦では決勝点アシストブレイズ戦ではMOMに選出。直近のコペンハーゲン戦では決勝点となる今季初ゴールとその起用に報いる働きを示した。また、対戦相手のレベルはあるものの、今季ここまでは課題とされるビルドアップのスタッツを大幅に改善しており、指揮官もその努力を認めている。

とはいえ、多くのサポーターは未だ元主将のパフォーマンスに懐疑的で、マルティネスやショーの復帰によって再び序列が下がる可能性は高く、個人として今が正念場だ。怪物ハーランドはもちろんのこと、攻守両面で狡猾さとクオリティを併せ持つアルバレスら多士済々のシティのアタッカー陣に対して説得力のあるプレーをみせ、チームに勝利をもたらすことで周囲からの信頼を確固たるものとしたい

マンチェスター・シティ:FWアーリング・ハーランド
Getty Images

ビッグマッチでのゴールで批判払しょくへ。シティ加入1年目でプレミアリーグのあらゆるゴール記録を更新するセンセーショナルな活躍を見せた23歳の怪物ストライカー。しかし、当たり前にゴールを量産する姿に多くのフットボールファンが見慣れてしまったか、加入2年目の今季は公式戦14試合11ゴールと見事な数字を残しながらも、以前から度々指摘されるフィニッシュ以外のプレー関与の希薄さや、重要な局面でのゴールの少なさといった粗探しによって批判を受けている。

先日にグアルディオラ監督が「人々は彼の失敗を望んでいる」と擁護したようにそういった批判を真に受ける必要は全くない。ただ、偉大なゴールスコアラーの前任者であるクリスティアーノ・ロナウドは、ビッグマッチでの勝負強さによってそういった声を封じ込めており、シティの主砲にも同様のやり方での批判払しょくを期待したい。

とりわけ、今回の対戦相手では自身が比較対象として挙がるホイルンドというライバルと対峙することもあり、未だリーグ戦ノーゴールのプレミアリーグ後輩に格の違いを見せつけたいところだ。