開業したばかりの宇都宮LRTに乗っていると、工事中の巨大な高架橋を見下ろす区間があります。この高架橋の道、実は東京への最短路ルート。その先にある高規格バイパスはさらに進化中です。

LRTとの「ダブル立体」が完成しつつある

2023年8月に栃木県宇都宮エリアで開業した「ライトライン」こと宇都宮ライトレール線(LRT)は、グリーンスタジアム前~ゆいの杜西間にて、道路を横断する形で架かる専用の高架橋の部分で、方角を90度近く変えます。その横で、LRTの高架橋よりもはるかに大きな高架橋が構築されつつあります。

これは、「野高谷町(のごやまち)交差点」に架かる国道408号「宇都宮高根沢バイパス」の高架橋です。これにより、同交差点LRTだけでなく道路も立体化します。10月現在、道路の高架橋は交差点部をまたぐ橋桁も架かっており、全体の完成までかなり近づいていることが見て取れます。

実はこの道路、かなり壮大な高規格道路の一部です。

国道408号バイパスは、地域高規格道路「常総・宇都宮東部連絡道路」の一部に位置付けられています。常磐道の谷和原IC(茨城県つくばみらい市)から東北道の矢板IC(栃木県矢板市)までを最短で結ぶという南北およそ約100kmの道路で、野高谷町交差点から南、LRTが並走する清原工業団地内の道路もその一部となっています。

LRTは清原工業団地内で道路を横断(清原地区市民センター前~グリーンスタジアム前)して方向を変えますが、そこから南、国道123号交点からの国道408号バイパスは「鬼怒テクノ通り」の愛称があります。ここは一般道ながら最高速度80km/hに指定されている“高速並み”のバイパスです。ちなみに123号の交点も立体化工事が進んでおり、橋台が出現しています。

鬼怒テクノ通りの最高速度80km/h区間は北関東道の真岡ICの南で終了しますが、その先、県道真岡上三川線との交点(真岡I.C南交差点)も立体化工事が進んでいます。完成すれば、80km/h区間が延びるかもしれません。

真岡市内で鬼怒テクノ通りは終わり、そこからは国道294バイパスがまっすぐ、圏央道の常総ICを経て常磐道の谷和原ICまで通じています。その間で唯一の2車線区間、栃木県真岡市内(旧二宮町)の「二宮バイパス」も拡幅が進められており、工事期間は2025年度までの予定。4車線化のめども立っています。

東京~宇都宮、これが最短「国道294号・408号ルート」

この「常総・宇都宮東部連絡道路」ルートは非常に直線的で、東京駅宇都宮駅間で東北道経由、新4号国道国道4号バイパス)経由と比較しても、次の通り最も距離が短くなります。

東京駅に近い首都高 宝町入口からJR宇都宮駅までで、「東北道経由」「東北道圏央道+新4号」「常磐道+国道294号・408号バイパス」の3ルートをGoogle mapで比較すると、次のような結果になります。

東北道経由:135km、1時間44分
・ルート:首都高~川口JCT~(東北道)~栃木都賀JCT~(北関東道)~宇都宮上三川IC~宇都宮駅

●新4号経由:127km、1時間55分
・ルート:首都高~川口JCT~(東北道)~久喜白岡JCT~(圏央道)~五霞IC~(新4号)~宇都宮駅

●国道294号・408号バイパス経由:117km、2時間14分
・ルート:首都高~三郷JCT~(常磐道)~谷和原IC~国道294号~国道408号~真岡IC~(北関東道)~宇都宮上三川IC~宇都宮駅

一般道走行区間が長いので時間はかかりますが、圏央道と組み合わせることもできるので、茨城県南部や千葉方面からの北上には有力な候補になると思われます。鬼怒テクノ通りも、宇都宮市内で混雑する新4号のバイパス的な使い方が可能です。

LRTの車窓から。野高谷町交差点に巨大な立体部がつくられている(乗りものニュース編集部撮影)。