ド派手な打ち合いを演じたフューリー(左)とガヌー(右)。この両雄の戦いを各国のスターたちが見守った。(C)Getty Images

 中東で実現した“メガマッチ”に世界が熱狂した。現地10月28日ボクシングのヘビー級10回戦がサウジアラビアの首都リヤドで行われ、WBC世界同級王者のタイソンフューリー(英国)が、元UFC世界同級王者のフランシス・ガヌー(カメルーン)に2-1の判定勝ちした。

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 歴史的な番狂わせを予感させる激闘だった。3回にガヌーがカウンター気味に左フックを炸裂。身長206センチの巨漢フューリーが崩れ落ち、尻もちをつかせるダウンを奪った。世界王者を倒し、会場は騒然となった。

 最終的にフルラウンドにまでもつれ込んだ一戦はフューリーが勝利。それでも現役のボクシングチャンピオンに下馬評を覆すような大健闘を見せたガヌーに対する賛辞は止まず。会場からは割れんばかりの歓声がカメルーン人戦士に向けられた。

「Battle of the Baddest(人類最凶決定戦)」と銘打たれたこの試合は、日本をはじめとする200以上の国と地域に向けたPPV配信が決定するなど大きな注目を集めた。一方で前代未聞の異種格闘技戦には、「巨額のファイトマネー目当て」「守銭奴」といった批判の声も小さくなかった。

 しかし、SNS上での話題性と会場の様子を見るに、スポーツビジネスに触手を伸ばしているサウジアラビアが実施した一大興行は成功したと言えよう。

 何よりもゲストの顔ぶれが凄まじかった。マイク・タイソンマニー・パッキャオコナー・マクレガーといった双方の業界のレジェンドたちはもちろん、各界からもスーパースターが集結。クリスティアーノ・ロナウドエミネムカニエウエストなどありとあらゆる著名人が両雄の一挙手一投足を見守った。

 世界的なタレント性を誇る彼らがどれだけのサラリーを受け取り、招かれたのかは定かではない。しかしながら、各国の注目を集めるのに大きな貢献を果たしたのは言うまでもない。そんなド派手な興業には、ボクシングの本場である米記者も驚きを隠さない。

 かつて米スポーツ局『ESPN』でコメンタリーも務めていたアリエル・ハレワニ記者は、自身のX(旧ツイッター)で「フランシスは今、ボクシング界で最も注目されている人物の一人じゃないか? なんて人生だろう」とガヌーの健闘を称賛。そのうえで、次のように綴っている。

「このイベントの演出と有名人には圧倒された。こんなものを僕は見たことがない。他のスター選手は言うに及ばず、史上最高のファイターたちが集結したんだ。このためにだけに、どんだけの予算が使われたのか想像もつかない」

 石油依存からの脱却を目指しているサウジアラビア。彼らはスポーツビジネスにも積極的に絡みだしており、今後もこうしたメガイベントが開かれていきそうな雰囲気だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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